傷病手当金と障害年金は同時にもらえる?併給調整と申請準備の流れ
1年6か月後の崖を、休職の初日に見ておく
うつ病で休職すると、多くの人はまず健康保険の傷病手当金でしのぐことになります。当面の生活は守られます。しかし、この制度には終わりの日がはっきり決まっています。
通算1年6か月。 支給を始めた日から数えて、支給された日を積み上げて1年6か月分。それが上限です。
一方、障害年金の障害認定日は原則として初診日から1年6か月後。数字は同じでも、起算日が違います。傷病手当金は「支給を始めた日」から、障害年金は「初診日」から数えます。この2つは同じ日には来ません。
知らないまま進むと、こうなります。手当金が切れてから「次はどうすれば」と調べ始め、書類集めに2〜3か月、審査に3〜4か月、初回の振込までさらに1〜2か月。気づけば半年近く、収入がゼロの期間ができます。
この記事では、併給調整の正確なしくみ、空白を作らないための逆算、退職前後に待っている現実、そして「動き出すべき日」の決め方まで整理します。
傷病手当金は、思っているより少ない
まず金額の話をしておきます。傷病手当金は「給与の3分の2」と言われるが、正確には額面の3分の2ではありません。
計算式はこうです。
支給開始日以前の継続した12か月間の標準報酬月額を平均した額 ÷ 30日 × 3分の2 = 1日あたりの額
標準報酬月額の平均が30万円なら、300,000÷30×2/3で日額6,667円。30日で約20万円になります。標準報酬月額には残業代や通勤手当が含まれるが、賞与は含まれません。ボーナスの比重が大きい人ほど、実感としての落差は大きくなります。
加入期間が12か月に満たない場合は、直近の各月の平均と、全被保険者の平均標準報酬月額として保険者が定める額の、低いほうを使います。転職直後に休職に入った人は、前職で高給でも日額が頭打ちになることがあります。
待期3日は「連続」でないと成立しない
支給が始まるまでに、連続して3日休む必要があります。この3日は土日祝でも有給でも欠勤でもカウントされるが、途中で1日でも出勤すると振り出しに戻ります。
現場でよくある壊れ方はこうです。金曜に早退して、土日を休んで、月曜に半日だけ出ました。これで待期は成立しません。この3日間だけは、何があっても出ません。
2022年から「通算」になった
かつては支給開始日から暦で1年6か月と決まっていて、途中で復職して支給されなかった期間もカウントに含まれて消えていました。2022年1月から、支給された日だけを積み上げて1年6か月と数える方式に変わりました。 出勤して支給されなかった日は、残日数を減らしません。
復職と再休職を繰り返す人にとっては、大きな改正です。ただし経過措置があり、施行日の前日時点ですでに支給開始から1年6か月を経過していたものは旧ルールのままになります。おおむね令和2年7月2日以降に支給が始まった人が、通算化の恩恵を受けます。
時効は2年
労務不能だった日ごとに、その翌日から2年で消えます。まとめて後から申請しようとすると、古い月から順に権利が失効します。なお時効で支給されなかった日は、通算1年6か月の日数を消費しません。
併給調整 —— 減らされるのは、年金ではなく手当金
ここが最も誤解されているところです。
健康保険法は、同一の傷病で障害厚生年金を受けられるときは、傷病手当金を支給しないと定めています。ただし年金の日額が傷病手当金の日額より少ないときは、その差額を支給します。
減らされるのは傷病手当金の側であって、障害年金が減るのではありません。
比較は日額で行います。年金側の日額は、年金額を360で割った額です。365ではありません。1級・2級で障害基礎年金も併せて出る場合は、障害厚生年金と障害基礎年金の合計額を360で割ります。3級なら障害厚生年金の額だけを360で割ります。
具体的に見ます。年金の合計が年180万円なら、1,800,000÷360=日額5,000円。傷病手当金の日額が6,667円なら、差額の1,667円だけが傷病手当金として支給されます。月にすると約5万円。年金の日額が傷病手当金の日額以上なら、傷病手当金はゼロになります。
逆の例も見ておきます。障害厚生年金3級で最低保障額の年635,500円なら、635,500÷360=日額1,765円。傷病手当金の日額が6,667円なら、差額の4,902円が残ります。「3級が決まったら傷病手当金がゼロになる」は誤りです。
なお、調整の前提は同一の傷病であること。うつ病で傷病手当金を受けている人が、まったく別の傷病(がん、脳梗塞など)で障害厚生年金を受けるなら、調整されず両方が満額になります。
障害手当金(3級より軽い場合の一時金)を受けたときは、別のロジックになります。日額の比較ではなく、傷病手当金の合計額が障害手当金の額に達するまでの間、傷病手当金が支給されないという積み上げ方式です。
障害基礎年金だけなら、調整されない
そして、ここがこの記事でいちばん金額が動く話になります。
健康保険法が調整の対象として挙げているのは、厚生年金保険法による障害厚生年金だけです。国民年金法の障害基礎年金は、条文に登場しません。
つまり、障害基礎年金しか出ない人は、傷病手当金と全額を併給できます。
実務上の帰結を書きます。初診日が国民年金加入中(自営業、無職、扶養に入っていた期間)だった人は、その後に就職して健康保険に入り傷病手当金を受けても、障害基礎年金2級(令和8年度で年847,300円、月約7万円)と傷病手当金がフルに重なります。
一方、初診日が厚生年金加入中だった人は障害厚生年金が付くので、調整されます。
同じ病気、同じ等級、同じ働き方でも、初診日がどの制度にあったかだけで、手取りが月7万円変わります。 20歳前傷病による障害基礎年金も、障害厚生年金ではないので調整の対象外です。
制度としての公平さはさておき、事実としてこうなっています。自分の初診日がどちらの制度にあったかは、早い段階で確認しておく価値があります。
空白は、放っておくと半年になる
障害年金は、請求してから入金まで時間がかかります。
- 審査……障害基礎年金で約3か月、障害厚生年金で約3か月半が目標として公表されている
- 決定から初回振込まで……さらに1〜2か月
つまり「傷病手当金が切れた月に請求書を出す」と、最短でも3〜4か月、実務上は5〜6か月の無収入期間ができます。日額6,667円の人なら、5か月で約100万円が消える計算になります。しかもこの期間に、家賃、国民健康保険料、国民年金保険料、住民税の支払いが重なります。
逆算のしかた
目安ははっきりしています。傷病手当金の支給開始から1年が経った時点、つまり残り6か月になったところで準備を始めます。
理由は所要時間の積み上げです。
- 受診状況等証明書の取り寄せ……初診の病院が別なら1〜4週間。閉院していれば数か月
- 診断書の作成依頼……2週間〜1か月半
- 病歴・就労状況等申立書の作成……数週間
提出までに2〜3か月かかります。 残り6か月で動き出せば、提出が残り3〜4か月の時点、決定が満了とほぼ同時、初回入金が満了の1〜2か月後になります。空白を1〜2か月に圧縮できます。
もうひとつの逆算軸
障害認定日のほうが先に来ることがあります。
傷病手当金の1年6か月は支給開始日から、障害年金の1年6か月は初診日から。だから初診から数か月働いてから休職に入った人ほど、障害認定日が傷病手当金の満了より早く来ます。
例を出します。初診が4月1日、休職開始が7月1日(支給開始7月4日)。障害認定日は翌年10月1日、傷病手当金の満了は翌々年1月3日。認定日が満了の約3か月前に来ています。
この3か月分は、認定日請求をすれば遡って受け取れます。ただし後述する返還の論点に直結するので、順序には注意がいります。
診断書には賞味期限がある
事後重症請求の診断書は「請求日以前3か月以内の現症」でなければなりません。医師に依頼して1か月待ち、ほかの書類を揃えているうちに3か月を過ぎると、取り直しになります。 文書料も1か月もやり直しです。
事後重症は1日も遡りません。 請求した月の翌月分からしか出ません。「もう少し様子を見よう」がそのまま損失になります。
退職日に出勤すると、全部が消えることがある
退職しても傷病手当金を受け続けられる制度がある(資格喪失後の継続給付)。要件は2つだけです。
- 退職日までに、継続して1年以上の健康保険の被保険者期間があること(任意継続の期間は算入されない)
- 資格喪失時に傷病手当金を受けているか、受けられる状態にあること
1つめについて、期間は空白なく継続している必要があります。転職で1日でも国保が挟まると通算が切れます。新卒入社から11か月で退職するケースも要注意になります。
そして2つめが、この制度でいちばん多い事故を生みます。
退職日に出勤すると、退職日の翌日以降の傷病手当金が支給されません。 継続給付の前提が「退職日の時点で労務不能であること」だからです。
現場で起きているのは、こういう出勤です。
- 最後だから挨拶に行った
- 引き継ぎ対応で半日だけ出た
- 在宅でメールと電話に対応した(ログが残る)
- 私物を取りに行った、退職手続きの書類を出しに行った
日額6,667円の人で、残り12か月分あったなら約240万円。それが挨拶のために消えます。
回避策ははっきりしています。
- 退職日は有給ではなく欠勤(労務不能)にしておく。 有休消化は退職日の前日までに終わらせる
- 私物の受け取りと書類のやり取りは郵送にする
- 退職日は会社のPC・メール・チャットに一切ログを残さない
有休消化中は給与が出るので傷病手当金は不支給になるが、退職日当日が労務不能であれば継続給付の要件は満たします。ここは分けて考えます。
もうひとつ。退職後は会社の証明欄が不要になるが、退職月の申請書だけは会社の証明が要ります。関係が悪化してから辞めると、最後の1枚が取れないという事故が起きます。退職前に「最終月の傷病手当金の証明はお願いします」と書面で合意しておきます。
障害年金が遡って決まると、返還が起きる
同一の傷病で障害厚生年金が、傷病手当金を受けていた期間まで遡って決定すると、その重なった期間について傷病手当金の過払いが生じ、返還を求められます。
金額の感覚を持っておきます。障害厚生年金2級で報酬比例60万円+障害基礎年金847,300円=年約144.7万円が12か月遡ったとします。年金日額は1,447,300÷360=4,020円。傷病手当金の日額が6,667円なら、過払いは4,020円×365日で約147万円。遡って受け取った年金と、ほぼ同額をそのまま健保に返すことになります。
大事なのは、返還が起きても手取りの総額は基本的に減らないという点です。もらいすぎた分を戻すだけで、損はしていません。だから「返還が怖いから遡及請求しない」は誤った判断になります。
狂うのはキャッシュフローです。 遡及分がまとめて振り込まれ、その数か月後に健保から数十万〜百万円超の返納通知が届きます。入金された遡及分を使ってしまってから通知が来るのが最悪のパターンになります。
だから、対策はひとつしかありません。遡及分は、返納の話がつくまで使わずに置いておきます。
なお返還を求められるのは、両方を同時に受けていた月だけです。年金が遡っても、傷病手当金を受けていなかった月は対象外になります。返還が発生する場面は健保側も類型化して案内しているので、遡及の見込みが立った時点で、健保に届け出て金額を確認しておくといいです。
失業手当は、同時には受けられない
傷病手当金と雇用保険の基本手当は両立しません。基本手当は「いつでも就職できる状態」が要件で、傷病手当金は「労務不能」が要件だからです。真逆になっています。
しかし、順番に受けることはできます。そのために必ず出しておくべき手続きが1つあります。
受給期間の延長申請です。 基本手当の受給期間は原則として離職日の翌日から1年しかありません。病気などで引き続き30日以上職業に就けないときは、その日数(最大3年)を加算でき、最長4年まで延ばせます。
これを出さないと、傷病手当金を受けている間に1年が経過して、基本手当がまるごと消えます。申請期限のルールは緩和されており、延長後の受給期間の最後の日までであれば申請できるようになったが、遅れると所定給付日数の全部を受給できない可能性がある、と労働局も注意喚起しています。退職後30日を過ぎたら、すぐ出します。
そしてもう一点、金額が大きく変わる話があります。
障害者手帳を持っていると「就職困難者」に該当し、基本手当の所定給付日数が跳ね上がります。 被保険者期間1年以上で、45歳未満なら300日、45歳以上65歳未満なら360日。一般の離職者の90〜150日と比べて2〜4倍です。
なお、就職困難者に該当すること自体が給付制限を免除するわけではありません。ただし心身の障害や疾病を理由に離職した場合は「特定理由離職者」にあたり、給付制限がかかりません。療養のための退職なら、この経路で制限を外せることが多いです。
精神障害者保健福祉手帳を退職前に取っておくかどうかで、失業手当の総額が100万円単位で変わります。 手帳の申請は初診日から6か月経てばでき、交付まで1〜2か月かかります。休職中に取っておくのが有利になります。
退職前後にやることの順序
順番を間違えると取り返しがつかないものが混ざっています。
① 退職日から20日以内 —— 任意継続の判断 要件は退職日までに継続して2か月以上の被保険者期間。期間は最長2年。保険料は全額自己負担(労使折半がなくなるので約2倍)だが、標準報酬月額に上限のキャップがあります。
国保は前年所得ベースなので、退職1年目は前年の高い給与で計算されて高額になりやすく、任意継続が有利なことが多いです。2年目は前年所得が傷病手当金(非課税)だけになるため、国保が一気に安くなり逆転します。 令和4年以降は任意継続を申出により脱退できるようになったので、「1年目は任意継続、2年目に国保へ切替」が実質的に可能になっています。
② 退職後14日以内 —— 国民年金の種別変更、そして免除申請 ここが最重要になります。障害年金がまだ決まっていない段階では、法定免除ではなく申請免除(全額免除など)を先に出しておきます。
理由は単純で、未納にすると、その後に別の傷病で初診日を迎えたときに納付要件を落とし、障害年金そのものが受けられなくなるからです。免除なら納付要件上は免除期間としてカウントされます。
なお障害基礎年金1級・2級が決まれば、届出により国民年金保険料が法定免除になります。
③ 住民税 住民税は前年1〜12月の所得に対して翌年6月から課される後払いの税です。傷病手当金は非課税なので課税所得には入らないが、退職翌年の6月に「前年の給与」に対する納付書がまとめて届きます。退職1年目がいちばん苦しくなる理由がこれです。市区町村の減免制度(所得激減・生活困窮)を必ず確認してください。
④ 自立支援医療(精神通院医療) 自己負担が3割から1割になり、さらに所得区分ごとに月額の上限がつきます。ここに実務上の要点がひとつあります。自立支援医療の「世帯」は住民票の世帯ではなく、同じ医療保険に加入している人の範囲を指します。
だから任意継続か国保かで「世帯」の範囲が変わり、上限額が変わることがあります。受給者証は1年更新で、更新は3か月前から。退職して収入が落ちたら、更新を待たずに変更申請を出します。
⑤ 障害年金が決まったら 障害年金は非課税なので、所得税も住民税もかからず、障害年金だけが収入なら確定申告も不要になります。ただし健康保険の被扶養者の判定では「収入」として扱われます。障害者は年収180万円未満が基準になるので、金額によっては配偶者の扶養から外れることがあります。
申請書の「療養担当者記入欄」でつまずく
毎月の申請で、地味に効いてくる論点があります。
医師は、初診日より前の期間を労務不能として証明できません。 実際に診察して状態を確認した期間にしか証明が及ばないからです。体調を崩して2週間自宅で寝込んでから受診した人は、その2週間分は取れません。「おかしいと思ったら、まず受診する」が、そのまま金額に直結します。
通院の空白も効きます。 受診間隔が空くと、その間の労務不能状態を医師が確認できず証明が難しくなります。さらに「通院の必要がない程度の病状」と判断されて不支給につながることもあります。これは傷病手当金と障害年金の両方を、同時に壊します。 障害年金の側でも、通院実績の薄さは診断書の説得力を直接下げます。
3つの期間がずれると差し戻されます。 自分が書いた申請期間、医師が書いた「労務不能と認めた期間」、事業主が書いた勤務状況・給与支払状況の期間。医師が月末締めで書いたのに会社が15日締めで書いた、といったずれで返戻され、1か月分の入金が丸ごと後ろにずれます。診察のときに、申請したい期間を口頭ではなく紙に書いて渡すのが確実な回避策になります。
なお、療養担当者記入欄の記入料は医療機関ごとに無料から数千円まであり、毎月申請すればその都度かかります。まとめて申請すれば文書料は減るが、入金は遅れます。生活が苦しい人ほど毎月申請せざるを得ず、文書料の総額が膨らむ、という構造があります。
「いつ動くか」の決め方
最後に、いちばん答えの出にくい問いに触れておきます。
制度に詳しい人ほど「まだ治るかもしれないから、障害年金の申請はしない」と言います。障害年金は、傷病手当金と違って「長期に及ぶ状態」に対する給付です。申請するということは、長期化を自分で認めることになります。 その心理的なハードルが、そのまま空白期間の長さになります。
だから、気持ちで決めないほうがいいです。数字で決めます。
傷病手当金の残月数 ×(日額×30)+ 貯金 −(想定する空白月数 × 月の生活費)
これが生活防衛ラインを割る時点が、動き出すべき日になります。
実務的な目安は、ほぼ一致しています。傷病手当金の支給開始から12か月が経った時点。 ここが着手ラインです。
そしてもう一つ、余裕を見るべき理由があります。近年、障害年金の審査は明確に厳しくなっています。 令和6年度の新規裁定で不支給とされた割合は13.0%で、前年度の8.4%から上がりました。精神障害では6.4%から12.1%へと倍近くになっています。
不支給になれば、審査請求(3か月以内)、再審査請求と進むことになり、そこにさらに半年から1年の時間が乗ります。逆算は「1回で通る前提」ではなく、「1回落ちても持ちこたえられるか」で組みます。 それが、いま現実的な組み方になります。
なお、審査は年末年始に実質的に止まります。満了が春に来る人は、年内提出を狙うか、年明け早々に出すかで、結果が届く時期が1か月ほど変わります。
よくある質問
Q. 傷病手当金と障害年金は同時にもらえますか? A. 同一の傷病では、障害厚生年金が出ると傷病手当金が調整されます。年金の日額(年金額÷360)が傷病手当金の日額より少なければ、その差額が傷病手当金として支給されます。減らされるのは傷病手当金の側で、障害年金が減るわけではありません。
Q. 障害基礎年金だけの場合も調整されますか? A. されません。健康保険法が調整の対象としているのは障害厚生年金だけで、障害基礎年金は対象外です。初診日が国民年金加入中だった方は、障害基礎年金と傷病手当金を全額併給できます。
Q. いつから障害年金の準備を始めればいいですか? A. 傷病手当金の支給開始から1年が経った時点(残り6か月)が目安です。書類集めに2〜3か月、審査に3〜4か月、初回振込までさらに1〜2か月かかるため、切れてから動くと5〜6か月の無収入期間ができます。
Q. 退職しても傷病手当金は受け続けられますか? A. 退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があり、退職日に労務不能で出勤していなければ、継続して受けられます。退職日に出勤すると、翌日以降の分が支給されません。挨拶や引き継ぎのための出社も出勤にあたります。
Q. 障害年金が遡って決まると、傷病手当金を返すのですか? A. 同一傷病で障害厚生年金が遡って決定し、傷病手当金を受けていた期間と重なった場合、その重なった分の返還を求められます。もらいすぎた分を戻すだけなので手取りの総額は基本的に減りませんが、遡及分が入ってから返納通知が来るため、遡及分は使わずに置いておいてください。
Q. 失業手当との関係はどうなりますか? A. 傷病手当金と基本手当は同時に受けられません。ただし受給期間の延長申請(最長4年)を出しておけば、回復後に受けられます。また障害者手帳があると就職困難者として所定給付日数が大きく増えます。
まとめ
- 傷病手当金は通算1年6か月。起算日は「支給を始めた日」で、障害年金の1年6か月(初診日起算)とは別
- 待期3日は連続でなければ成立しない。途中で1日出ると振り出しに戻る
- 調整されるのは傷病手当金の側。年金額÷360の日額で比較し、差額が出る
- 障害基礎年金だけなら調整されない。 初診日がどの制度にあったかで手取りが月7万円変わる
- 切れてから動くと5〜6か月の空白ができる。支給開始から1年経ったら準備を始める
- 退職日に出勤しない。 挨拶の出社で数百万円が消えることがある
- 遡及決定で返還が起きても総額は減らない。ただし遡及分は使わずに置いておく
- 退職後は未納にせず免除申請を出す。次の傷病の納付要件を守るため
- 動くタイミングは気持ちではなく数字で決める。目安は支給開始から12か月
※本記事は一般的な情報提供であり、受給を保証するものではありません。傷病手当金の取扱いは加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・共済組合)によって細部が異なる場合があります。金額や制度は改定されることがありますので、正式な内容は加入先の健康保険および年金事務所でご確認ください。
参考リンク
制度の正式な情報・最新の様式は、日本年金機構のホームページおよび 年金事務所でご確認ください。
このテーマの全体像は「障害年金の申請」にまとめています。