自分で申請する? アプリで進める? 社労士に頼む?

リード(直答)

障害年金は、自分で申請できます。社労士に頼まないと通らない制度ではありません。年金事務所は無料で相談に乗り、書類の点検もしてくれる。実際、多くの人が自分で申請して、受給しています。

同時に、こういう人もいます。初診日の病院が閉院している。一度不支給になった。申立書を書こうとすると、過去を思い出して数日動けなくなる。この人たちにとって、専門家に頼むことは「楽をする」ではなく「通る確率と、自分の体力を守る」選択です。

このページは、どちらが正しいかを言うページではありません。あなたの状況で、どの道がいちばん合理的かを、5つの質問で決めるページです。頼むと決めた人には、頼み方の注意も書きます。

決め手になるのは、この5つ

1. 初診日は、はっきりしているか

初診から同じ病院に通っていて、カルテもある。これなら、いちばん難しい関門がもう終わっています。自分で進めやすい。逆に、初診の病院が閉院している、カルテがない、複数の病院を転々としていて初診日の候補が複数ある。この場合、初診日の主張の組み立て方で結果が変わることがあり、専門家の経験が効きます。

2. 不支給になったことがあるか

一度不支給になってからの審査請求や再請求は、新規より格段に難しい。何が足りなかったかを処分の理由から読み解いて、それを埋める資料を組み立てる作業で、審査請求の書面は「自分で書けるレベルではない」と感じる人が多い。ここは、頼む価値がいちばん大きい場面です。

3. 書類を書く体力が、いま、あるか

病歴・就労状況等申立書は、発病から今までを自分の言葉で書く唯一の書類です。そして、過去を思い出す作業は、症状によっては再体験になる。10分書いて横になる、を2週間続けて仕上げた人もいれば、途中で止まったまま1年経った人もいます。家族が代筆できる制度もある。それでも難しければ、聞き取りを専門家に任せることは、甘えではありません。

4. 認定日にさかのぼる請求か、今の状態での請求か

さかのぼる請求(認定日請求)は、当時の診断書がもう1枚必要で、当時通院していたか、当時の記録が残っているかで組み立てが変わります。最大5年分がまとまって入る反面、資料の要件が厳しい。今の状態で請求する(事後重症)だけなら、比較的シンプルです。さかのぼりを狙う人ほど、専門家と相談する価値があります。

5. 頼んだ場合の費用を、受け取る額と比べたか

障害年金の手続き自体に、国へ払う手数料はありません。かかるのは診断書などの文書料と交通費だけです。社労士に頼む場合は、事務所ごとの契約で、着手金と成功報酬(受給が決まったときに払う)を組み合わせる型が多く見られます。成功報酬型なら、通らなければ着手金だけで済む。通ったときの報酬は、最初の振込から払うことを前提に設計されている事務所が多い。契約前に、「不支給だったらいくらか」「成功報酬はいつ、何を基準に払うか」の2点を必ず聞いてください。

3つの道を、並べて見る

自分で申請する 向いている人: 初診日がはっきりしている。書類を書く体力がある。年金事務所に行ける(または家族が行ける)。 かかるもの: 文書料と交通費。時間は準備に1〜3か月が目安。 強み: 費用が最小。自分の言葉で書ける。年金事務所の予約相談で書類の点検を無料で受けられる。 弱み: 初診日や認定日の組み立てで、知らずに不利な形で出してしまうことがある。孤独になりやすい。

アプリで進める(このサイトのアプリ) 向いている人: 自分で進めたいが、何から手を付けるか分からない。診察で伝えたいことを整理したい。記録を続けたい。 かかるもの: 無料で使えます。 強み: 生活の記録が、診察メモと申立書の材料になる。8つの段階で、いま自分がどこにいるかが見える。AIに相談できる。 弱み: 書類を代わりに作ったり、年金事務所に代わりに行ったりはしない。最終判断はあなたが行う。

社労士に頼む 向いている人: 初診日が複雑。不支給からの立て直し。体調的に手続きが難しい。さかのぼる請求を狙う。 かかるもの: 事務所ごとの契約(着手金+成功報酬の型が多い)。 強み: 初診日の主張の組み立て、診断書の依頼の段取り、申立書の聞き取りを一貫して任せられる。審査請求に対応できる。 弱み: 費用。事務所の質に差があり、選ぶ手間がかかる。「診断書に口を出す」事務所は避けるべき(主治医との関係を壊す)。

3つは排他ではありません。アプリで記録を続けながら、初診日の相談だけ社労士に行く。自分で書いた申立書を、年金事務所で点検してもらう。組み合わせている人が、実際には多い。

同じ道を歩いた人が、つまずいたところ

「頼めば通る」と思って、丸投げする

頼んでも、診察室であなたの状態を伝えるのはあなたです。生活の実態を主治医に伝えていなければ、どんな専門家でも診断書は変えられない。頼む場合も、記録と診察メモは自分で続けてください。それが、専門家に渡す材料にもなります。

「信頼できる社労士を探すこと自体が無理」で、自力に戻る

これは本当によくある。探す基準を3つに絞ります。障害年金を専門にしているか(労務が本業で年金は片手間、の事務所は多い)。費用の型を最初から明示しているか。診断書について「実態を正確に伝える手伝いをする」と言うか、「有利に書いてもらう」と言うか。後者は避けてください。無料相談で、この3点を聞くだけで、ずいぶん絞れます。

報酬を得て代行できるのは社労士だけ、と知らない

報酬を得て障害年金の書類作成・提出を代行できるのは、法律上、社会保険労務士だけです。「年金機構公認の代行」「特別なルート」を名乗る勧誘は、制度上存在しません。頼むなら、社労士登録の有無を確認してください。

年金事務所の無料相談を、使っていない

年金事務所の予約相談は、提出前の点検の場として使えます。書類の不足、記入漏れ、整合性をその場で見てもらってから出せば、差し戻しで審査が延びるリスクが減る。下書きを持って行けば、直すべき箇所を教えてもらえる。知っている人だけが使っている運用です。自分でやる人は、ここを必ず使ってください。

数字で見ると

厚生労働省の令和6年度の抽出調査では、新規裁定146,225件のうち非該当は18,982件(13.0%)でした。87%は支給に至っています。この数字には、自分で申請した人も、社労士に頼んだ人も含まれています。「頼まないと通らない」制度ではないことは、この割合が示しています。

一方で、非該当の13%の多くは、初診日の証明と、診断書と実態のずれで起きています。つまり、上の5つの質問のうち1と2に当てはまる人ほど、13%側に入りやすい。頼む価値は、人によって本当に違います。

よくある質問

Q. 途中まで自分でやって、行き詰まってから頼めますか。

できます。初診日の資料集めまで自分でやって、申立書と提出を頼む、という形も珍しくありません。ただし、年金事務所に一度出してしまった書類(初診日の申立など)は、あとから変えにくい。行き詰まったと感じたら、提出前に相談するほうが選択肢が残ります。

Q. 社労士に頼むと、主治医に迷惑がかかりますか。

専門家が診断書の内容に口を出すことはありません(それをする事務所は避けるべきです)。専門家がやるのは、必要な診断書の種類と現症日を確認して、依頼の段取りを整えること。主治医に渡す資料が整理されるので、むしろ依頼はスムーズになることが多い。

Q. 家族が代わりに手続きできますか。

できます。年金事務所での相談も、書類の提出も、家族が代理で行えます。申立書も家族が代筆できる制度があります(代筆者の氏名と続柄を書く欄があります)。本人が動けないことは、請求を諦める理由になりません。

次の一歩

5つの質問に、いま答えてみてください。初診日ははっきりしているか。不支給の経験はあるか。書く体力はあるか。さかのぼりを狙うか。費用と額を比べたか。

1と2が「いいえ」で、3が「ある」なら、自分で進める条件がそろっています。1か2が「はい」なら、無料相談を一度使ってから決めてください。

自分で進めるなら → 申請の流れ 8ステップ

年金事務所へ行くなら → 年金事務所に持っていくもの(チェックリスト)(/columns/nenkin-jimusho-soudan)

出典

  • 日本年金機構「障害年金ガイド」(請求手続き・予約相談) ・ 確認日 2026-08-31
  • 社会保険労務士法(業務の範囲) ・ 確認日 2026-08-31
  • 日本年金機構「病歴・就労状況等申立書」記入例(代筆) ・ 確認日 2026-08-31
  • 厚生労働省「障害年金の業務統計等(令和6年度)」 ・ 確認日 2026-08-31