結論
親に収入があっても、20歳前の障害年金はもらえます。所得制限で見られるのは、本人の前年の所得だけです。親や配偶者の収入は、一切数えません。
基準は、前年所得が3,761,000円超で2分の1停止、4,794,000円超で全額停止です(令和8年10月分からは3,858,000円と4,918,000円)。「所得」は年収ではなく、控除を引いた後の額です。学生やアルバイトでこの基準を超えることは、ほぼありません。
実家暮らしの20歳前後の人が、家族の収入を理由に申請しないケースが、この誤解でいちばん多い。
なぜ「親の収入」と思われているのか
20歳前傷病の障害基礎年金は、保険料を納めていない期間の障害を対象にする特別な仕組みです。「保険料を払っていないのにもらえる」という部分が知られると、「だから家族の収入で制限される」と推測されます。児童扶養手当や自治体の手当に世帯の所得制限があることも、この推測を強めます。
実際の仕組みは、本人の所得で調整する形です。世帯の所得は見ません。
制度ではこうなっている
判定は本人の前年所得
国民年金法は、20歳前傷病による障害基礎年金について、受給権者本人の前年の所得が一定額を超えるときに支給を停止すると定めています。条文の主語は本人です。同居している親、配偶者、きょうだいの所得は、判定に入りません。
基準額
前年所得が3,761,000円を超えると2分の1停止、4,794,000円を超えると全額停止です。扶養親族がいる場合は、1人につき38万円(老人扶養親族48万円、特定扶養親族63万円)が基準額に加算されます。令和8年10月分からは、それぞれ3,858,000円と4,918,000円に引き上げられます。
「所得」は「年収」ではない
判定に使うのは、給与所得控除や社会保険料控除などを引いた後の「所得」です。給与で言えば、基準の3,761,000円に相当する年収は、それよりかなり高くなります。学生のアルバイトや、障害者雇用の給与でこの水準を超えることは、ほぼありません。
停止の期間
支給停止は、その年の10月分から翌年9月分までです。所得が下がれば、翌年10月分から自動的に解除されます。原則として手続きは要りません。
「所得」と「年収」の違いを、自分で確かめる
所得制限の判定に使われるのは、税の「合計所得金額」に近い考え方の額です。給与なら、年収から給与所得控除を引いた額。事業なら、売上から経費を引いた額です。
自分の前年の所得は、市区町村の課税証明書(所得証明書)で確認できます。「所得金額」の欄の数字が、それです。年収の欄ではありません。
学生のアルバイトなら、所得は年収から控除を引いた額なので、基準の3,761,000円に届くことはまずありません。障害者雇用のフルタイムでも、届く人はごく限られます。
親の課税証明書は要りません。判定に使うのは本人の分だけです。窓口で親の収入を聞かれることもありません。
数字で見ると
障害基礎年金は2級で年847,300円、1級で年1,059,125円です(令和8年度)。20歳前傷病でも、この額は同じです。親の収入がいくらでも、この額は変わりません。
事後重症請求では、年金は請求した月の翌月分から支払われます。「親に収入があるから」と申請を1年見送れば、1年分が戻りません。
自分の場合を確かめる
- 判定に使われるのは、あなた自身の前年の「所得」です。年収ではなく、控除を引いた後の額です。
- 停止の基準は、前年所得3,761,000円超で半額、4,794,000円超で全額です(令和8年10月分からは3,858,000円と4,918,000円)。
- 親と同居していても、親の収入・貯金・持ち家は一切数えません。
窓口で聞く一言
市区町村の年金窓口に「20歳前の障害基礎年金の所得制限は、本人だけの所得で見ますか」と確認してください。
よくある質問
Q. 親の扶養に入っています。それでも本人の所得だけですか。
A. 本人の所得だけです。税や健康保険の扶養に入っているかどうかは、この判定に関係ありません。
Q. 所得の確認は毎年ありますか。
A. あります。所得状況の届出が必要ですが、マイナンバーの届出により省略できる場合があります。年金事務所からの案内に従ってください。
Q. 20歳以降に初診日がある場合も、所得制限がありますか。
A. ありません。所得制限があるのは20歳前に初診日がある障害基礎年金だけです。20歳以降の障害基礎年金・障害厚生年金には、所得制限そのものがありません。
次に読む
20歳前に初診日があるとき20歳前傷病の障害基礎年金貯金や持ち家があると障害年金はもらえない?出典
- 国民年金法第36条の3(20歳前傷病の所得による支給停止)・確認日 2026-09-03
- 厚生労働省 令和8年7月15日付通知(障発0715第2号・年発0715第1号、基準額の改定)・確認日 2026-08-27
- 日本年金機構「障害基礎年金の年金額」令和8年度・確認日 2026-08-31