よくある誤解

「生活保護を受けていると、障害年金をもらっても損」

生活保護を受けていると障害年金をもらっても損? — 障害者加算がつけば、手取りが増える場合があります

・ 確認日

結論

生活保護を受けている人が障害年金を受けると、年金は収入として認定され、その分の保護費は減ります。ここだけを見ると「同じ額」に見えます。

しかし、障害基礎年金1級・2級が決まると、その等級は生活保護の障害者加算の判定に使われます。加算がつけば、年金と保護費の合計は、加算の分だけ増えます。

損にはなりません。そして、生活保護には「他の制度で受けられるものを先に使う」という原則があるので、障害年金を受けられそうな人は、請求を求められます。

なぜ「損」と思われているのか

保護費が減る、という説明だけが先に耳に入るからです。ケースワーカーから「年金を請求してください」と言われ、決まったら保護費が減る。手間だけかかって手取りは同じ、という経験談が、「損」という言葉になっています。

障害者加算の仕組みは、年金が決まったあとに初めて動くので、請求の時点では実感がありません。

制度ではこうなっている

補足性の原則

生活保護法第4条に、保護は「利用し得る資産、能力その他あらゆるもの」を活用したうえで行う、と定められています。年金を受けられるなら、先に年金を受けてください、という原則です。障害年金の請求を求められるのは、この原則によります。

年金は収入認定される

決まった障害年金は、収入として認定されます。最低生活費から年金額を引いた差額が、保護費として支給されます。年金が月70,600円なら、保護費はその分減ります。

障害者加算

障害基礎年金1級・2級を受けている人(または身体障害者手帳1〜3級の人)には、生活保護の障害者加算がつきます。額は住んでいる地域の級地によって違い、月2万円台です。この加算は、最低生活費に上乗せされるので、年金で減った分とは別に、手取りが増えます。

年金の等級が決まったら、年金証書か決定通知をケースワーカーに見せてください。加算は、申し出てから判定されます。

さかのぼって受け取った分は返還の対象になることがある

障害認定日にさかのぼって請求が認められると、過去の分がまとめて振り込まれます。その期間に生活保護を受けていた場合、生活保護法第63条により、受けていた保護費の範囲で返還を求められることがあります。

受け取る前に、ケースワーカーに「さかのぼりの分が入ります」と伝えてください。黙って使ってしまうと、あとで返還を求められて困ります。

診断書の文書料

請求に必要な診断書の文書料は、福祉事務所が検診命令として扱えば、保護費から出せる場合があります。自分で払う前に、ケースワーカーに聞いてください。

数字で見ると

障害基礎年金2級は年847,300円、月にすると約70,600円です(令和8年度)。1級は年1,059,125円、月約88,300円です。

年金を受けても最低生活費は変わらないので、保護費との合計は原則として同じです。そこに障害者加算(月2万円台)が乗ると、合計はその分増えます。年にすると、20万円台後半から30万円前後の差になります。

自分の場合を確かめる

  • 障害基礎年金1級・2級が決まると、生活保護の障害者加算の判定に使われます。加算がつけば手取りの合計が増える場合があります。
  • 年金は収入として認定され、その分の保護費は減ります。ただし加算分は年金とは別に計算されます。
  • 遡って受け取った分が保護を受けていた期間と重なると、返還が必要になることがあります。受け取る前にケースワーカーに伝えてください。

窓口で聞く一言

ケースワーカーに「障害年金〇級が決まりました。障害者加算の対象になりますか」と伝えてください。

よくある質問

Q. 3級だった場合はどうなりますか。

A. 障害厚生年金3級には、生活保護の障害者加算はつきません。年金は収入認定されて保護費が減るので、合計は同じになります。損にはなりませんが、増えもしません。

Q. 年金が決まったら、生活保護は打ち切りになりますか。

A. 年金額が最低生活費を上回らない限り、生活保護は続きます。障害基礎年金2級の月約70,600円は、単身の最低生活費より低いのが普通です。年金だけで生活できる額ではないので、多くの場合は保護が続きます。

Q. 精神障害者保健福祉手帳2級を持っていますが、年金はまだです。加算はつきますか。

A. 生活保護の障害者加算の要件は、障害基礎年金1級・2級か、身体障害者手帳1〜3級です。精神の手帳だけでは要件を満たしません。年金が決まると加算の対象になります。この点でも、年金の請求には意味があります。

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いくらもらえる?借金があると障害年金は差し押さえられる?精神の手帳を取るのにまた診断書が要る?

出典

  • 生活保護法第4条(補足性の原則)、第63条(費用返還義務)・確認日 2026-09-03
  • 厚生労働省「生活保護法による保護の基準」(障害者加算)・確認日 2026-09-03
  • 厚生労働省「令和8年度の年金額」・確認日 2026-09-02
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