よくある誤解

「更新で等級が下がったら、もらった分を返さないといけない」

更新で等級が下がったら受け取った分を返す? — 返しません。変わるのはその後の支払い分だけです

・ 確認日

結論

更新で等級が下がっても、それまで受け取った年金を返すことはありません。変わるのは、その後の支払い分です。不正があった場合は別ですが、正しく受け取っていた年金をさかのぼって返す仕組みはありません。

更新は、障害の状態の確認です。受給権を白紙に戻す手続きではなく、初診日や納付要件をやり直すこともありません。

この誤解で更新の書類を出せずにいる人がいます。出さないほうが、支払いが止まります。

なぜ「返す」と思われているのか

「等級が下がる=これまでの認定が間違っていた」と受け取るからです。間違っていたなら、もらいすぎた分を返すのではないか、という不安に繋がります。

実際には、更新で等級が変わるのは「状態が変わった」からであって、過去の認定が間違っていたからではありません。過去の等級はその時点の状態に対する正しい判断で、返す理由がありません。

制度ではこうなっている

更新は「障害状態確認届」

有期認定の人には、数年ごとに障害状態確認届(診断書)の提出が求められます。提出時期は年金証書に書かれています。審査されるのは、提出時点の障害の状態だけです。

等級が変わるとき

状態が軽くなったと判断されれば等級が下がる、または支給停止になります。重くなっていれば等級が上がります。どちらの場合も、変更が効くのは提出後の一定時期からで、過去にさかのぼりません。

返還があるのは不正の場合

受給資格がないのに偽って受給していた、届出を怠って加算を受け続けた、という場合は返還が求められます。これは更新で等級が下がることとは別の話です。

出さないとどうなるか

障害状態確認届を期限までに出さないと、年金の支払いが一時止まります。出せば審査され、状態が変わっていなければ支払いが再開されます。止まった期間の分は、あとからまとめて支払われます。出さないことのほうが、出すことより不利です。

数字で見ると

令和6年度の再認定304,456件のうち、96.7%は等級が継続しました。更新で等級が変わる人は少数です。「毎回の更新で下げられる」という印象は、この数字とは合いません。

不服があるときは、決定を知った日の翌日から3か月以内に審査請求ができます。

更新で、何を準備するか

更新の診断書は、誕生月の3か月前の月末に届き、誕生月の末日が期限です。届いてから受診では間に合わないことがあるので、その2か月前に主治医へ相談する予定を入れてください。

前回の診断書の控えがあれば、主治医に渡してください。前回どう書かれていたかを医師が見られると、記載の連続性が保たれます。控えを取っていない人は、今回から控えを取ってください。

診察では、この数年で変わったこと、変わっていないことを伝えます。良くなった部分は正直に、できていない部分も正直に。「調子がいい日」だけを話すと、その日の状態が診断書になります。

同じ状況の人が、どうなったか

社会保険審査会の裁決から、この誤解に関わる実例です。原文は厚生労働省の公開資料で確認しています。

副腎白質ジストロフィー・全項目「改善」の診断書(令和6年、原文(厚労省PDF)) — 進行性の疾患なのに、前回の診断書から全項目が「改善」となっている矛盾を審査会が指摘し、診断書は正確性に欠けるとして減額処分が取り消されました。更新で等級が下がったときに、その診断書の中身を確かめる意味があることを示しています。

統合失調症・提出年月の指定の誤り(平成28〜29年、原文(厚労省PDF)) — 保険者が次回診断書提出年月の指定を誤った後、過去にさかのぼって再認定時を設定して支給停止した処分は、運用と信義則に反し受給権者を不安定にするとして取り消されました。過去にさかのぼって不利益を与える扱いは、制度の側でも認められていません。

→ ほかの実例も読む

自分の場合を確かめる

  • 更新で等級が下がっても、変わるのは提出後の支払い分だけです。それまでの年金を返す通知は来ません。
  • 診断書の提出を遅らせるほうが、支払いが一時止まります。期限は誕生月の末日です。
  • 等級が下がった結果に納得できないときは、審査請求(通知を受けた翌日から3か月以内)の道があります。

窓口で聞く一言

年金事務所に「更新で等級が変わった場合、いつの支払い分から変わりますか」と聞いてください。

よくある質問

Q. 更新で支給停止になりました。もう終わりですか。

A. 終わりではありません。状態が再び重くなれば、支給停止事由消滅届で支給の再開を求められます。受給権自体は残っています。

Q. 更新の診断書を書く医師が変わりました。不利ですか。

A. 不利とは限りません。いまの主治医が、いまの状態を書きます。前の診断書の控えと、この数年の経過を紙にまとめて渡すと、書きやすくなります。

Q. 永久認定なら更新はありませんか。

A. ありません。年金証書の「次回診断書提出年月」が空欄なら永久認定です。ただし、状態が重くなったときに額改定請求をすることはできます。

次に読む

更新や額改定で困ったとき更新の確認届障害年金の更新は毎年ある?

出典

  • 日本年金機構「障害状態確認届(診断書)の提出」・確認日 2026-09-03
  • 日本年金機構「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」(再認定 304,456件、継続 96.7%)・確認日 2026-09-02
  • 社会保険審査官及び社会保険審査会法(審査請求の期限)・確認日 2026-09-03
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