よくある誤解

「病名が複数あると、分散して不利になる」

病名が複数あると分散して不利になる? — 諸症状を併せた全体像で総合的に認定されます

・ 確認日

結論

病名が複数あっても、分散して不利になることはありません。複数の精神疾患がある場合、どちらか一方だけで判断されるのではなく、諸症状を併せた全体像で総合的に認定されます。

認定は病名の数ではなく、生活の支障の程度で行われます。診断書も、精神の障害用の様式1枚に全体を書いてもらう形が基本です。

「うつで申請すべきか、発達障害で申請すべきか」で止まる人がいます。分ける必要はありません。

なぜ「分散して不利」と思われているのか

「1つの病名で1つの審査」だと思うからです。病名ごとに別々に審査されて、それぞれが軽ければ全部落ちる、という想像です。実際には、精神の障害は1枚の診断書で、全体の日常生活能力を評価します。

もう1つは、「主な病名を1つ選ばないといけない」という思い込みです。診断書の病名欄は複数書けますし、主たる病名と併存する病名の両方を書くのが普通です。

制度ではこうなっている

精神の障害は総合認定

障害認定基準は、精神の障害について、複数の精神疾患が併存する場合は、諸症状を総合的に判断して認定すると定めています。うつ病と発達障害、統合失調症と知的障害、といった組み合わせは、それぞれの症状を合わせた全体像で日常生活能力を評価します。

診断書は1枚

精神の障害用の診断書は1枚で、病名欄に主たる病名と併存する病名を書き、日常生活能力の7項目と程度は、全体としての評価を書きます。うつ病の分と発達障害の分を分けて書くものではありません。

分野が違う場合は併合認定

精神の障害と身体の障害(たとえば精神疾患と肢体の障害)のように、分野が違う場合は、診断書がそれぞれの様式で複数枚になります。この場合は、それぞれの等級を認定したうえで、併合判定参考表に沿って全体の等級を決める「併合認定」が行われます。2つの3級相当が併合して2級になることもあります。

分けて判断される場合もある

初診日が別々の傷病は、それぞれに初診日と納付要件があり、分けて判断されることがあります。同じ人でも、傷病ごとに扱いが違うことがある、ということです。

数字で見ると

当サイトが整理した裁決事例91件の中に、複数の疾患を併合認定して等級が上がった例、複数の疾患を分けて判断して一部だけ認められた例の両方があります。「複数あると不利」ではなく、「複数あるときの判断の仕方が決まっている」というのが実態です。

同じ状況の人が、どうなったか

社会保険審査会の裁決から、この誤解に関わる実例です。原文は厚生労働省の公開資料で確認しています。

器質性解離障害・高次脳機能障害(令和4〜5年、原文(厚労省PDF)) — 精神障害とその他の疾患による障害を総合認定して2級とした処分に対し、それぞれが併合判定参考表の4号に当たるので併合認定すれば1級に該当するとして、処分が取り消されました。複数の障害を正しく併合すれば、等級が上がった例です。

線維筋痛症・慢性疲労症候群(平成28〜29年、原文(厚労省PDF)) — 傷病ごとに初診日と障害状態を分けて判断し、線維筋痛症は等級非該当とした一方、慢性疲労症候群は2級に該当するとして、処分の一部が取り消されました。初診日が別の傷病は、分けて判断されることがあります。

→ ほかの実例も読む

自分の場合を確かめる

  • 精神の診断書は1枚に全体を書いてもらう形が基本です。うつと発達障害を別々の診断書にする必要はありません。
  • 診断書の「病名」の欄に、主たる病名と併存する病名の両方が書かれているかを確認してください。
  • 精神と身体など分野が違う場合は、診断書が複数枚になることがあります。年金事務所で確認してください。

窓口で聞く一言

主治医に「うつと発達障害の両方を、1枚の診断書に併せて書いていただけますか」と聞いてください。

よくある質問

Q. 精神科と内科で、別々の病気を診てもらっています。

A. 精神の障害と内部疾患は分野が違うので、診断書が2枚になります。それぞれの等級を認定したうえで、併合認定されます。年金事務所で、2枚出す形でよいかを確認してください。

Q. 主治医が「主な病名は1つにする」と言います。

A. 主たる病名を1つ決めることと、併存する病名を書かないことは別です。併存する病名も病名欄に書いてもらえるか、確認してください。全体の日常生活能力の評価に、併存する症状も反映されるべきです。

Q. 発達障害の初診日とうつ病の初診日が違います。

A. 発達障害とうつ病が、同一の傷病の流れ(発達障害の二次障害としてのうつ病)と見られるか、別の傷病と見られるかで、初診日の扱いが変わります。主治医の見解と、年金事務所の判断を両方聞いてください。

次に読む

発達障害対象になる傷病の境界検査を受けてからでないと申請できない?

出典

  • 厚生労働省「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」第8節 精神の障害(総合認定)、第3章 併合等認定基準・確認日 2026-09-03
  • 当サイト 裁決事例集(91件)・確認日 2026-09-02
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