よくある誤解

「初診日が何十年も前だから、時効で申請できない」

初診日が何十年も前なら時効で申請できない? — 申請に時効はありません。時効があるのは「さかのぼる分」だけです

・ 確認日

結論

申請そのものに時効はありません。初診日が30年前でも、要件を満たせば請求できます。

時効があるのは「さかのぼって受け取れる分」です。障害認定日までさかのぼる請求が認められても、受け取れるのは請求日から直近5年分まで。それより前の分は、時効で消えています。

いま請求すれば、これ以上は消えません。「今さら」と思って、制度を知ってからさらに数年放置する人がいます。事後重症請求なら、遅れた月の分だけ消えていきます。

なぜ「時効で無理」と思われているのか

「年金の時効は5年」という話が、切り取られて広まっているからです。5年の時効は本当にあります。ただしそれは「支払いを受ける権利」の時効で、「受給権」そのものではありません。この2つが混ざると、「5年たったら申請できない」に変わります。

制度ではこうなっている

受給権と、支払いを受ける権利は別

障害年金の受給権は、要件を満たした時点で発生します。この受給権自体に、請求の期限はありません。初診日が何十年前でも、障害認定日の状態が等級に該当していれば、認定日請求ができます。当時の状態を証明する診断書が要る、という実務上の壁はありますが、制度上の期限はありません。

支払いの時効は5年

年金の支払いを受ける権利は、5年で時効になります。認定日請求が認められた場合、認定日から請求日までの分をまとめて受け取れますが、請求日から5年より前の分は時効で受け取れません。

事後重症請求は「翌月分から」

障害認定日には等級に該当せず、その後に重くなった場合の事後重症請求では、年金は請求した月の翌月分から支払われます。さかのぼりはありません。だから、迷った1か月は、そのまま1か月分の差になります。

65歳の壁

事後重症請求は、65歳の誕生日の前々日までにする必要があります。認定日請求にはこの期限がありませんが、65歳以降は老齢年金との関係で選択が入ります。

数字で見ると

認定日請求でさかのぼれる上限は5年分です。障害基礎年金2級なら、年847,300円(令和8年度)の5年分が上限の目安になります。それより前の分は、どれだけ長く病気だったとしても受け取れません。

裁決事例91件のうち、争点が「初診日」だったものは35件です。初診日が古いほど証明が難しくなるので、古い初診日の人ほど、この争点に向き合うことになります。

初診日が古い人が、最初にやること

1つ目、年金事務所に電話して、初診日の年を伝え、請求できるかを聞きます。予約は0570-05-4890です。ここで納付記録も一緒に確認できます。

2つ目、当時の受診の資料を探します。カルテは5年で保存期限が切れるので、残っていないことが普通です。お薬手帳、診察券、健康保険の記録、第三者証明の道があります。

3つ目、いまの主治医に、いまの状態の診断書を頼みます。認定日請求をするなら、認定日ごろの診断書も必要になり、当時の病院に頼みます。

4つ目、両方を出せるか年金事務所に確認します。認定日は非該当でも、いまの状態で事後重症として認められた裁決があります。

同じ状況の人が、どうなったか

社会保険審査会の裁決から、この誤解に関わる実例です。原文は厚生労働省の公開資料で確認しています。

5年より前の分の不支給(令和4〜5年、原文(厚労省PDF)) — 裁定前でも、支払いを受ける権利の消滅時効は支払期が来た時点から進行するとの最高裁判決を引用し、5年より前の分の不支給は適法とされました。受給権は消えなくても、5年より前の支払い分は取り戻せない、という時効の中身です。

統合失調症・制度施行時までの遡及を求めた例(平成30〜令和元年、原文(厚労省PDF)) — 事後重症による年金の支給開始は裁定請求月の翌月であり、制度施行時までさかのぼって支給することはできないとされました。事後重症請求に遡及はなく、請求した月の翌月分から、という原則が確認されています。

→ ほかの実例も読む

自分の場合を確かめる

  • 請求そのものに期限はありません。初診日が30年前でも、要件を満たせば請求できます。
  • さかのぼって受け取れるのは、請求日から直近5年分までです。それより前の分は時効で消えます。
  • 事後重症請求なら、支払いは請求した月の翌月分からです。迷った1か月は、そのまま1か月分の差になります。

窓口で聞く一言

年金事務所に「初診日が〇年ですが、いまから請求できますか」と、まず電話で聞いてください。予約は0570-05-4890です。

よくある質問

Q. 20年前に一度不支給になりました。もう一度請求できますか。

A. できます。不支給の決定は、その時点の請求に対するもので、その後の請求を妨げません。状態が重くなっていれば、事後重症請求ができます。

Q. 認定日の診断書が取れません。事後重症だけでも出せますか。

A. 出せます。認定日請求ができない場合は、事後重症請求だけで進めます。この場合、支払いは請求月の翌月分からです。

Q. 5年分をさかのぼると、税金や扶養に影響しますか。

A. 障害年金は非課税なので、税には影響しません。健康保険の扶養では、まとまって入った年金が収入として扱われるので、家族の勤務先の健康保険に確認してください。生活保護を受けていた期間と重なる場合は、返還が必要になることがあります。

次に読む

障害認定日までさかのぼって請求するとき遡及請求の条件認定日請求と事後重症請求

出典

  • 国民年金法第102条・厚生年金保険法第92条(支払いを受ける権利の時効5年)・確認日 2026-09-03
  • 日本年金機構「障害年金の請求(認定日請求・事後重症請求)」・確認日 2026-09-03
  • 日本年金機構「予約受付専用電話」・確認日 2026-09-03
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