受診状況等証明書とは?病院への依頼方法・郵送・確認ポイント
この記事の結論
受診状況等証明書は「初診日」を証明する書類で、初診の医療機関にカルテをもとに書いてもらいます。障害の重さを書く診断書とは別物です。初診の病院と今の病院が同じなら不要です。
依頼はまず電話で、「カルテが残っているか」「文書料」「かかる期間」「用紙と受け取りの方法」を一度に聞きます。文書料も期間も病院ごとに違います。郵送で取り寄せることもできます(台本と添え状の見本を本文に)。
取りに行く前に、年金事務所で「どの病院が初診か」を確認してください。精神科でなく内科が最初なら、そこが初診の病院です。
カルテがなくても終わりではありません。2番目の病院の紹介状・カルテ以外の記録・手元の資料・添付できない申立書・第三者証明の順に進めます。医師法の保存期間は5年なので、動くのは早いほどよい。
障害年金の申請書類の中で、いちばん最初に取りかかるべきなのに、いちばん後回しにされがちな書類があります。「受診状況等証明書」です。
理由は単純で、この書類だけは過去の病院に頼まなければならないから。もう通っていない、担当医の顔も覚えていない、そもそも診察券をなくした——そんな病院に電話をかける作業は、心理的なハードルが高い。だから後回しになり、そして後回しにした結果、カルテの保存期間を過ぎて取れなくなるという最悪の展開が起こります。
この記事では、この書類の正体と、依頼から受け取りまでの実務、そして取れなかったときのすべてのルートを整理します。
このページで分かること
- 受診状況等証明書とは何か、どの病院に頼むのか
- 電話・郵送での依頼のしかた(台本と添え状の見本つき)と、費用・期間の聞き方
- カルテがない・病院がないときの、5つのルート
受診状況等証明書とは
まず、この書類の位置づけを整理します。
受診状況等証明書は、障害年金の手続きで「初診日」を確認するために使われる書類です。初診の医療機関に、カルテなどの記録をもとに作成してもらいます。障害の重さを証明する診断書とは、役割がまったく違います。
- 受診状況等証明書 = 初診日を確認するための書類。初診の医療機関に書いてもらう
- 診断書(精神の障害用) = 障害の程度を伝える書類。現在の主治医に書いてもらう
そして、押さえておきたいことが2つあります。
(1) すべてのケースで必要とは限りません
初診の病院と、診断書を書いてもらう現在の病院が同じであれば、この書類は不要とされています。診断書に初診日を記入する欄があり、そこで初診日を確認できるためです。「ずっと同じクリニックに通っている」という方は、この書類のことをいったん忘れて構いません。
(2) 自分の判断だけで取得しないでください
必要かどうか、どの医療機関に依頼するかは、経過によって変わります。文書料も時間もかかる書類なので、取りに行く前に年金事務所などで確認するほうが、結果的に無駄がありません。確認のしかたは障害年金を年金事務所で相談するときの持ち物にまとめました。
障害年金は初診日によって受け取れる年金の種類も、納付要件の判定も、障害認定日も決まります。だからこそ、この書類は制度の土台に当たります。当サイトが確認した社会保険審査会の裁決91件のうち、初診日が争点になったものは35件。ここが決まらないと、どれだけ重い状態でも手続きが前に進みません。
→ 何をそろえればいい?どの病院に依頼する?
依頼先を間違えると、費用も時間も無駄になります。考え方はこうです。
(1) 原則として、初診の医療機関が候補になります
「その傷病で初めて医師にかかった医療機関」です。
(2) 現在通っている病院とは限りません
転院している場合、依頼先はいま通っている病院ではなく、最初にかかった病院になります。「いつもの先生に頼めばいい」と思って現在の主治医に頼み、後から違うと分かる——これがよくある行き違いです。
(3) 初診日の考え方が複雑な場合があります
精神科ではなく内科で相談したのが最初だった、診断名が途中で変わった、複数の傷病が関係している——こうしたケースでは、どこが初診の医療機関に当たるかの判断が分かれることがあります。迷ったら、依頼する前に年金事務所へ確認してください。
初診日そのものがはっきりしない場合の探し方は、障害年金の初診日がわからないときの調べ方にまとめています。
様式の入手と、依頼の流れ
様式は日本年金機構のホームページからダウンロードできます。年金事務所や市区町村の窓口でももらえます。両面印刷で使う様式なので、家で刷る場合は設定に注意してください。
依頼の流れは次のとおりです。
- 初診の病院に電話して、障害年金用の受診状況等証明書を作成してもらえるか確認する(カルテが残っているかの確認を含む)
- 様式を持参または郵送する(病院によっては郵送での受付・返送に対応)
- 作成を待つ(かかる期間は病院によって異なります)
- 受け取り、文書料を支払う
- 内容を確認し、コピーを取る
ポイントは1です。いきなり窓口に行かず、まず電話で「カルテが残っているか」を確認すること。カルテがなければ作成そのものができないので、往復の労力を無駄にせずに済みます。
病院へ電話するときの伝え方
いちばんハードルが高いのが、この電話です。そのまま読み上げられる形にしておくと、ぐっと楽になります。
「障害年金の手続きで、受診状況等証明書の作成をお願いできるか確認したく、お電話しました。必要な書類や申込方法、費用、受け取りまでの期間を教えていただけますか。」
これだけで用件は伝わります。ポイントは、書類名と「障害年金の申請で使う書類である」ことを、どちらも伝えることです。
というのも、病院によっては書類の呼び方や受付の窓口が違い、「受診状況等証明書」という名称だけでは伝わらないことがあります。そんなときは、こう補ってください。
「障害年金の申請で使う書類で、初診日を証明していただくものです。年金機構の様式があります。」
診断書と混同されることもあるので、「診断書ではなく、初診日についての書類です」と一言添えると、行き違いが減ります。
電話が苦手なら、家族に代わってもらって構いません。障害年金の手続きを本人以外が行うことは制度上問題なく、実務でも家族が動くケースはよくあります。ただし本人確認の運用は病院によって異なるので、その点も電話で確認しておきます。
完成形:電話での依頼台本
もう少し詳しく確認したい方のために、やり取りの流れも載せておきます。アキさん(32歳・うつ病。この記事のための架空の例です)が、5年以上前に通っていたAクリニックにかけたときの内容です。
(受付が出たら) 「お世話になっております。以前そちらに通院していた者です。障害年金の申請に必要な『受診状況等証明書』という書類を作成していただきたく、お電話しました。」
(氏名・生年月日・通院時期を聞かれる) 「氏名は◯◯、生年月日は◯年◯月◯日です。通院していたのは2019年7月ごろから2020年3月ごろまでだったと思います。」
(確認したいこと) 「まず、当時のカルテが残っているかどうかを確認していただけますか。もし残っていれば、書類の作成をお願いしたいのですが——
- 費用はいくらでしょうか
- どのくらいの期間でかかりますか
- 用紙は持参と郵送のどちらがよいでしょうか
- 受け取りは窓口と郵送のどちらが可能ですか」
(その場で分からないと言われたら) 「では、確認していただいてから折り返しのお電話をいただくことは可能でしょうか。◯◯までの番号にお願いします。」
コツは3つです。(1) 書類名を正確に言う(「障害年金の書類」だけだと診断書と混同されます)。(2) カルテの有無を最初に聞く。(3) 費用・期間・受け渡し方法を一度に聞く。この3点を押さえると、電話1本で必要な情報が全部そろいます。
受診状況等証明書を郵送で依頼する方法
昔の病院が遠方にある、引っ越して通えない、体調的に来院が難しい——という場合、受診状況等証明書は郵送で取り寄せられます。ただし、郵送での受付・返送に応じるかどうかは病院によって異なります。来院を求める病院もあるので、必ず先に電話で確認し、確認しないまま勝手に書類を送らないでください。受け付けてもらえずに戻ってきたり、行き違いで時間だけが過ぎたりします。
電話で確認しておく項目
「これを全部そろえれば必ず受け付けてもらえる」というリストではなく、「病院に聞いておくこと」のリストとして使ってください。同じ地域でも運用が違うことがあるので、電話で確認した内容をメモしておくと確実です。
- □ 郵送での依頼に対応しているか
- □ カルテが残っているか
- □ 申請書や、病院独自の依頼書は必要か
- □ 受診状況等証明書の様式は、こちらで用意して同封するのか
- □ 本人確認書類の写しは必要か
- □ 返信用封筒と返送用の切手はこちらで用意するのか
- □ 文書料の金額と支払い方法(窓口払い、振込、現金書留など)
- □ かかる期間
- □ 委任状や、申請者との関係を示す書類は必要か(家族が手続きする場合)
封筒に入れるもの
- 受診状況等証明書の用紙(日本年金機構のサイトから印刷できます)
- 依頼状(氏名・旧姓・生年月日・当時の住所・受診時期・連絡先を明記。下に見本があります)
- 返信用封筒(切手を貼り、自分の宛名を書いたもの)
- 本人確認書類のコピー(病院から求められる場合があります)
- 文書料(病院の指定方法に従う)
旧姓や当時の住所は必ず書いてください。カルテの検索キーになります。送るときは、記録が残る方法(特定記録・簡易書留など)が安心です。届くまでの期間は病院によって幅があります。電話で聞いた目安を過ぎても届かない場合は、問い合わせて構いません。
届いたら、初診日の日付、傷病名、「本人の申立てによる」などの記載の有無を確認し、必ずコピーを取ってから提出します(確認する項目は下の「受け取った後に確認するポイント」)。
完成形:郵送で依頼するときの添え状
〇〇クリニック 御中
お世話になっております。以前貴院に通院しておりました◯◯(生年月日:◯年◯月◯日)と申します。
障害年金の申請にあたり、同封の「受診状況等証明書」の作成をお願いしたく、ご連絡いたしました。通院していた時期は2019年7月ごろから2020年3月ごろです。
つきましては、下記のとおりお願いいたします。
- 作成後、同封の返信用封筒にてご返送ください
- 文書料は、金額をお知らせいただければ指定の方法でお支払いいたします(振込・現金書留等、ご指示ください)
- カルテが保存されていない等で作成が難しい場合は、その旨をお電話またはお手紙でお知らせいただけますと幸いです
- 恐れ入りますが、◯月◯日ごろまでにご対応いただけますと助かります
体調により来院が難しく、郵送でのお願いとなりましたことをお詫び申し上げます。何卒よろしくお願いいたします。
◯年◯月◯日 氏名/住所/電話番号
ポイントは、作成できない場合の連絡方法まで書いておくこと。これがないと、何も返事が来ないまま数週間が過ぎることがあります。
なお、カルテが破棄されていた・病院が廃院していた場合は、この手続き自体が成立しません。その場合の次の一手は、この記事の「カルテが残っていない場合」と、カルテがないときの記事・廃院しているときの記事で解説しています。
発行までにかかる期間と文書料
どのくらいで受け取れるかは、病院によって異なります。「◯週間で出る」と一律に言えるものではありません。
- 医師の勤務日や外来の混み具合によって変わります
- 古いカルテを倉庫から探す必要がある場合は、その分の時間がかかります
- 医療機関の規模や、文書作成の体制によっても違います
そのため、依頼するときに「どのくらいかかりそうか」を必ず確認してください。そのうえで、急ぐ事情がある場合(たとえば遡及請求で時効が迫っている場合)は、最初にその旨を伝えておきます。逆に「いつでもいいです」と伝えると後回しになりやすいので、期限がある方は最初に期限を言うのが実務のコツです。
文書料も、自由診療なので病院ごとに決まっています。健康保険は使えません。金額は、依頼の電話のときに一緒に聞いておくと当日慌てません。
複数の病院に依頼が必要な場合(初診の病院が特定できず、2番目・3番目に問い合わせる場合など)は、同時並行で動くと時間の節約になります。1件ずつ順番に待っていると、それだけで数か月が過ぎます。
受け取った後に確認するポイント
書類ができあがったら、提出する前に中身を確認してください。内容を確認して提出するのは正当な手続きです。見るところは次のとおりです。
- 氏名、生年月日など — 誤字や生年月日の誤りがないか
- 医療機関名 — 依頼した医療機関の名称になっているか
- 初診年月日 — ここが本体です。手元の資料(お薬手帳・領収書)や自分の記憶と大きくずれていないか。「不詳」となっている場合は、その後の対応が変わります
- 傷病名 — 当時の病名が現在と違っていても問題はありません(「うつ状態」→「うつ病」など)。ただし、現在請求しようとしている傷病とのつながりが読み取れるかは確認しておきます
- 受診経過 — いつごろから、どんな症状で受診に至ったかが書かれているか。空欄だと情報量が落ちます
- 記載漏れや読みにくい箇所 — 空欄のままの項目、判読しづらい箇所がないか
- 自分の認識と大きく異なる箇所 — 特に「前医の有無」の欄です。この欄に「あり」とあると、その前の医療機関が初診の医療機関になる可能性が出てきます。心当たりがない場合は、何を根拠に記載されたのかを確認してください
そして、いちばん大事なことです。気になる箇所があっても、本人が内容を書き換えたり、消したりしないでください。この書類は医師が作成するものです。事実と異なると感じた場合は、病院へ連絡して、確認・訂正を依頼するのが正しい手順です。自分で修正すると、書類そのものが使えなくなるおそれがあります。
また、提出する前に必ずコピーを取ってください。再取得には時間もお金もかかります。
「初診日」の定義を誤解していないか
依頼の前に、もうひとつ確認しておきたいことがあります。あなたが「初診」だと思っている病院は、本当に初診でしょうか。
障害年金の初診日は「その傷病で初めて医師の診療を受けた日」です。ここには、思い込みでずれやすいポイントがあります。
- 精神科でなくてもよい。不眠や倦怠感で内科・心療内科を受診したのが最初なら、そこが初診日になり得ます
- 診断名が違ってもよい。最初が「自律神経失調症」「適応障害」で、後に「うつ病」に変わった場合、同一の傷病の流れ(相当因果関係)と判断されれば、初診日は最初の受診日のままです
- 健康診断だけでは原則、初診にならない(医師の診療を受けたかどうかがポイント)
- 発達障害は、大人になってからの受診でも原則どおり「初めて医師の診察を受けた日」が初診日です
つまり、「精神科に初めて行った日」ではなく、「その症状で初めて医師にかかった日」を探す必要があります。ここを取り違えると、依頼する病院そのものが間違っていることになります。判断に迷ったら、年金事務所の相談で確認してください。
→ 「初診日は、病名がついた日」は誤解です→ 「健康診断で引っかかった日が、初診日」は誤解ですカルテが残っていない場合
「カルテは破棄しました」と言われることがあります。カルテの保存期間は医師法により最終受診から5年間とされているためで、初診から長い年月が経っているほど起こりやすくなります。ここで諦めてしまう方が多いのですが、確認しておきたいことが3つあります。
- 受診状況等証明書を添付できない場合の申立書など、別の対応が検討されることがあります。「証明書が取れない=申請できない」ではありません
- 診察券、お薬手帳、紹介状などが手がかりになる場合があります。当時の受診を示す資料が残っていないか、家の中を探してみてください
- どの方法が使えるかは個別の判断になります。自分だけで結論を出さず、年金事務所や専門家へ相談してください
ここからは、その場合に取れる方法を順番に見ていきます。
ルート1:2番目、3番目の病院に問い合わせる
初診の病院がだめでも、その次にかかった病院にカルテが残っていれば、そこで受診状況等証明書を作成してもらえる場合があります。ポイントは、その病院のカルテに前医(=本来の初診の病院)の記載があるかです。
紹介状(診療情報提供書)や、カルテ内の前医の記載は、初診日を確定させる決定打になります。「◯年◯月より△△病院で治療を受けていたが、改善なく当院紹介受診」——こうした一文がカルテにあれば、それが初診日を裏づける客観的な証拠になります。実際に、医師の診療情報提供書から初診日が認定された裁決があります(下の実例)。
だから、2番目の病院に電話するときは、こう頼んでください。「カルテに、前にかかっていた病院の記載がないか確認していただけますか」。これが、この記事でいちばん実用的な一文かもしれません。
3番目、4番目と、記録が残っている一番古い医療機関を探して順に問い合わせていきます。
ルート2:カルテ以外の記録がないか聞く
「カルテはない」と言われても、そこで終わりにしないでください。医療機関には、カルテ以外の記録が残っていることがあります。
- 受診受付簿・診察券の発行記録
- 入院記録・手術記録
- 紹介状の控え
- レセプト(診療報酬明細)の控え
これらが残っていれば、当時の担当医が退職していても、別の医師が記録に基づいて受診状況等証明書を作成できる場合があります。また、書類そのものは作れなくても、カルテの写しや受付簿の写しの開示請求ができないかを聞いてみる価値があります。それ自体が初診日の参考資料になります。
ルート3:自分の手元・第三者の資料を集める
医療機関側に何もなくても、証拠はあなたの側に残っていることがあります。「受診状況等証明書が添付できない申立書」に添付する参考資料として、次のようなものが挙げられています。
- 障害者手帳(身体・療育・精神)と、その申請時の診断書
- 生命保険・損害保険・労災保険の給付時の診断書
- 事業所の健康診断の記録
- 母子健康手帳
- 健康保険の給付記録(レセプト、医療費のお知らせ)
- お薬手帳・領収書・診察券(診察日や診療科が分かるもの)
- 小中学校の健康診断の記録・成績通知表
- 第三者証明(当時のことを知る第三者による証明)
保険会社に過去の給付記録を照会する、健康保険組合に医療費の記録を請求する——手間はかかりますが、これらは自分で動けば手に入ります。家族が手伝える作業でもあります。
ルート4:「受診状況等証明書が添付できない申立書」を出す
上記を尽くしてもだめな場合、この申立書を提出します。様式には、添付できない理由(カルテが残っていない/廃業している/その他)、どうやって確認したか(電話/訪問/その他)、確認した年月日、そして添付できる参考資料のチェック欄があります。
ここで絶対に誤解してはいけないことがあります。この申立書を出せば初診日が認められる、というものではありません。この書類は「受診状況等証明書を添付できない理由の説明」にすぎず、それだけでは初診日は証明されません。代わりとなる客観的な証拠を、別途そろえる必要があるのです。
つまりこの申立書は、ルート1〜3を尽くしたことの説明書であって、免罪符ではありません。書類を出す前に、参考資料の欄を1つでも多く埋めることに力を注いでください。
ルート5:第三者証明を使う(ただし条件あり)
第三者(当時のことを知る、三親等内の親族以外の人)による証明が使える場合があります。ただし条件と限界があります。
- 20歳以降に初診日がある場合は、原則2名分の第三者証明に加えて、参考資料が必要です
- 20歳前に初診日がある場合は、第三者証明2名分だけで認められる道があります
- 初診日ごろの受診を直接見ていた医師・看護師などの医療従事者による証明は、1名でも医師の証明と同等に扱われます
- 書けるのは、初診日ごろに直接見て知ったこと、または初診日ごろか請求の5年以上前に本人や家族から聞いたことだけです。申請のために最近聞いた話は認められません
これとは別に、請求日の5年以上前に医療機関が作成したカルテ等に、初診日についての記載があれば、それをもとに初診日を認める取り扱いもあります。このあたりは制度の細部にわたるので、年金事務所で自分のケースの取り扱いを確認してください。頼み方は第三者証明の記事にまとめています。
依頼する前に、自分の手元を先に探す
病院に連絡する前に、10分だけ家の中を探してください。ここで何か出てくると、その後の交渉がまったく変わります。
- お薬手帳(古いものも。日付と処方内容が残ります)
- 診察券(病院名と診察券番号。カルテを探してもらう手がかりになります)
- 領収書・明細書(日付と診療科)
- 健康保険の「医療費のお知らせ」(受診した医療機関と月が分かります。健保組合・協会けんぽ・国保に照会して過去分を取り寄せられる場合もあります)
- 紹介状の控え(前の病院からもらったもの)
- 母子健康手帳(20歳前の傷病の場合)
- 手帳の申請時に提出した診断書の控え
これらは、(1)病院に問い合わせるときの手がかりになり、(2)証明書が取れなかった場合の参考資料になり、(3)初診日の記憶が曖昧なときの確認材料になります。一石三鳥の10分です。
家族に「昔の書類、まとめてある箱ってある?」と聞いてみるのも有効です。本人が捨てたと思っていたものを、家族が保管していることは珍しくありません。
同じ状況の人が、どうなったか
社会保険審査会の裁決から、受診状況等証明書が取れない状態で初診日が争われた実例です。原文は厚生労働省の公開資料で確認しています。
糖尿病性腎症・事後重症請求(令和4〜5年、原文(厚労省PDF)) — 初診日を確認できないとされた処分について、医師の診療情報提供書(紹介状)から厚生年金の期間中の初診日と納付要件を認め、原処分が取り消されました。ルート1の「2番目の病院に前医の記載を聞く」は、この種の裁決が根拠です。
慢性腎不全・新規裁定(令和6年、原文(厚労省PDF)) — 国民年金の期間中の初診日を確認できないとされた処分について、健康診断の記録などから初診日を認定し、原処分が取り消されました。ルート3の「事業所の健康診断の記録」が働いた例です。
統合失調症・事後重症請求(令和2〜3年、原文(厚労省PDF)) — 古い診療録が残っていなくても、あとの病院の診療録、入院中に届いた消印付きの手紙、院内の大会の賞状などから「遅くともこの日には精神科病院に入院していた」と認定されました。ルート1と3を組み合わせた形です。
タイムリミットの意識を持つ
この書類には、明示的な「申請期限」はありません。しかし、実質的なタイムリミットが2つあります。
(1) カルテの保存期間(最終受診から5年)
今日は残っていても、来年には破棄されているかもしれません。特に、最後の受診から4年半といったタイミングにいる人は、今すぐ動くべきです。「体調が良くなってから」と待っている間に、証明手段が消えます。
(2) 遡及請求の時効(5年)
障害認定日から5年以上経っている人は、遡及請求が1か月遅れるごとに受け取れる過去分が1か月分ずつ減っていきます。初診の証明はその請求の土台なので、ここが遅れると全部が遅れます。
「証明書1枚くらい、いつでも取れる」——この感覚が、いちばん高くつきます。カルテは、あなたの体調とは無関係に、粛々と保存期間を過ぎていきます。
家族が代わりに動くときの段取り
本人が電話も外出も難しいとき、家族が動くのが現実的です。手続きを本人以外が行うことは制度上まったく問題ありません。
病院への依頼を家族がする場合の段取りは次のとおりです。
- 本人から病院に一度連絡を入れておく(可能なら)。「家族が代わりに手続きします」と伝えておくと、その後がスムーズです
- 本人確認の方法を電話で確認する。委任状が必要か、本人の健康保険証や診察券の提示でよいか、病院によって運用が違います
- 委任状を用意する。本人の署名があるもの。様式が決まっていないことが多いので、病院に確認します
- 文書料の支払い方法を確認する。郵送依頼なら振込や現金書留になることがあります
そして、家族が動くときこそ情報の共有が大事です。「どの病院に、いつごろ通っていたか」を本人から聞き出すのがそもそも大変なので、年金事務所の相談で作った通院歴の一覧を共有しておくと、家族が迷いません。
「もう1回、頼み方を変えてみる」という選択肢
病院に断られたとき、それが「物理的に不可能」なのか「その日の担当者の判断」なのかは、実は区別がつきにくいものです。受付で即答された「破棄しています」が、実際の保管状況と違っていたという話は珍しくありません。
1回の電話で終わらせず、文書で照会する、日を改めて相談する、家族から連絡してみる——打ち手はまだあります(→断られたときの型別対処)。「ない」という回答は書面でもらってください。それ自体が、添付できない申立書に添える「確認した記録」になります。
もちろん、本当にカルテがない場合は無理をしても出てきません。ルート1〜3を並行して進めながら、粘れるところは粘る——この二正面作戦が現実的です。
いま通っている病院を「未来の初診証明」にする
最後に、視点を変えます。この記事を読んでいる人の中には、これから長く通院する人もいるはずです。数年後のあなたが同じ苦労をしないために、今できることがあります。
- 転院するときは、必ず紹介状をもらう。紹介状は、後から初診日を証明する最強クラスの資料です
- お薬手帳を捨てない。1冊が終わっても保管しておく
- 診察の領収書を保管する。日付と医療機関名が残ります
- 通院の記録を自分でも残す。いつ、どこに、何のために行ったか
そして、記録の習慣は初診日証明だけでなく、審査の本体(診断書の中身)にも効いてきます。日々の出来事を短くメモすると、診察で医師に渡す資料と申立書の下書きに整理されるアプリを作りました。
通院した日・症状の変化・生活の困りごとが日付つきで残るので、数年後に「あのとき、どの病院に、いつ行ったか」を思い出す作業もぐっと楽になります。ログイン不要・記録は端末の中に保存され、基本機能は無料です。
よくある質問(FAQ)
Q. 受診状況等証明書はいくらかかりますか?
A. 自由診療の文書料なので病院ごとに決まっていて、健康保険は使えません。依頼の電話をするときに、あわせて金額を確認してください。
Q. 完成までどのくらいかかりますか?
A. 病院によって異なります。医師の勤務日や混雑状況、古いカルテを探す必要があるかどうかで変わるため、依頼するときに目安を確認してください。時効が迫っているなど期限がある場合は、その旨もあわせて伝えておきます。
Q. 初診の病院と今の病院が同じ場合も必要ですか?
A. 不要です。診断書に初診日を記入する欄があり、それで証明を兼ねられます。転院している場合のみ必要になります。
Q. カルテが破棄されていると言われました。もう無理ですか?
A. まだ手はあります。2番目・3番目の医療機関にカルテが残っていないか、そこに前医(初診の病院)の記載や紹介状がないかを確認してください。医療機関に受付簿や紹介状の控えが残っていれば作成できる場合もあります。それでも取れない場合は「受診状況等証明書が添付できない申立書」に、手元の参考資料を添えて提出します。
Q. 「受診状況等証明書が添付できない申立書」を出せば受給できますか?
A. できません。これは証明書を添付できない理由を説明する書類で、初診日が認められたことにはなりません。お薬手帳・診察券・健康保険の記録・障害者手帳の申請時診断書など、代わりとなる客観的な資料を別途そろえる必要があります。
Q. 証明書の「前医あり」欄に心当たりのない記載がありました。
A. 確認が必要です。この欄に「あり」とあると、その前の医療機関が初診日になる可能性が出てきます。何を根拠に記載されたのか(カルテに前医の記載があったのか)を病院に確認し、事実と異なる場合は訂正を依頼してください。
Q. 病院が閉院していました。どうすればいいですか?
A. 閉院した場合でも、承継した医療機関や院長の自宅などにカルテが保管されていることがあります。地域の医師会や保健所に問い合わせて所在が判明する場合もあります。それでも見つからない場合は、次の医療機関のルートと参考資料の収集に切り替えてください。追跡の順番は病院が廃院しているときの記事にまとめています。
Q. 遠方の病院に行かずに受診状況等証明書を取れますか?
A. 郵送で取り寄せられます。まず電話でカルテの有無・費用・支払い方法・所要期間を確認し、用紙・依頼状・本人確認書類のコピー・返信用封筒・費用を同封して送ります。
Q. 旧姓のときに受診していました。
A. 依頼状に旧姓・当時の住所・受診時期を必ず記載してください。カルテの検索に必要な情報です。
まとめ
- 受診状況等証明書は「初診日」の証明。障害の程度を証明する診断書とは別物
- 初診の病院と現在の病院が同じなら不要
- 依頼はまず電話で。「カルテが残っているか」「費用」「期間」「受け渡し方法」を一度に確認する
- 依頼先は原則として初診の医療機関。現在通っている病院とは限らないので、依頼前に年金事務所で確認する
- 郵送で頼めるかは病院によって異なる。必ず事前に確認し、勝手に書類を送らない
- 文書料も、発行までにかかる期間も病院によって異なる。依頼時に確認する。期限がある人は最初に期限を伝える
- 受け取ったら、氏名・医療機関名・初診年月日・傷病名・受診経過・記載漏れを確認する。特に「前医の有無」欄は初診日を左右する
- 気になる箇所があっても、本人が書き換えない。病院へ連絡して確認・訂正を依頼する
- 取れないときは、2番目・3番目の病院→カルテ以外の記録→手元の参考資料→添付できない申立書→第三者証明、の順で。紹介状から初診日が認められた裁決がある
- 「添付できない申立書」は免罪符ではない。代わりの客観的資料が必要
- 今後のために、紹介状・お薬手帳・領収書は捨てない
出典
- 日本年金機構「受診状況等証明書」「受診状況等証明書が添付できない申立書」・確認日 2026-09-03
- 厚生労働省年金局「障害年金の初診日を明らかにすることができる書類が添付できない場合の取扱いについて」(平成27年9月28日 年管管発0928第6号)・確認日 2026-09-03
- 医師法第24条(診療録の保存5年)・確認日 2026-09-03
- 当サイト 裁決事例集(91件、初診日が争点35件)・確認日 2026-09-02
※本記事は一般的な情報提供であり、初診日の認定を保証するものではありません。様式の最新版と個別の取り扱いは、日本年金機構のホームページおよび年金事務所でご確認ください。
参考リンク
制度の正式な情報・最新の様式は、日本年金機構のホームページおよび 年金事務所でご確認ください。