障害年金が決まったあとの手続きリスト — 年金証書が届いた日から動き出すもの

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この記事の結論

年金証書が届いたら、まず3か所。障害等級、次回診断書提出年月(空欄なら永久認定)、年金額。次回診断書提出年月は、その日のうちにカレンダーへ。

出さないと受け取れないお金があります。年金生活者支援給付金(令和8年度: 1級 月7,025円、2級 月5,620円)は請求書を出さない限り支給されず、さかのぼりません。障害基礎年金1・2級で所得要件を満たす人が対象で、障害厚生年金3級だけの人は対象外です。

第1号被保険者で2級以上なら、国民年金保険料の法定免除の届出。ただし免除期間は老齢基礎年金の計算で2分の1になるので、「納付する旨の申出」や追納も選択肢です。

家族の健康保険の扶養に入っている人は、年金額を130万円/180万円の基準に当ててみてください。20歳前傷病の人は本人の所得制限(令和8年10月分から3,858,000円/4,918,000円)があります。手帳は年金証書で診断書なしに申請できます。

次に読む障害年金は非課税

年金証書が届いた日は、たいてい安心する日です。長い準備がようやく終わって、ひと息つく。

ただ、実際にはここからいくつかの手続きの締切が動き始めます。しかも、そのほとんどは「向こうから案内が来る」ものではありません。出さなければ受け取れないお金があり、届け出なければ続く負担があり、そして次の更新の日付はもう決まっています。

この記事は、決定後にやることを一枚のリストに畳んだものです。全部を今日やる必要はありません。順番だけ分かっていれば十分です。

まず年金証書を見る — 確認するのは3か所

届いた「年金証書・年金決定通知書」で、先に3つだけ確認してください。

  • 障害等級。1級・2級・3級のどれか。手続きの要否がここで分かれる
  • 次回診断書提出年月。これが次の更新の期限。空欄なら永久認定
  • 年金額。扶養や各種制度の判定に使う数字

「次回診断書提出年月」は、届いたその日にカレンダーへ入れてください。更新の案内(障害状態確認届)は誕生月の3か月前に届きますが、そこから準備を始めると間に合わないことがあります。

手続きは「全員」と「人による」に分かれる

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手続き対象動く先
年金生活者支援給付金の請求障害基礎年金1・2級で所得要件を満たす人年金事務所・市区町村
国民年金保険料の法定免除の届出第1号被保険者で障害基礎年金1・2級の人市区町村
健康保険の扶養の確認家族の健康保険に入っている人加入している健康保険
所得状況届20歳前傷病による障害基礎年金の人日本年金機構
障害者手帳の申請手帳を持っていない人(任意)市区町村
次回更新の準備有期認定の人(=ほとんどの人)自分の手元

以下、順番に見ていきます。

1. 年金生活者支援給付金 — 出さないと受け取れない

いちばん取りこぼされやすいのがこれです。請求書を出さない限り、支給されません。

  • 対象:障害基礎年金を受けていて、前年の所得額が「4,794,000円+扶養親族の数×38万円」以下の人(70歳以上の同一生計配偶者・老人扶養親族は48万円、特定扶養親族等は63万円)
  • 額(令和8年度):1級 月額7,025円/2級 月額5,620円
  • 判定に障害年金の額は入らない(非課税所得のため)

年額にすると1級で約8万4千円、2級で約6万7千円です。手続き1回で、毎年これだけ違います。

障害基礎年金を新規に請求するときは、年金請求書と同時に給付金の請求書を出す扱いになっています。すでに受給が始まっていて出していない場合は、日本年金機構からはがき型の請求書が送られてくることがありますが、届かないまま気づいていない人もいます。年金証書が届いたら、年金事務所に「給付金の請求は済んでいますか」と一度確認するのが確実です。

「あとから請求すればいい」は危険です。給付金は請求した月の翌月分からで、さかのぼりません。

→ 「年金生活者支援給付金は、あとから請求すればいい」は誤解です

なお、障害厚生年金3級だけの人は対象外です。この給付金は障害基礎年金に付くものだからです(基礎と厚生の違い)。年金と給付金を合わせた自分の受取額は、計算ツールで出せます。

→ いくらもらえる?

2. 国民年金保険料の法定免除 — 第1号被保険者で2級以上の人

障害基礎年金1級・2級(または被用者年金の障害年金2級以上)を受けている国民年金第1号被保険者は、保険料が法定免除になります。自営業・無職・学生などで、自分で国民年金保険料を納めている人が対象です。

  • 手続き:「国民年金保険料免除事由(該当・消滅)届」を、市区町村の国民年金担当窓口へ
  • 自動ではありません。届出が必要です
  • 会社員(第2号)や、会社員の配偶者(第3号)は、そもそも自分で納めていないので対象外
  • 障害厚生年金3級だけの人も対象外

ここで一段深い話があります。免除された期間は、将来の老齢基礎年金の計算で満額分としては数えられません。

  • 平成21年4月以降の期間:1か月を2分の1で計算
  • 平成21年3月以前の期間:1か月を3分の1で計算

つまり「保険料が浮く」代わりに「老後の年金が減る」という交換になっています。

そこで、選択肢が3つ用意されています。

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選択肢内容向いている場面
免除のまま保険料を納めない。老齢基礎年金は2分の1で計算いまの生活を守ることが優先
納付する旨の申出法定免除の期間について、あえて保険料を納め続ける収入があり、老後の額を減らしたくない
追納あとから納める。10年以内の免除期間が対象いまは無理でも、将来余裕ができたとき

どれが正解かは人によります。障害年金を受けながら働ける見込みがあるのか、老齢年金までの年数がどれだけあるのか、いまの家計にどれだけ余裕があるのか。ここは市区町村の窓口か年金事務所で、自分の記録を見ながら相談してください。

ひとつだけ注意点があります。法定免除に該当したあとに納めた保険料は、原則として還付の対象になります。納め続けたい場合は「納付する旨の申出」という手続きが必要で、黙って払い続ければいいわけではありません。

そして、働いていて厚生年金の保険料を払いながら障害年金を受けることは、二重でも無駄でもありません。納めた期間は将来の老齢厚生年金に反映されます。

→ 「障害年金をもらいながら厚生年金の保険料を払うのは、二重で無駄」は誤解です

3. 健康保険の扶養 — 年金額を基準に当ててみる

家族の健康保険に被扶養者として入っている人は、ここを確認してください。

障害年金は非課税ですが、健康保険の扶養の判定では収入に数えます。基準は年間収入130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)で、給与など他の収入とも合算されます。

超えると、国民健康保険への切替えと自立支援医療の保険情報変更が連鎖します。詳しくは障害年金は非課税。でも「収入ゼロ扱い」ではありませんにまとめました。

4. 20歳前傷病の人 — 所得の届出がある

20歳前傷病による障害基礎年金は、保険料を納めていない期間の初診を救う制度なので、代わりに本人の所得による支給制限があります。

  • 前年の所得が4,794,000円を超えると、全額支給停止
  • 3,761,001円から4,794,000円なら、2分の1が支給停止
  • 扶養親族がいる場合は、この基準額に加算される
  • 停止の期間は、その年の10月分から翌年9月分まで
  • 令和8年10月分からは、基準額が3,858,000円(2分の1停止)/4,918,000円(全額停止)に引き上げられます(いくらもらえる?)

このため、毎年の所得確認があります(マイナンバーの届け出により省略できる場合があります)。ほかに、海外に居住したときや、労災の年金を受けられるときなどの支給停止事由もあります。

5. 障害者手帳 — 年金証書で申請が軽くなることがある

手帳をまだ持っていない人は、ここで一度検討する価値があります。

精神障害者保健福祉手帳の申請では、医師の診断書の代わりに、精神障害を支給事由とする年金給付を受けていることを証する書類の写し(年金証書など)を添えて申請できます。診断書を書いてもらう手間と費用が省けます。

このルートで申請した場合、手帳の等級は年金の等級と同じになります。年金1級なら手帳1級、年金2級なら手帳2級です。「手帳を取るのに、また診断書が要る」わけではありません。

→ 「精神の手帳を取るのに、また診断書が要る」は誤解です

逆に言えば、診断書で申請すれば年金と違う等級になる可能性もあります。手帳と年金は本来まったく別の制度で、審査も基準も違うからです(手帳と年金は別の制度です)。どちらで申請するかは、手帳で使いたいサービスの等級要件を見てから決めてください。

6. 次の更新の準備 — いちばん効くのに、いちばん後回しにされる

有期認定なら、次の審査は必ず来ます。そして更新の診断書は「最近の状態」で書かれるため、直前だけ準備しても間に合わないことがあります。

ふだんの診察で「まあまあです」と答え続けていると、主治医の手元には「安定している」という記録だけが残ります。悪い日のことは、こちらから伝えない限り伝わりません。

やることはシンプルです。生活の実態を、少しずつ主治医と共有しておく。それだけで、更新のときに書いてもらう材料が変わります(更新の準備、主治医に渡す生活状況メモ)。

日々の出来事を短くメモすると、日常生活能力の7項目に沿った診察用の資料に整理されるアプリを作りました。次の更新までの数年を、まとめて材料にできます。ログイン不要・記録は端末の中に保存され、基本機能は無料です。

初回の振込までの流れ

手続きと並行して、お金のほうも動きます。

  • 年金証書・年金決定通知書が届く
  • その後、年金振込通知書または年金送金通知書が届く(時期は決定の時期と事務処理の状況による)
  • 初回の振込。遡って受け取れる分がある場合は、ここでまとめて入る
  • 以後は偶数月の15日に、前2か月分ずつ(15日が土日祝なら直前の平日)

初回だけは奇数月に振り込まれることもあります。まとまった額が入ったときの扱いは遡及請求の記事にまとめています。

変わったときに届け出るもの

受給が始まったあとも、状況が変わったら届け出が必要です。マイナンバーが登録されていれば省略できるものもあります。

  • 住所・氏名が変わったとき
  • 受取口座を変えたいとき
  • 結婚・出産などで加算の対象になる配偶者や子ができたとき(額改定の届出)
  • 加算対象だった子が18歳到達年度末を過ぎたとき
  • 症状が重くなったとき(額改定請求)
  • 支給が止まってしまったとき(支給停止と復活)

やることリスト

年金証書が届いたら、この順で確認してください。全部を今日やる必要はありません。

  • □ 年金証書の等級・次回診断書提出年月・年金額を確認した
  • □ 次回診断書提出年月をカレンダーに入れた
  • □ 年金生活者支援給付金の請求が済んでいるか確認した
  • □ 第1号被保険者なら、法定免除の届出をした(または納付を続けるか決めた)
  • □ 家族の健康保険の扶養に入っているなら、年金額を基準に当ててみた
  • □ 20歳前傷病なら、所得の届出の仕組みを確認した
  • □ 手帳が必要か検討した
  • □ 年金証書・通知書をまとめて保管する場所を決めた
  • □ 生活の記録を残し始めた

よくある質問

Q. 年金が決まったら、何もしなくても全部もらえますか?

A. いいえ。年金生活者支援給付金は請求書を出さないと支給されません。国民年金保険料の法定免除も届出が必要です。どちらも自動では始まらないので、年金証書が届いたら年金事務所や市区町村で確認してください。

Q. 年金生活者支援給付金はいくらですか?

A. 令和8年度は1級が月額7,025円、2級が月額5,620円です。障害基礎年金を受けていて、前年の所得額が「4,794,000円+扶養親族の数×38万円」以下の方が対象です。障害厚生年金3級だけの方は対象になりません。

Q. 法定免除は届け出たほうが得ですか?

A. 一概には言えません。保険料の負担はなくなりますが、免除期間は老齢基礎年金の計算で2分の1(平成21年3月以前は3分の1)になります。あえて納め続ける「納付する旨の申出」や、あとから納める追納という選択肢もあるので、収入の見込みと合わせて市区町村や年金事務所に相談してください。

Q. 会社員ですが、法定免除の届出は必要ですか?

A. 必要ありません。法定免除は国民年金第1号被保険者(自営業・無職・学生など、自分で国民年金保険料を納めている方)が対象です。会社員(第2号)や会社員の配偶者(第3号)は対象外です。

Q. 障害年金を受け始めると、家族の健康保険の扶養から外れますか?

A. 年金額と他の収入の合計によります。健康保険の扶養の判定では障害年金も収入に数え、基準は年間収入130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)です。障害基礎年金だけならたいてい枠に収まりますが、障害厚生年金の方は超えることがあります。

Q. 障害者手帳は取ったほうがいいですか?

A. 任意です。取れば税の障害者控除や各種割引・減免が使えます。精神障害者保健福祉手帳は年金証書等の写しで申請でき、その場合は手帳の等級が年金の等級と同じになります。使いたいサービスの等級要件を確認してから決めてください。

Q. 最初の振込はいつですか?

A. 初回の振込日は、決定の時期や事務処理の状況によって異なります。年金証書や年金振込通知書の記載を確認してください。以後は偶数月の15日に前2か月分ずつ支払われます(15日が土日祝の場合は直前の平日)。遡って受け取れる分がある場合は、初回にまとめて振り込まれます。

Q. 更新の準備はいつから始めればいいですか?

A. 年金証書が届いた日からです。更新の診断書は最近の状態で書かれるため、直前だけ準備しても実態が反映されないことがあります。ふだんの診察で生活の実態を伝えておくことが、いちばんの準備になります。

まとめ

  • 年金証書で確認するのは、等級・次回診断書提出年月・年金額の3つ
  • 年金生活者支援給付金は請求書を出さないと受け取れない。1級 月7,025円/2級 月5,620円(令和8年度)
  • 第1号被保険者で2級以上なら法定免除の届出。ただし老齢基礎年金は2分の1で計算されるので、納付申出や追納も選択肢
  • 健康保険の扶養では、障害年金も収入に数える
  • 20歳前傷病の人には、本人の所得による支給制限がある
  • 精神障害者保健福祉手帳は、年金証書等の写しで申請できる(等級は年金と同じになる)
  • 有期認定なら次の審査は必ず来る。準備は「記録の習慣」から

出典

  • 年金生活者支援給付金法、日本年金機構「障害年金生活者支援給付金の概要」(1級 月7,025円・2級 月5,620円、所得要件 4,794,000円+扶養親族の数×38万円、請求月の翌月分から)・確認日 2026-09-03
  • 国民年金法第89条(法定免除)、日本年金機構「国民年金保険料の法定免除制度」(免除期間の老齢基礎年金への反映 2分の1/3分の1、納付申出、追納10年)・確認日 2026-09-03
  • 日本年金機構「被扶養者の認定基準」(130万円/180万円)・確認日 2026-09-03
  • 日本年金機構「20歳前傷病による障害基礎年金の所得制限」(3,761,000円/4,794,000円、令和8年10月分から3,858,000円/4,918,000円)・確認日 2026-09-02
  • 精神保健福祉法・同施行令(年金証書等による手帳の申請)・確認日 2026-09-03
  • 日本年金機構「年金の支払日」「受給権者の届出」の案内・確認日 2026-09-03

※本記事は一般的な情報提供です。必要な手続きはケースにより異なります。ご自身の場合については、年金事務所・市区町村の窓口でご確認ください。

参考リンク

制度の正式な情報・最新の様式は、日本年金機構のホームページおよび 年金事務所でご確認ください。

このテーマの全体像は「障害年金の申請」にまとめています。