リード(直答)
先に、いちばん多いケースの数字を出します。障害基礎年金の2級で、単身なら、年847,300円。月にならすと約70,600円。偶数月に2か月分、約141,200円がまとめて入ります(令和8年度)。
1級は2級の1.25倍で、年1,059,125円。18歳の年度末までの子どもがいれば、1人目・2人目は各243,800円が上乗せ。
会社員のときに初診日があれば障害厚生年金で、これは給与と加入期間で額が変わるので、人によって違います。ただし3級でも最低保障が年635,500円あり、加入が短くても25年分として計算される仕組みがある。
税金はかかりません。貯金があっても関係ありません。差押えもされません。ここまでが、最初に知ってほしい骨組みです。この先は、「自分の場合」に当てはめる順番と、振り込まれるまでの日程を書きます。
額を決めているのは、この3つ
1. 等級(1級・2級・3級)
障害基礎年金は1級と2級だけ。3級があるのは障害厚生年金だけです。だから「初診日が国民年金のときで、3級相当」だと、年金は出ません。この構造が、あとで出てくる「基礎か厚生か」の重さにつながります。
2. 初診日の制度(基礎か、厚生か)
同じ症状、同じ等級でも、初診日に会社員(厚生年金)だったか、退職後や学生・主婦(国民年金)だったかで、受け取れる年金が変わります。厚生年金なら、基礎年金に報酬比例の部分が上乗せされ、2級以上なら配偶者の加算もつく。1日の違いで、生涯の額が数百万円変わることがあるのは、このためです。
3. 厚生年金なら、過去の給与と加入期間
障害厚生年金の報酬比例部分は、働いていたときの給与と加入月数から計算されます。加入が300月(25年)に満たない場合は300月とみなす。就職して半年で発症しても、25年勤めた計算で出る。「働き始めたばかりだから、もらえてもわずか」ではありません。正確な見込み額は、年金事務所で加入記録をもとに出してもらえます。
あなたの場合の目安(3つのケース、令和8年度)
ケース1: 国民年金のときに初診、2級、単身 障害基礎年金2級 847,300円/年。月あたり約70,600円。偶数月に約141,200円。所得が一定以下なら、年金生活者支援給付金が月5,620円(年67,440円)上乗せされ、合計で月約76,200円。
ケース2: 国民年金のときに初診、2級、高校生の子が1人 847,300円+子の加算243,800円=1,091,100円/年。月あたり約90,900円。子が18歳の年度末を過ぎると加算は終わります。児童扶養手当を受けている場合は、同じ子について両方を満額は受け取れず、調整があります。
ケース3: 会社員のときに初診、3級 報酬比例の額のみ。ただし最低保障635,500円/年(月約53,000円)。3級には配偶者の加算も子の加算もつきません。症状が重くなれば、額改定請求で2級への見直しを求める道があります。
自分がどのケースに近いかは、初診日にどの制度に入っていたかで決まります。分からなければ → 初診日が証明できない・カルテがないとき
振り込まれるまでの日程
書類を出してから、お金が入るまでは長い。ここを知らないと、待っている間に不安で調べ続けることになります。
提出から約3か月後に、年金証書が自宅に届きます。障害の状態を詳しく確認する場合は、もっとかかることもある。証書が届いてから約1〜2か月後に、初回の振込。つまり提出から初回入金まで、おおむね4〜5か月です。
初回は、受給権が発生した月の翌月分からまとめて入ります。認定日請求でさかのぼりが認められた場合は、最大5年分がまとめて振り込まれる。事後重症請求なら、請求した月の翌月分から。ここが「請求が1か月遅れると、1か月分減る」仕組みの正体です。
2回目からは、偶数月の15日に、前月までの2か月分。家計は「2か月に1回、2か月分」のリズムで組んでください。
同じ道を歩いた人が、つまずいたところ
「非課税」を「収入ゼロ扱い」だと思う
障害年金に所得税・住民税はかかりません。確定申告で収入として書く必要もない。ここまでは本当です。
でも、健康保険の扶養では「収入」に数えます。障害年金を受けられる程度の障害がある人は年収180万円未満(一般は130万円未満)が扶養の基準。給与と年金を合わせてこれを超えると、配偶者や親の健康保険から外れることがある。国民健康保険の保険料や、給付金の判定でも収入扱いになる場面があります。非課税と収入ゼロは、別の話です。
遡及分を「もらえるはずだった額」で数える
認定日請求でさかのぼれるのは、時効で直近5年分までです。初診から10年経って申請した人が、認定日から10年分もらえるわけではない。「あのとき申請していれば」は、たいてい、この5年の壁の話です。逆に言えば、いま申請すれば、これ以上は消えません。
20歳前の年金の「所得制限」を、全員の話だと思う
「働いて収入があると年金が止まる」は、20歳前に初診日がある障害基礎年金だけのルールです。それも本人の前年所得で判定され、家族の収入は関係ない。令和8年10月分からは、前年所得3,858,000円超で半額、4,918,000円超で全額停止(それまでは3,761,000円/4,794,000円)。
20歳以降に初診日がある通常の障害年金には、所得制限そのものがありません。
法定免除を「得」だと思って、そのままにする
2級以上を受けている間、国民年金の保険料は法律上免除されます。払わなくていい。ただし、免除期間は将来の老齢基礎年金が全額納付より少なく計算される。希望すれば納付を続けることも、あとから追納することもできます。65歳以降の生活をどう組むかで、選ぶ話です。年金証書が届いたら、この選択が一度回ってきます。
数字で見ると
年金額は、物価や賃金に応じて毎年4月に改定されます。ネットで見かける金額は古い年度のものであることが多い。このページの数字は令和8年度のもので、確認日を出典に書いています。「いくらもらえるか」を誰かに聞かれたら、年度も一緒に確かめてください。
2級の847,300円は、月にして約70,600円。これだけで生活できる額ではありません。だから障害年金は、働くことや、他の手当(特別障害者手当・生活保護の障害者加算など)と組み合わせる前提の制度です。「もらったら働けない」でも「働いたらもらえない」でもない。→ 働きながら
よくある質問
Q. 借金があります。年金は差し押さえられますか。
障害年金の受給権は、法律で譲渡・担保・差押えが禁止されています。借金や滞納があっても、年金を受ける権利そのものは守られます。振り込まれたあとの預金の扱いなど個別の場面は、法テラスなどの専門窓口に相談できます。
Q. 結婚すると減りますか。止まりますか。
結婚は停止事由ではなく、受給は原則そのまま続きます。変わりうるのは周辺で、配偶者の健康保険の扶養に入るなら年金も収入として数えられること、障害厚生年金の1・2級なら配偶者の加算がつく場合があること。「結婚したら打ち切り」という心配で人生の選択を狭める必要はありません。
Q. 生活保護を受けています。年金をもらうと損ですか。
年金を受けると保護費はその分減ります。ただ、障害基礎年金1・2級の等級は障害者加算の判定に使われるため、加算がつけば手取りの合計が増える場合があります。「申請させられて損する」とは限らない構造です。決定内容はケースワーカーに伝えてください。
Q. 年金証書が届いたら、他にやることはありますか。
3つあります。国民年金保険料の法定免除をどうするか選ぶ。年金生活者支援給付金を請求する(所得要件を満たす場合。基礎年金と同時請求が原則で、出し忘れが多い書類です)。精神の手帳を年金証書で取得・更新できるようになる(診断書が不要になります)。→ 決まったあとの手続きリスト
次の一歩
いまやることは、初診日にどの制度に入っていたかを確かめることです。それで、基礎か厚生か、3級があるかないかが決まり、上の3つのケースのどれに近いかが分かります。
厚生年金なら、年金事務所の予約相談で、加入記録から見込み額を出してもらえます。予約のときに「障害厚生年金の見込み額を知りたい」と伝えてください。
自分で進めるか、誰かに頼むか迷っているなら → 自分で・アプリで・専門家に頼む、の比べ方
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出典
- 日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法」「障害厚生年金の受給要件・支給開始時期・計算方法」(令和8年度額) ・ 確認日 2026-08-31
- 厚生労働省「令和8年7月15日付 通知(障発0715第2号・年発0715第1号)」(20歳前傷病の所得制限額の改定) ・ 確認日 2026-08-27
- 国民年金法第25条・厚生年金保険法第41条(公課の禁止・受給権の保護) ・ 確認日 2026-08-31
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金」(令和8年度額) ・ 確認日 2026-08-31
- 厚生労働省 被扶養者認定の収入基準に関する通知 ・ 確認日 2026-08-31