用語辞典
障害年金でよく出てくる言葉を、むずかしくない言い方から説明します(40語)。
初診日まわり9語
初診日(しょしんび)
一番最初に、その症状で医師にかかった日のこと。
障害の原因になった病気やけがについて、初めて医師の診療を受けた日です。転院していれば、いちばん最初の病院での受診日。診断名がついた日ではありません。障害年金では、この日を起点に納付要件も、どの年金になるかも、いつ請求できるかも決まります。
注意: 精神科でなくてもよく、薬が出ていなくてもかまいません。
障害認定日(しょうがいにんていび)
「この日の状態で審査します」という基準日。
原則、初診日から1年6か月を過ぎた日です(それより前に症状が固定したと認められる場合はその日)。この日の障害の状態で等級が審査されるため、初診日が決まると自動的に決まります。
例外: 人工透析は開始から3か月、人工関節は入れた日、手足の切断はその日など、待たない特例があります。
受診状況等証明書(じゅしんじょうきょうとうしょうめいしょ)
初診の証明。最初の病院に書いてもらう紙。
初診の病院と、いま診断書を書いてもらう病院が違うときに、初診の病院に書いてもらう証明書です。傷病名と初診年月日などが記載されます。初診からずっと同じ病院なら不要です。
受診状況等証明書が添付できない申立書
「初診の証明が取れません」と伝える公式の紙。
最初の病院が閉院した、カルテが残っていない、といった理由で初診の証明が取れないときに提出する様式です。これに、当時の受診が分かる資料(お薬手帳、診察券、紹介状など)を添えます。証明が取れないこと自体が疑われるわけではありません。
第三者証明(だいさんしゃしょうめい)
当時を知っている人に「この病院に通っていた」と書いてもらう紙。
家族以外の人(友人・隣人・当時の先生・職場の同僚・民生委員など)に書いてもらいます。三親等内の親族には頼めません。原則2人分。20歳より後の初診では診察券などの客観的な資料と組み合わせ、20歳前の初診ではこれだけで認められる場合があります。
相当因果関係(そうとういんがかんけい)
「前の病気がなかったら、後の病気は起きなかった」と言える関係。
この関係があると、後の病気は前の病気に起因するものとして扱われ、初診日は前の病気の初診まで戻ります。代表例は、糖尿病から腎症・透析に至った場合です。初診日が何十年も前になることがあり、受給の入口を左右します。
社会的治癒(しゃかいてきちゆ)
長く治療せずに普通に暮らせていた期間があると、初診日が動くことがある、という考え方。
通院も服薬もせず社会生活を送れていた期間のあと再発した場合、再発後の受診を初診とみる余地があります。ただし明確な基準が公表されているものではなく、個別の判断です。復職して働いていても治療が続いていた場合は認められなかった例もあります。
障害認定日請求(にんていびせいきゅう)
「あのときの状態」で請求するやり方。
障害認定日の時点の状態で請求する方法です。認められると認定日の翌月分からさかのぼって支給されます(受け取れるのは時効で直近5年分まで)。認定日から3か月以内の状態を書いた診断書が必要です。
事後重症請求(じごじゅうしょうせいきゅう)
「いまの状態」で請求するやり方。
障害認定日には等級に該当しなかったが、その後悪化した場合の請求方法です。請求した月の翌月分から支給されるため、請求が遅れるとその分だけ受け取り開始も遅れます。65歳の誕生日の前々日までに請求する必要があります。
書類8語
診断書(しんだんしょ)
医師が書く、いまの状態の証明。審査の中心になる書類。
障害の分野ごとに様式が分かれています(精神/眼/聴覚等/肢体/呼吸器/循環器/腎・肝・糖尿病/血液その他)。審査する人はあなたに会わないので、ここに書かれたことが判断材料のほぼすべてになります。
注意: 提出前の確認が実質的に最後の機会です。
現症日(げんしょうび)
その診断書が「いつの状態」を書いたものか、という日付。
診断書には、どの時点の状態を書いたかのルールがあります。たとえば障害認定日請求なら、認定日以後3か月以内の状態でなければ使えません。ここが要件から外れていると出し直しになります。
注意: 医師に依頼する前に、必要な現症日を年金事務所で確認しておくと安全です。
病歴・就労状況等申立書(びょうれき・しゅうろうじょうきょうとうもうしたてしょ)
発病から今までを、自分の言葉で書く唯一の書類。
略して「申立書」。診断書に書ききれない日常の困りごとや経過を伝える場所です。パソコンで作ってもよく、体調的に難しければ家族などが代筆できます(代筆者の氏名と続柄を書く欄があります)。
日常生活能力の判定(にちじょうせいかつのうりょくのはんてい)
精神の診断書で、7つの場面ごとに「どれくらいできるか」を評価する欄。
適切な食事、身辺の清潔保持、金銭管理と買い物、通院と服薬、他人との意思伝達・対人関係、身辺の安全保持・危機対応、社会性の7項目です。「単身で生活し、援助を受けていない場合」を想定して判断される決まりです。
日常生活能力の程度(にちじょうせいかつのうりょくのていど)
精神の診断書で、生活の全体像を5段階で評価する欄。
おおまかに、単身で問題なく生活できる段階から、常時の援助が必要な段階までの5区分です。7項目の判定の平均値と、この5段階の組み合わせで、等級の目安表が作られています。
一般状態区分(いっぱんじょうたいくぶん)
内部疾患の診断書で、生活の制限度を5段階で示す欄。
心臓・腎臓・肝臓・がんなどの診断書にあり、無症状で普通に働ける段階から、終日横になって介助が必要な段階まで。「日中の50%以上就床している」といった時間の割合で書かれているので、伝えるときも数字が有効です。
診断書記載要領(しんだんしょきさいようりょう)
国が医師向けに出している、診断書の書き方の手引き。
厚生労働省が公開しています。依頼のときに「参考にこちらを」と渡すのは失礼にあたりません。国の公式資料です。
文書料(ぶんしょりょう)
診断書などを書いてもらうときに病院へ払うお金。
金額は病院ごとに決まっていて、原則自己負担です。さかのぼる請求では診断書が2通必要になるなど、枚数が増えることがあります。なお、障害年金の請求・審査・更新について、国に払う手数料はありません。
審査8語
障害認定基準(しょうがいにんていきじゅん)
どの状態が何級にあたるかを、部位・病気ごとに定めた国のルールブック。
厚生労働省が公開しており、誰でも読めます。眼、聴覚、肢体、精神、呼吸器、循環器…と節に分かれていて、自分の障害がどの節のどの基準で見られるかを確認できます。
等級判定ガイドライン(とうきゅうはんていがいどらいん)
精神の障害について、全国で判定がばらつかないように作られた共通の目安。
平成28年から使われています。「日常生活能力の程度」と「判定の平均」の組み合わせによる等級の目安表があり、就労や独居の扱い、援助が常態化した環境の考え方も書かれています。目安がそのまま結果になるわけではなく、総合評価で前後します。
非該当(ひがいとう)
「障害の程度が等級に当てはまらない」という結果のこと。
いわゆる不支給の一種です。令和6年度は新規の13.0%でした。理由は等級だけでなく、初診日が証明できない、納付要件を満たさないといった場合もあり、通知に書かれた理由で次の一手が変わります。
審査請求(しんさせいきゅう)
結果に納得できないときの、一段階目の不服申立て。
社会保険審査官に対して行います。期限は、決定を知った日の翌日から3か月以内。更新で等級が下がった場合や支給停止になった場合も、同じように申し立てられます。
再審査請求(さいしんさせいきゅう)
一段階目の結果にも納得できないときの、二段階目。
社会保険審査会に対して行います。期限は、決定書の謄本が送られた日の翌日から2か月以内。ここでの判断(裁決)は公開されており、このサイトの「実例」はその公開裁決を構造化したものです。
裁決(さいけつ)
再審査請求に対して、社会保険審査会が出す判断のこと。
「容認」は元の処分が取り消されたもの、「棄却」は処分が維持されたもの、「一部容認」はその中間です。個人が特定されない形で公開されており、何が結論を分けたのかを読めます。
額改定請求(がくかいていせいきゅう)
受給中に症状が重くなったとき、等級を上げてもらう手続き。
診断書を添えて請求します。原則、受給権が発生した日または前回の審査から1年を経過してからです(明らかな悪化として定められた場合は1年以内でも可能ですが、精神の障害はその一覧に含まれていません)。
併合認定(へいごうにんてい)
複数の障害があるとき、合わせて等級を判断する仕組み。
一つの障害だけでは等級に届かなくても、複数を併せると上位の等級になることがあります。精神と身体など分野が違う場合は、複数の診断書を出すことがあります。
お金・要件9語
保険料納付要件(ほけんりょうのうふようけん)
「保険料をちゃんと納めていたか」の条件。初診日の前日で判定される。
①初診日の前々月までの加入期間の3分の2以上が納付済みまたは免除、②初診日に65歳未満で、前々月までの直近1年間に未納がない(特例)、のどちらかを満たせばよい仕組みです。20歳前に初診日がある場合は問われません。
注意: 発症してから慌てて納めても、その傷病には間に合いません。
免除・猶予(めんじょ・ゆうよ)
保険料を「払えない」と届け出て、未納にしないでおく手続き。
学生納付特例を含め、手続きをしていた期間は納付要件の計算で未納として扱われません。産休・育休中の免除も同じです。「払えていなかったから無理」と思う前に、記録を確認する価値があります。
障害基礎年金(しょうがいきそねんきん)
国民年金から出る、定額の障害年金。1級と2級だけ。
初診日に国民年金の被保険者だった人(自営業、学生、無職、専業主婦・主夫など)や、20歳前に初診日がある人が対象です。金額は定額で、18歳の年度末までの子がいれば加算があります。3級はありません。
障害厚生年金(しょうがいこうせいねんきん)
厚生年金から出る、給与と加入期間で額が変わる障害年金。3級もある。
初診日に会社員・公務員だった人が対象です。2級以上なら障害基礎年金と二階建てで両方受け取れます。3級はこの制度だけの等級で、最低保障額が定められています。加入が300月(25年)未満でも300月として計算されます。
障害手当金(しょうがいてあてきん)
3級に届かない障害のときに、厚生年金から出る一時金。
年金ではなく、一度きりの支給です。額は障害厚生年金(報酬比例)の2年分で、最低保障額も定められています。
加給年金(かきゅうねんきん)
障害厚生年金1・2級の人に、配偶者がいる場合につく加算。
生計を維持している65歳未満の配偶者が対象です。3級にはつきません。障害基礎年金にあるのは子の加算で、配偶者の加算はありません。
年金生活者支援給付金(ねんきんせいかつしゃしえんきゅうふきん)
所得が一定以下の人に、年金に上乗せされる給付金。
障害年金を新しく請求するときに、同時に請求するのが原則です。出し忘れが多い書類なので、請求のときに窓口で確認してください。
法定免除(ほうていめんじょ)
障害基礎年金1・2級を受けている間、国民年金保険料が法律上免除されること。
払わなくてよくなりますが、免除期間は将来の老齢基礎年金が全額納付より少なく計算されます。希望すれば納付を続けることも、あとから追納することもできます。
時効(じこう)
さかのぼって受け取れるのは、直近5年分まで、という決まり。
申請そのものに時効はなく、初診日が30年前でも請求できます。時効があるのは「支払いを受ける権利」のほうです。
受給後6語
年金証書(ねんきんしょうしょ)
受給が決まったことを知らせる、いちばん大事な書類。
提出からおおむね3か月後に届き、そこから1〜2か月後に初回の振込があります。次回の更新時期もここに書かれています。精神障害者保健福祉手帳を診断書なしで申請するときにも使えます。大切に保管してください。
障害状態確認届(しょうがいじょうたいかくにんとどけ)
更新のときに提出する診断書。いわゆる「更新」の正式名称。
誕生月の3か月前の月末に届き、提出期限は誕生月の末日です。有期認定の場合、毎年ではなく数年ごとに提出します。審査されるのは障害の状態だけで、初診日や納付要件はやり直しません。
有期認定・永久認定(ゆうきにんてい・えいきゅうにんてい)
更新があるタイプと、更新がないタイプ。
有期認定は数年ごとに障害状態確認届を出します。永久認定は、症状が変わらないと見込まれる場合に更新が不要になるものです。どちらかは年金証書や通知で確認できます。
支給停止(しきゅうていし)
年金の支払いが止まること。受給権そのものが消えるわけではない。
更新の書類が未提出・不備の場合、審査で等級に該当しないと判断された場合、20歳前傷病で所得が基準を超えた場合などに起こります。理由によって、出せば再開する、不服申立てができる、翌年戻る、と対処が違います。
支給停止事由消滅届(しきゅうていしじゆうしょうめつとどけ)
止まった年金の再開を求めるときに出す届。
支給停止のあとに状態が悪化したとき、診断書を添えて提出します。停止は失権ではないので、条件がそろえば支払いが再開します。
併給調整(へいきゅうちょうせい)
ほかの給付と重なるとき、両方は満額もらえない、という調整のこと。
同じ病気についての傷病手当金と障害厚生年金、子の加算と児童扶養手当、労災の補償と障害厚生年金などで起こります。どちらか一方しか申請できないという意味ではなく、決まったあとに金額が調整される仕組みです。
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