障害年金が不支給になったら|審査請求・再審査請求・再請求の選び方
この記事の結論
不支給のあと取れる道は4本。審査請求(処分を知った日の翌日から3か月)、再審査請求(決定書の謄本が届いた日の翌日から2か月)、訴訟(裁決を知った日から6か月)、再請求(期限なし)。2段階目のほうが期限が短いことに注意してください。
最初にやるのは、感情の整理より「なぜ落ちたか」を知ること。厚生労働大臣あての保有個人情報開示請求で、認定医の所見が載った「障害状態認定調書(認定表)」を取り寄せます。手数料300円、届くまで1か月半ほどかかるので、審査請求を先に出しておきます。
令和6年度の新規裁定の非該当は13.0%(前年度8.4%)、精神は12.1%(同6.4%)。厚労省の調査では、精神の不支給85件のうち目安どおりの不支給は11件だけでした。国は職員による等級案の廃止や複数認定医による審査を対応策として公表しています。
分岐は「さかのぼる分を争うか」。認定日請求で不支給になった後の再請求は事後重症になり、過去にさかのぼれません。さかのぼり分を争えるのは審査請求だけ。状態が悪化した・前回の書類が実態を反映していなかったなら、再請求のほうが早いことが多く、両方を並行することもできます。
封筒を開けた瞬間から、期限が動き出している
「不支給決定通知書」。
半年かけて集めた書類の答えが、A4の紙1枚で返ってきます。理由の説明は短いです。読んでも、何がどう足りなかったのか分かりません。
そして、この瞬間から期限が動き出しています。審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内。落ち込んでいる時間も、この3か月に含まれます。
しかし、まず言っておきたいことがあります。あなたの申請が甘かったから落ちた、とは限りません。ここ数年、審査の運用そのものが変わりました。それは推測ではなく、厚生労働省自身が調査して公表している事実です。
この記事では、いま何が起きているのか、不支給から取れる道が何本あるのか、どれを選ぶべきか、そして最初にやるべき一手までを整理します。
いま何が起きているのか —— 数字で見る
厚生労働省年金局が令和7年6月11日に公表した「令和6年度の障害年金の認定状況についての調査報告書」に、はっきりした数字が出ています。
新規裁定で非該当(不支給)とされた割合は13.0%。前年度は8.4%だったので、1.5倍を超えます。過去の推移は、令和元年度12.4%、2年度8.0%、3年度7.8%、4年度7.7%、5年度8.4%、そして6年度13.0%です。
障害の種類別の内訳が、この問題の核心を示しています。
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| 令和5年度 | 令和6年度 | |
|---|---|---|
| 精神障害 | 6.4% | 12.1% |
| 外部障害 | 10.2% | 10.8% |
| 内部障害 | 19.4% | 20.6% |
外部障害と内部障害はほぼ横ばいで、精神障害だけがほぼ2倍になっています。全体が厳しくなったのではありません。精神・知的の判定だけが急に変わりました。
そしてもう一つ、決定的な数字があります。精神の等級判定ガイドラインには、診断書の「日常生活能力の判定」の平均値と「程度」から等級の目安を読む表があります。「目安より下位の等級に認定されて不支給」となった割合が、44.7%から75.3%に跳ね上がりました。
調査した精神障害の不支給85件の内訳は、こうなっています。
- 目安より下位等級に認定されて不支給……32件(37.6%)
- 目安が2つの等級にまたがり、下位等級に認定されて不支給……32件(37.6%)
- 目安どおりの不支給……11件(12.9%)
- その他(てんかんなど)……10件(11.8%)
つまり、不支給になった人の4人に3人は、ガイドラインの目安どおりなら通っていたかもしれないということです。目安どおりの不支給は、1割強しかありません。
さらに非対称なことがあります。更新(再認定)で支給停止になった割合は1.1%から1.0%へと、ほぼ変わっていません。変わったのは新規裁定だけです。これは制度改正が起きたのではなく、審査の運用が変わったことを意味しています。
報告書が背景として挙げているのは、令和4年4月から導入された「事前確認票」に職員が等級案を記載していたこと、職員が担当する認定医が1名から3名程度に固定されていたこと、そして事前確認によって職員の習熟度が上がったという職員自身の認識です。
自分の診断書が目安表のどこにあるかは、7項目と程度を入力すれば1分で分かります。争点を絞る出発点になります。
→ 私は何級くらい?再点検が行われている。しかし支給に変わったのは約3%
この事態を受けて、日本年金機構は令和6年度以降の不支給事案の再点検を行いました。特設ページで進捗が公表されています。
- 不支給事案は、令和8年3月31日時点で14,841件を点検し、支給に変更されたのは444件(約3.0%)
- 「支給されたが下位等級」の事案は、令和8年8月31日時点で12,918件を点検し、上位等級への変更は0件
この対比は重いです。不支給は3%が救済され、下位等級は1件も動いていません。再点検を待っていれば自動的に見直される、という期待は持たないほうがいいです。
報告書の対応策には、職員による等級案の記載の廃止、担当認定医の無作為での決定、理由付記の改善、複数の認定医による審査の拡大、障害認定審査委員会の活用、情報の公表が並んでいます。「前は通ったのに」という感覚は、気のせいではありません。そのうえで、個々の請求について何ができるかを見ていきます。
道は4本ある。期限がそれぞれ違う
不支給や等級に納得できないとき、取れる道は4つあります。期限の長さが全部違うので、まずここを押さえます。
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| 出す先 | 期限 | |
|---|---|---|
| 審査請求 | 地方厚生局の社会保険審査官 | 処分を知った日の翌日から3か月 |
| 再審査請求 | 厚生労働省の社会保険審査会 | 決定書の謄本が送付された日の翌日から2か月 |
| 訴訟(取消訴訟) | 裁判所(被告は国) | 裁決を知った日から6か月 |
| 再請求(やり直し) | 年金事務所 | 期限なし |
注意すべきは、2段階目のほうが期限が短いことです。審査請求は3か月、再審査請求は2か月。しかも起算日も違う(「知った日」と「謄本が送付された日」)。1段階目を戦い抜いた疲れの中で、より短い期限が来ます。カレンダーに書いておきます。
再請求だけは期限がなく、審査請求と並行して進められます。これは重要な選択肢になります。
結論が出るまでの期間は、公表資料では一律に示されていません。審査請求・再審査請求とも数か月単位、訴訟は年単位で見ておいてください。
通る確率について
審査請求・再審査請求がどのくらいの割合で認められるかは、年度や集計の取り方で変わり、当サイトで確認できる公表値はありません。確率を当てにするより、「何を争うか」で勝ち筋が変わることを押さえてください。
再審査請求の段階では「相手が何を理由に棄却したか」が決定書で分かっています。審査請求のときは、機構が何を理由に不支給としたかを詳しく知らないまま反論を書くことになります。この情報の非対称を埋めるのが、次に書く開示請求です。
最初にやるのは、感情の整理より「なぜ落ちたか」を知ること
不支給通知に書かれている理由は短いです。これだけでは反論が組めません。
やるべきは、保有個人情報の開示請求です。ここに、審査側が何をどう見たかが記録されています。
手順
- 保有個人情報開示請求書(標準様式第1号)を用意します。宛名は厚生労働大臣
- 開示を求める情報の欄には、こう書きます。「○年○月○日 ○○年金事務所受付 基礎年金番号○○○○ 障害年金裁定請求に係る審査に関する書類のすべて」。認定調書まで含めて求めるための書き方です
- 手数料は300円(収入印紙)。本人確認書類のコピーを添付します(郵送なら住民票も)
- 送付先は厚生労働省の情報公開担当部署
- 請求から原則30日以内に開示決定通知書と「開示の実施方法等申出書」が届く
- 切手を同封して申出書を返送すると、書類が届く
合計で1か月から1か月半かかります。ここに落とし穴があります。審査請求の3か月期限を、開示を待っているだけで食いつぶしてしまいます。
だから順番は決まっています。先に審査請求だけ出しておいて、理由書と資料は後から出します。期限内に請求さえしておけば、中身は後から補強できます。
何が見られるのか
開示されるのは、障害基礎年金なら「障害状態認定調書」、障害厚生年金なら「障害状態認定表」です。ここに認定医の所見が載ります。
そして令和4年4月以降は、職員が作成した「事前確認票」と、そこに記載された等級案も含まれます。今回の不支給急増問題の中心にあるのが、まさにこの書類です。
自分の書類で、職員が先に等級案を書いていたかどうかを確認できます。目安表の位置と結論がずれていて、その理由が書かれていなければ、それ自体が審査請求の主張になります。
何を書けば効いて、何を書いても効かないか
審査請求は、決定が法令や認定基準に照らして誤っているかを判断する手続きです。そこから逆算すると、効くものと効かないものは分かれます。
効かないもの
- 「経済的に苦しい」「症状がつらい」といった情緒的な訴え
- 「認定医は現場を知らない」という一般論
- 過去の苦労話や家庭の事情そのもの
同情で覆る制度ではありません。書けば書くほど、肝心の主張が埋もれます。
効くもの
- 障害認定基準・等級判定ガイドラインの条文を引き、提出済みの診断書のどの記載がどの基準に該当するかを、1対1で対応させた反論
- 目安表の位置と、実際の結論のずれ
- 生活の制限を、抽象語ではなく数値で書いたもの
3つめは具体例を挙げたほうが早いです。「買い物がつらい」ではなく「スーパーでの買い物は20分が限界で、その後2時間は寝込む」。頻度、時間、誰の援助か。この3点が入っていれば読む側は状況を再現できます。
就労が理由で落ちた場合は、武器がはっきりしています。
ガイドラインには「労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況などを十分確認したうえで判断する」と明記されています。制度の側がそう書いているのだから、それを引いて、援助の中身を頻度と実施者まで書きます(→働きながら障害年金は受け取れる?)。
新しい診断書は出せるのか
ここは誤解が多いです。審査請求は「処分時の障害状態」が判断の対象になります。だから処分の後に新しく書いてもらった診断書は、原則として採用されません。
出せるのは、処分時点の状態を裏付ける資料です。カルテの写し、当時の受診状況、処分時の状態について書かれた医師の意見書、第三者の陳述など。
「最新の診断書を取り直せば勝てる」わけではありません。それをやりたいなら、審査請求ではなく再請求です。
覆るケースと、覆らないケース
争点によって、争い方がまったく違います。
比較的争いやすいのは、争点が離散的なものです。初診日の認定、保険料納付要件の判定、事務的な誤り、認定基準の当てはめの誤り。「この日か、あの日か」「この基準に当たるか、当たらないか」と、資料で白黒がつくからです。
最も難しいのは「等級が軽い」という主張です。障害の程度そのものの評価は、認定医の医学的判断だからです。当サイトが確認した社会保険審査会の裁決91件でも、争点が「障害の程度・等級該当性」だったものが57件と最多で、初診日35件、診断書15件、納付10件が続きます。
ただし、令和6年度以降に限っては新しい勝ち筋が生まれています。
厚労省自身が「目安より下位の判定が75.3%」という数字を出した以上、「ガイドラインの目安どおりなら該当したはずなのに下位認定され、その理由が書かれていない」という主張には、以前より強い根拠があります。
開示請求で取った認定調書で、判定の平均値と程度の組み合わせを確認し、目安表のどこに位置していたかを示します。ここが今の主戦場になります。
ここで一つ、心の持ち方の話を。等級は、制度が支給額を決めるための区分で、人としての重さの評価ではありません。争うのは「区分の当てはめ」であって、あなたの価値ではありません。
→ 「2級と認定された=自分は2級の人間だと決められた」は誤解です同じ状況の人が、どうなったか
社会保険審査会の裁決から、不服申立てで結論が動いた例と、動かなかった例です。原文は厚生労働省の公開資料で確認しています。
全身型重症筋無力症・更新で支給停止(令和7年、原文(厚労省PDF)) — 3級を受けていた人が更新で支給停止になった事案。審査会は、全身の筋力低下だけで判断せず、疲労に応じて休息が必要な状況などを総合評価して3級に該当すると認め、原処分を取り消しました。「数値化しにくい制限」を具体的な生活の事実で示すことが、総合評価の材料になった例です。
右手圧挫創・右手熱傷・新規裁定(令和6年、原文(厚労省PDF)) — 3指の欠損と2指の可動域制限について、「指がないのと同程度の機能障害」と評価し、一上肢の全指の著しい障害として2級が認定されました。認定基準の「当てはめ」を争って覆った、離散的な争点の典型です。
広汎性発達障害・摂食障害・障害認定日請求(令和2〜3年、原文(厚労省PDF)) — 同じ障害認定日を基礎とする以前の不支給処分について、再審査請求と取消訴訟がすでに確定していたため、同一内容の裁定請求で確定した判断を争い直すことはできないとして棄却されました。同じ資料・同じ主張の繰り返しは通らない、ということです。
再審査請求には、固有の武器がある
再審査請求の段階では、審査請求の決定書の謄本が手元にあります。棄却の理由が書かれています。
だから、その理由の一つひとつに反論するという書き方ができます。これが1段階目にはなかった武器です。
もう一つ、再審査請求には公開審理があります。厚生労働省内で開かれ、審査長と審査員、日本年金機構側の代表、参与員、そして請求人本人または代理人が出席します。
出席は任意で、欠席しても不利には扱われません。ただ、書面だけでは伝わらない生活の実態があるなら、出席する価値はあります。
口頭で意見を述べる時間は限られています。長く話すより、具体的なエピソードを1〜2件と、数値(頻度・時間)に絞るほうが効きます。
審査請求か、再請求か —— 分岐は「遡及を諦めるか」
ここが実務上いちばん大きい判断になります。決め手は一つです。
障害認定日請求(遡及請求)で不支給になったあと、同じ初診日で再請求すると、事後重症請求になります。つまり過去にさかのぼらず、請求した月の翌月分からしか出ません。
さかのぼる分(最大5年)を争えるのは、審査請求だけです。
逆に、次のいずれかに当てはまるなら、審査請求の結論を待つより、書類を作り直して再請求するほうが早くて通る可能性が高いです。
- 状態が明らかに悪化した
- 前回の診断書や申立書が実態を反映していなかった(こちらの準備不足だった)
- さかのぼりにこだわらない
両方やる、という選択もあります。再請求には期限がないので、審査請求を出しておきながら、並行して書類を作り直すことができます。
なお、さかのぼる分の「5年」は支払いの時効であって、請求する権利そのものが消えるわけではありません。
→ 「初診日が何十年も前だから、時効で申請できない」は誤解ですただし「初診日が理由の却下」は別枠
初診日が認められずに却下された場合は、話が違います。再請求しても、資料が同じなら結論は同じになります。
この場合に取れるのは2つだけです。新しい資料を掘り出すか、訴訟に行くか。資料を掘るというのは、たとえば転院先のカルテに書かれた発病からの経過、前医の紹介状、身体障害者手帳の申請時の診断書の写し、生命保険の給付申請時の診断書、健康保険の給付記録といったものを、あらためて全部当たり直すことです(→初診日が分からないとき、カルテがないとき)。
「一度落ちると次が不利になる」の中身
これはよく言われる言葉で、根拠があります。
前回の書類は機構に残ります。再請求すると、今回の診断書と前回の内容が突き合わせられます。7項目の評価だけが前回より重くなっていれば、その変化に説明が求められます。前回の書類が、そのまま今回の足かせになるという意味です。
だから「とりあえず一度出してみる」はおすすめしません。一発勝負のつもりで、初回に全部を出し切ります。これがこの制度の現実的な向き合い方になります。
ただし、すでに落ちてしまった人にとっては別の読み方が要ります。難しいのは事実だが、不可能ではありません。変えたところを明確にし、なぜ前回と違う評価になるのかを説明できるようにして出します。それが再請求の作法になります。
訴訟という選択
裁決にも納得できない場合、取消訴訟という道が残ります。期限は裁決を知った日から6か月、被告は国になります。
費用は、裁判所に納める印紙代のほかに、弁護士に依頼すれば着手金と成功報酬がかかります。金額は事務所によって異なるので、法テラス(0570-078374)や弁護士会の法律相談で見積もりを聞いてください。判決までは年単位で見ておく必要があります。
経済合理性の考え方は、意外とはっきりしています。障害基礎年金2級は令和8年度で年847,300円。20代や30代で認定されれば、受け取る期間は数十年になり得ます。数年分の年金額に相当する費用がかかっても、数十年分の受給を考えれば見合うという判断が成り立つことがあります。
訴訟に向くのは、医学的な証拠が揃っていて認定基準に明らかに合致するのに不支給になった事案と、初診日の法的な評価そのものを争う事案です。
審査の構造について、知っておいていいこと
納得のためではなく、戦い方を決めるために書いておきます。
平成29年4月から、障害基礎年金の審査は東京の障害年金センターに一元化されました。それ以前は都道府県ごとの認定で、地域によって不支給割合に差があることが問題になっていました。同じ書類が、住んでいる場所で違う結論になっていたということです。
一元化で地域差は縮みましたが、別の問題が残りました。令和7年の調査報告書は、職員が担当する認定医が1名から3名程度に固定されていたこと、職員が事前確認票に等級案を記載していたことを認めています。固定された認定医と、職員による等級案。この組み合わせが、報告書で背景として挙げられた構図です。
対応策には、担当認定医を無作為に決めること、複数の認定医による審査を拡大すること、認定医に関する文書を廃止することなどが並んでいます。これは制度の側が問題を認めた、ということです。覆る余地がある、と読んでいいです。
不支給の理由別・打ち手の早見
立て直すために、最初にやる3つ
① 期限をカレンダーに書く
審査請求は3か月、再審査請求は2か月。これだけは動かせない。
② 開示請求を出す
1か月半かかるので、審査請求と同時か、その前に出す。
③ 提出書類の控えを並べる
控えがないと、何がどう評価されたのかを検証するところから始められない。次からは必ずコピーを取っておく。
そして、これは実務の話ではないが。不支給の通知は、あなたの生活の重さを否定した紙ではありません。紙に書かれた情報が基準に届かなかった、というだけの話です。審査は、あなたに会いに来ていません。
再請求に向けて生活の実態を記録し直すなら、日々の出来事を短くメモすると7項目に沿った資料に整理されるアプリを作りました。ログイン不要・記録は端末内保存・基本機能は無料です。
よくある質問
Q. 不支給になりました。まず何をすればいいですか?
A. 期限をカレンダーに書き(審査請求は処分を知った日の翌日から3か月以内)、保有個人情報の開示請求を出して「なぜ落ちたか」を確認してください。開示には1か月半ほどかかるので、先に審査請求だけ出しておき、理由書は後から補強します。
Q. 審査請求と再請求は、どちらを選ぶべきですか?
A. 分岐は「さかのぼる分を争うかどうか」です。障害認定日請求で不支給になった後に再請求すると事後重症扱いになり、過去にさかのぼれません。さかのぼる分を争うなら審査請求しかありません。
逆に、状態が悪化した・前回の書類が実態を反映していなかった・さかのぼりにこだわらない、のいずれかなら再請求のほうが早いことが多いです。両方を並行することもできます。
Q. 審査請求で新しい診断書は出せますか?
A. 審査請求は処分時点の障害状態が判断の対象なので、処分後に作成された診断書は原則として採用されません。出せるのは、処分時点の状態を裏付ける資料(カルテの写し、処分時の状態について書かれた医師の意見書など)です。
Q. 再審査請求の公開審理には出たほうがいいですか?
A. 出席は任意で、欠席しても不利にはなりません。書面では伝わらない実態があるなら、出席する価値はあります。意見を述べる時間は限られるので、具体的なエピソードと数値に絞るほうが効きます。
Q. 一度不支給になると、次回は不利になりますか?
A. 前回の書類は機構に残り、今回の内容と突き合わされます。前回と評価が変わっている箇所には説明が求められるため、難易度は上がります。ただし不可能ではありません。何をどう変えたのかを明確にして出すことが必要になります。
Q. 最近、不支給が増えているというのは本当ですか?
A. 厚生労働省の調査で、令和6年度の新規裁定の非該当割合は13.0%(前年度8.4%)、精神障害では12.1%(同6.4%)でした。また「目安より下位の等級に認定されて不支給」が75.3%(前年度44.7%)を占めました。日本年金機構による再点検で、令和8年3月31日時点で不支給事案14,841件のうち444件が支給に変わっています。
まとめ
- 期限は審査請求3か月、再審査請求2か月、訴訟6か月、再請求は期限なし。2段階目のほうが短い
- 令和6年度の非該当は13.0%、精神は12.1%。目安より下位の判定が75.3%を占めた。運用が変わったことは公表されている
- 再点検で支給に変わったのは不支給事案の約3%。待っていても自動的には見直されない
- 最初にやるのは開示請求。ただし1か月半かかるので、審査請求を先に出しておく
- 効くのは基準の条文と数値。情緒的な訴えは効かない
- 審査請求は処分時の状態が対象。新しい診断書を使いたいなら再請求
- 分岐は「さかのぼりを争うか」。争うなら審査請求、そうでなければ再請求のほうが早いことが多い
- 初診日を理由とする却下だけは別。資料の掘り直しか訴訟になる
出典
- 厚生労働省「令和6年度の障害年金の認定状況についての調査報告書」(令和7年6月11日。非該当割合の推移、障害種別の内訳、精神の不支給85件の内訳、事前確認票・等級案・担当認定医、今後の対応策)・確認日 2026-09-03
- 日本年金機構「障害年金の認定状況について」(再点検: 不支給事案14,841件中444件を支給に変更・令和8年3月31日時点、支給事案12,918件で上位等級への変更0件・令和8年8月31日時点)・確認日 2026-09-03
- 社会保険審査官及び社会保険審査会法・行政事件訴訟法(審査請求3か月、再審査請求2か月、取消訴訟6か月)・確認日 2026-09-03
- 個人情報の保護に関する法律(保有個人情報の開示請求、手数料300円、開示決定は原則30日以内)・確認日 2026-09-03
- 厚生労働省「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」(就労に関する記載)・確認日 2026-09-03
- 日本年金機構「令和8年度の年金額」(障害基礎年金2級 847,300円)・確認日 2026-09-02
- 当サイト 裁決事例集(91件、争点 程度57・初診日35・診断書15・納付10)・確認日 2026-09-02
※本記事は一般的な情報提供であり、結果を保証するものではありません。統計の数値は公表時点のものです。不服申立ての手続きや期限は個別の通知書の記載が優先されます。正式な内容は年金事務所・地方厚生局および専門家にご確認ください。
参考リンク
制度の正式な情報・最新の様式は、日本年金機構のホームページおよび 年金事務所でご確認ください。
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