結論
甘えではありません。障害年金は、保険料を納めてきた人、または20歳前に障害を負った人のための、制度上の正当な権利です。
令和6年度に新しく決まった障害年金146,225件のうち、70.3%が精神の障害の診断書によるものでした。精神疾患での申請は、制度の中で例外ではなく、もっとも標準的なケースです。
「自分より大変な人がいる」と考えて書類を出せずに止まる人がいます。この迷いそのものが、症状の一部であることもあります。
なぜ「甘え」と思われているのか
精神疾患は、外から見えないからです。骨折や失明と違って、本人にも周りにも「本当に病気なのか」という疑いが残ります。その疑いが、「病気を理由にお金をもらうのは甘えではないか」という形に変わります。
もう1つは、障害年金が「働けない人のための制度」と説明されることです。働けない自分を認めることへの抵抗が、申請への抵抗になります。
制度ではこうなっている
精神の障害は認定基準に明記されている
「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」には、精神の障害の節があり、統合失調症、気分障害(うつ病・双極性障害)、てんかん、知的障害、発達障害、器質性精神障害、高次脳機能障害などが、それぞれの認定要領とともに書かれています。精神の障害は、制度の対象として最初から組み込まれています。
要件に「甘えかどうか」はない
障害年金の要件は、初診日・納付要件・障害の状態の3つです。本人の努力や意欲、周りとの比較は、要件にありません。審査は、診断書と申立書に書かれた生活の実態で行われます。
保険料を納めた人の権利
障害年金は、保険の給付です。国民年金や厚生年金の保険料を納めてきた人が、障害という保険事故に対して受け取るものです。生活保護のような救済ではなく、保険の契約にもとづく給付です。20歳前に障害を負った人については、保険料を納める前だったことを踏まえて、国が別の形で保障しています。
数字で見ると
令和6年度の新規裁定146,225件のうち、精神の障害が70.3%。決まった等級は、1級10.9%・2級53.9%・3級22.1%で、半分以上が2級です。
再認定304,456件のうち、96.7%は等級が継続しました。「精神の障害は認められにくい」「すぐ止められる」という印象は、この数字とは合いません。
不支給の割合は、新規裁定全体で13.0%です。精神の障害では12.1%、内部疾患では20.6%。精神の障害は、他の障害と比べて特に厳しく見られているわけではありません。
迷いが止めているときに、できること
書類を出せないのが「症状の一部」であることは、珍しくありません。意欲の低下、決断ができない、自分を責める。うつ病の症状として診断書に書かれる項目そのものです。
1人で全部やる決まりはありません。書類集めを家族や支援者と分担する。年金事務所の予約相談で、何から始めるかを一緒に決めてもらう。社会保険労務士に頼む。どれも、制度が想定している進め方です。
主治医に「障害年金の申請を考えていますが、状態として検討する段階でしょうか」と聞いてみてください。医学的な判断は医師にしかできませんが、この質問をすること自体は、甘えではなく手順です。
自分の場合を確かめる
- 申請の要件は初診日・納付要件・障害の状態の3つです。「他の人より軽いか」は要件にありません。
- 迷いで手が止まる日が続くなら、書類集めを家族や支援者と分担してください。1人で全部やる決まりはありません。
- 精神疾患での申請は、制度の中でいちばん多いケースです。特別なことをしているわけではありません。
窓口で聞く一言
主治医に「障害年金の申請を考えていますが、状態として検討する段階でしょうか」と聞いてみてください。
よくある質問
Q. 働けている人もいるのに、自分だけもらうのは申し訳ない。
A. 障害年金は、他の人と比べて決まるものではありません。あなたの初診日・納付・状態で決まります。要件を満たす人が受け取らないことで、誰かの取り分が増えるわけでもありません。
Q. 申請したら、周りに「病人扱い」されませんか。
A. 申請は年金事務所か市区町村に出すもので、会社や近所に通知されることはありません。戸籍や住民票にも載りません。知られる経路は、あなたが話す以外にありません。
Q. 受給が決まったら、働いてはいけないのですか。
A. 働いてかまいません。働いていること自体は支給停止の理由ではなく、更新のときにその実態が見られるだけです。障害者雇用や就労支援での就労は、ガイドラインが「1級または2級の可能性を検討する」対象と書いています。
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はじめての方へ申請がしんどいとき障害年金を受けると会社や周りに知られる?出典
- 日本年金機構「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」・厚生労働省「令和6年度の障害年金の認定状況についての調査」(新規裁定 146,225件、精神 70.3%、等級分布、不支給割合、再認定の継続)・確認日 2026-09-02
- 厚生労働省「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」第8節 精神の障害・確認日 2026-09-03