よくある誤解

「一人暮らしでも、支援を受けていなければ評価されない」

一人暮らしでも支援を受けていなければ評価されない? — 「支援が必要な状態か」で判断されます

・ 確認日

結論

支援を受けていなくても、評価されます。見られているのは、支援サービスを使っているかどうかではなく、「支援が必要な状態かどうか」です。

精神の障害の等級判定ガイドラインは、一人暮らしの場合、その理由や時期を考慮したうえで、現に支援を受けていなくても、その必要がある状態の場合を含めて判断する、としています。

誰の助けもないまま、できていない状態が続いているなら、それこそが書くべき実態です。

なぜ「評価されない」と思われているのか

診断書の日常生活能力の判定に「援助があればできる」という選択肢があるからです。援助を受けている人はそこに丸がつき、受けていない人は「一人でできている」と見なされる、と思われています。

もうひとつは、「一人暮らしができている=自立している」という見方への怖れです。一人で暮らしているという事実だけで、軽く見られるのではないか、という不安が、「支援を受けていないと不利」という言葉になっています。

制度ではこうやって見ている

ガイドラインの考慮事項

平成28年9月から運用されている「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」には、総合評価の際に考慮する事項が書かれています。そのなかに、生活環境についての項目があります。

独居の場合は、その理由や独居になった時期を考慮する。そして、現に支援を受けていなくても、その必要がある状態の場合を含めて判断する。これがガイドラインの文言です。

「単身で生活できるか」の基準

診断書の「日常生活能力の程度」は、5段階です。そのうち3以上は「一人で生活できるか」ではなく、「援助がなければ日常生活が困難か」で判断される作りになっています。一人で暮らしていること自体は、判定の基準ではありません。

家族と同居の人も同じ基準

ガイドラインは、同居している人についても、「一人で暮らしたと仮定して」日常生活能力を判断するとしています。つまり、一人暮らしの人も、家族と暮らしている人も、「もし一人だったら、援助なしでできるか」という同じ物差しで見られます。一人暮らしだから不利、ということはありません。

「できていない」をそのまま書く

診断書の日常生活能力の判定には、食事、清潔保持、金銭管理、通院と服薬、対人関係、安全の確保、社会性の7項目があります。それぞれについて、できていない実態を、主治医に伝えてください。

支援を受けていない場合、「なぜ受けていないか」も実態の一部です。お金がない、人に会えない、手続きができない、支援を頼む発想が出てこない。それ自体が、援助なしでは生活が回らない状態を示します。

数字で見ると

令和6年度に新しく決まった障害年金146,225件のうち、精神の障害は70.3%です。精神の障害で不支給になった人の75.3%は、日常生活能力の目安では等級に届いていたのに、総合評価で非該当になった事案でした。

つまり、診断書に「できている」と書かれてしまうことが、不支給の最大の理由です。一人暮らしで無理をしてこなしていることが、「できている」と書かれないように、実態を伝える必要があります。

同じ状況の人が、どうなったか

社会保険審査会の裁決から、この誤解に関わる実例です。原文は厚生労働省の公開資料で確認しています。

うつ病・障害認定日請求(平成28〜29年、原文(厚労省PDF)) — 家族の援助を要する日常生活能力と、就労支援での短時間作業も続かなかった経過を総合して、障害認定日に2級に該当するとし、3級とした原処分が取り消されました。この例は同居のケースですが、「援助を要する状態かどうか」と「実際の経過」を総合して見る、という判断の仕方は、一人暮らしの人にも同じように当てはまります。

→ ほかの実例も読む

自分の場合を確かめる

  • 支援を受けていなくても、「支援が必要な状態か」で判断されます。できていない実態を、そのまま書いてください。
  • 食事・掃除・洗濯・買い物・服薬・金銭管理・通院のそれぞれで、できていない日がどれくらいあるかを書き出してください。
  • 訪問看護やヘルパーを使っていないなら、使っていない理由(お金・人に会えない・手続きができない)も実態の一部です。

窓口で聞く一言

主治医に「一人暮らしで、誰の支援もなく〇〇ができていません」と、診察のたびに伝えてください。

よくある質問

Q. 一人暮らしだと、診断書で不利になりますか。

A. 一人暮らしそのものが不利になることはありません。ガイドラインは、同居の人も一人暮らしを仮定して判断するとしています。不利になるのは、無理をしてこなしていることが「できている」と書かれてしまうときです。

Q. 訪問看護を頼んだほうが、年金には有利ですか。

A. 年金のために頼むものではありません。ただ、訪問看護やヘルパーが入ると、生活の実態を第三者が記録する形になり、診断書を書く医師にも状態が伝わりやすくなります。必要があるなら、市区町村や病院の相談員に相談してください。

Q. 親が週に1回、様子を見に来ています。これは支援ですか。

A. 支援です。買い物、掃除、食事の作り置き、通院の付き添いなど、親がしていることを具体的に書き出して、主治医に伝えてください。「一人暮らし」でも、実態は「週1回の家族の援助で回っている」なら、それが実態です。

次に読む

一人暮らしで障害年金を申請する一人暮らし=自立している?私は何級くらい?(目安表で確かめる)

出典

  • 厚生労働省「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」(総合評価の際に考慮すべき要素の例: 生活環境)・確認日 2026-09-03
  • 厚生労働省「令和6年度の障害年金の認定状況についての調査」(精神の障害70.3%、不支給者の目安表分布)・確認日 2026-09-02
  • 当サイト 裁決事例集(91件)・確認日 2026-09-02
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