よくある誤解

「昔、保険料を払っていなかったから、一生もらえない」

昔、保険料を払っていなかったから一生もらえない? — 納付要件は「初診日の前日」時点で判定されます

・ 確認日

結論

昔の未納があっても、一生もらえないわけではありません。納付要件は「その傷病の初診日の前日」時点で判定されます。過去に未納があっても、その後に納めていれば、将来の別の傷病では要件を満たせます。

免除・猶予・学生納付特例の手続きをしていた期間は、未納ではありません。「手続き済み」として数えます。

若い頃の未納を思い出して、記録を確認しないまま諦める人がいます。納付記録は年金事務所で確認できます。

なぜ「一生もらえない」と思われているのか

「年金は払った人がもらうもの」という理解が、「払っていない時期があれば資格がない」に変わるからです。老齢年金なら、未納の期間はその分だけ額が減りますが、資格そのものは受給資格期間で決まります。障害年金は、それとも違う判定をします。

もう1つは、「未納」と「免除」の区別がついていないことです。手続きをして免除や猶予を受けた期間は、納めていなくても未納ではありません。「払っていない=未納」と思い込んでいる人が多い。

制度ではこうなっている

判定は初診日の前日

障害年金の保険料納付要件は、初診日の前日の時点で判定します。初診日の前々月までの被保険者期間のうち、保険料を納めた期間と免除された期間を合わせて3分の2以上あること。これが原則です。

初診日より後にどれだけ納めても、その傷病の納付要件には入りません。逆に、初診日より前の未納は、3分の2の計算の中でだけ効きます。

直近1年の特例

原則を満たさなくても、初診日の前々月までの直近1年間に未納がなければ、要件を満たす特例があります(初診日に65歳未満の場合)。この特例には適用の期限が定められているので、自分の初診日に適用されるかは年金事務所で確認してください。

免除・猶予・学生納付特例は未納ではない

申請免除(全額・一部)、納付猶予、学生納付特例。これらの手続きをしていた期間は、納付要件の計算で「免除期間」として数えられ、未納ではありません。3分の2の分子に入ります。

手続きをせずに払っていなかった期間だけが、未納です。

20歳前の初診日なら問われない

20歳になる前に初診日がある人は、納付要件そのものが問われません。

数字で見ると

当サイトが整理した裁決事例91件のうち、争点が「納付要件」だったものは10件です。初診日をどこに置くかで納付要件の判定日が動くので、初診日の争点(35件)と組み合わさることが多い。

納付要件を満たすかどうかは、初診日が1か月ずれるだけで変わることがあります。自己判断ではなく、年金事務所で初診日の候補を伝えて、記録から判定してもらうのが確実です。

同じ状況の人が、どうなったか

社会保険審査会の裁決から、この誤解に関わる実例です。原文は厚生労働省の公開資料で確認しています。

妄想型統合失調症・1か月分の未納(平成30〜令和元年、原文(厚労省PDF)) — 20歳になった直後に、被保険者期間2か月に対して12か月分を速やかに納付した経過などから、1か月分だけ未納があっても実質的に納付要件を満たすと評価され、不支給が取り消されました。形式だけでなく、納付の経過が見られた例です。

糖尿病・高血圧の初診日前日(平成28〜29年、原文(厚労省PDF)) — 高血圧について、申し立てた初診日の前日に保険料納付要件を満たしていないとして、不支給が維持されました。判定日が「初診日の前日」であること、そこで満たしていなければ後から納めても効かないことを示しています。

→ ほかの実例も読む

自分の場合を確かめる

  • 判定されるのは「初診日の前日」時点の納付状況です。それより後の未納や納付は関係ありません。
  • 初診日の前々月までの直近1年間に未納がなければ、要件を満たす特例があります(初診日に65歳未満のとき)。
  • 免除・猶予・学生納付特例の期間は、未納ではなく「手続き済み」として数えます。

窓口で聞く一言

年金事務所で「〇年〇月が初診日だとして、納付要件を満たしていますか」と聞くと、記録から答えてもらえます。

よくある質問

Q. 未納の期間を、いまから払えば間に合いますか。

A. 初診日より後に納めた分は、その傷病の納付要件には入りません。ただし、未納の期間について、あとから免除の申請が認められる場合があります(さかのぼって申請できる期間に限りがあります)。年金事務所で確認してください。

Q. ねんきん定期便で「未納」と出ています。

A. 定期便の記録が正しいとは限りません。学生納付特例や免除の手続きをしていたのに反映されていないことがあります。年金事務所で、被保険者記録を出してもらって確認してください。

Q. 会社が厚生年金の手続きをしていなかった期間があります。

A. 会社の届出漏れは、本人の未納とは別の問題です。事業所の適用届出前の期間について、保険料徴収権と時効の解釈により納付済期間への算入が認められた裁決(令和7年、r07-03_08)があります。年金事務所に、その期間の勤務の事実を示す資料を持って相談してください。

次に読む

納付要件専業主婦(主夫)や無職だから障害年金は関係ない?若いから障害年金は無理?

出典

  • 国民年金法第30条第1項ただし書・厚生年金保険法第47条第1項ただし書(保険料納付要件)、国民年金法附則(直近1年の特例)・確認日 2026-09-03
  • 日本年金機構「障害年金の保険料納付要件」・確認日 2026-09-03
  • 当サイト 裁決事例集(91件、争点の内訳)・確認日 2026-09-02
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