結論
貯金や持ち家があっても、障害年金はもらえます。資産は要件に含まれず、審査もされません。請求書に貯金額や不動産を書く欄はなく、集める書類に通帳も入っていません。
障害年金は「保険の給付」です。保険料を納めてきた人が、障害という保険事故に対して受け取るものなので、その人の資産は関係ありません。
資産を調べるのは生活保護です。混同して、申請自体を諦める人がいます。
なぜ「貯金があると無理」と思われているのか
生活保護と混ざっているからです。生活保護は「他に使えるものがない人」のための制度で、資産調査があります。障害年金も「困っている人のための制度」に見えるので、同じように資産を見られると思われます。
もう1つは、20歳前傷病の所得制限です。障害年金の一部に所得による支給停止があることが伝わって、「お金があると止まる」という形に変わって広まっています。実際には、それは本人の前年所得だけを見る仕組みで、貯金や親の資産は関係ありません。
制度ではこうなっている
要件は3つだけ
障害年金の要件は、初診日の要件、保険料納付要件、障害の状態の要件の3つです。資産に関する要件はありません。年金請求書にも、貯金・不動産・家族の資産を書く欄はありません。
生活保護との違い
生活保護には「補足性の原則」があり、資産や能力、他の制度を先に活用することが条件です。そのため資産調査があります。障害年金にはこの原則がありません。障害年金は保険の給付で、保険料を納めた人の権利だからです。
所得制限があるのは20歳前傷病だけ
20歳前に初診日がある障害基礎年金だけは、保険料を納めていない期間の障害を対象にする代わりに、本人の所得による支給停止があります。基準は前年所得が3,761,000円超で2分の1停止、4,794,000円超で全額停止です(令和8年10月分からは3,858,000円と4,918,000円)。見られるのは本人の所得だけで、貯金も、親や配偶者の収入も数えません。
20歳以降に初診日がある通常の障害基礎年金・障害厚生年金には、所得制限そのものがありません。
資産を理由に諦めた人が、実際に失うもの
「親が残してくれた貯金があるから」と申請しなかった人は、要件を満たしていたのに、年金を受け取っていない状態です。
事後重症請求では、年金は請求した月の翌月分から支払われます。申請を1年見送れば、1年分が戻りません。障害基礎年金2級なら年847,300円です。貯金があるかどうかで、この額が減ることはありませんが、申請しなければゼロです。
障害認定日にさかのぼる請求ができる人は、時効の関係で直近5年分までは受け取れます。5年より前の分は消えています。
「貯金があるうちは自分でやりくりして、なくなったら申請する」という順番は、制度の側から見ると、受け取れるものを受け取らずに貯金を減らしている形になります。年金は保険料を納めた人の権利です。先に受け取ってから、貯金をどう使うかを考えるほうが、制度の設計に合っています。
数字で見ると
障害基礎年金は2級で年847,300円、1級で年1,059,125円です(令和8年度)。この額は、貯金がいくらあっても変わりません。持ち家があっても変わりません。
20歳前傷病の所得制限の基準3,761,000円は「所得」であって「年収」ではありません。給与所得控除などを引いた後の額なので、給与で言えばそれよりかなり高い水準です。学生やアルバイトでこの基準を超えることは、ほぼありません。
自分の場合を確かめる
- 請求書に貯金額・不動産・家族の資産を書く欄はありません。集める書類にも通帳は含まれません。
- 所得制限があるのは20歳前に初診日がある障害基礎年金だけで、見られるのは本人の前年所得です。
- 生活保護と混同しないでください。資産の調査があるのは生活保護で、障害年金にはありません。
窓口で聞く一言
年金事務所に「貯金や持ち家は審査に関係しますか」と聞いてください。答えは「関係ありません」です。
よくある質問
Q. 親が資産家です。それでも申請できますか。
A. できます。親の資産も収入も、障害年金の要件にありません。20歳前傷病の所得制限も、本人の所得だけを見ます。
Q. 貯金を使い切ってから申請したほうがいいですか。
A. その必要はありません。貯金の額は審査に関係しないので、使い切る意味がありません。事後重症請求なら、遅らせた月の分だけ受け取り開始が遅れるので、早く出すほうが得です。
Q. 生活保護を受けています。貯金はありませんが、年金は受けられますか。
A. 受けられます。むしろ生活保護の側から、障害年金を先に請求するよう求められます。年金が決まると保護費はその分減りますが、障害者加算の判定に等級が使われ、手取りの合計が増える場合があります。
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障害年金はいくら受け取れるか20歳前に初診日があるとき生活保護を受けていると障害年金をもらっても損?出典
- 国民年金法第30条・厚生年金保険法第47条(障害給付の要件)・確認日 2026-09-03
- 国民年金法第36条の3(20歳前傷病の所得による支給停止)、厚生労働省 令和8年7月15日付通知(基準額の改定)・確認日 2026-08-27
- 日本年金機構「障害基礎年金の年金額」令和8年度・確認日 2026-08-31