結論
第三者証明は、親やきょうだいには頼めません。三親等内の親族(親・子・きょうだい・祖父母・おじおば・配偶者など)は、制度上「第三者」に当たりません。
頼めるのは、当時のあなたを知る親族以外の人です。友人、同級生、学校の先生、職場の同僚や上司、隣人、民生委員、通っていた施設の職員などです。原則として2人分必要です。
証明には、その人が「いつ・どこで・どんな様子を見聞きしたか」を、その人自身の言葉で書いてもらいます。
なぜ「家族でいい」と思われているのか
いちばんよく知っているのが家族だからです。当時の様子を細かく覚えているのは親で、通院に付き添ったのも親、という人が多いので、家族に書いてもらうのが自然に思えます。
「第三者」という言葉が、「本人以外」と受け取られていることもあります。制度上の「第三者」は、本人と親族の両方を除いた人です。
制度ではこうなっている
三親等内の親族は不可
日本年金機構の案内で、第三者証明は「三親等内の親族以外」の人によるものとされています。親・子(一親等)、祖父母・孫・きょうだい(二親等)、曾祖父母・おじおば・おいめい(三親等)と、配偶者、配偶者側の同じ範囲の親族が除かれます。いとこは四親等なので、頼めます。
原則2人以上
第三者証明は、原則として2人以上の人から取ります。医師・看護師など医療従事者が当時の受診を直接知っている場合は、その人1人の証明で足りることがあります。
20歳前と20歳以降で扱いが違う
初診日が20歳前にある場合、第三者証明だけで初診日が認められることがあります。20歳以降の初診日の場合は、第三者証明に加えて、初診日の参考資料(診察券、お薬手帳、健康保険の記録など)が必要です。第三者証明だけでは足りません。
内容は本人の言葉で
証明する人には、「いつ頃、どこで、どんな様子を見たか、どうやって知ったか」を、その人の記憶と言葉で書いてもらいます。あなたが下書きを渡して写してもらうと、証明の信用が下がります。頼むときは、「当時のことで覚えていることを書いてほしい」と伝えて、細かい指示はしないでください。
証明する人の氏名・住所・電話番号と、あなたとの関係を書く欄があります。あとから年金事務所が確認の連絡をすることがあります。
様式は年金事務所にある
「初診日に関する第三者からの申立書」という公式の様式があります。年金事務所でもらえますし、日本年金機構のサイトからも印刷できます。
数字で見ると
当サイトが確認した裁決91件のうち、初診日が争点になったものは35件です。第三者証明は、この35件の多くで、認定を左右する材料になっています。
医師法で診療録の保存期間は5年です。初診から5年以上経った病院に記録がないのは普通のことで、第三者証明はそのために用意された仕組みです。
同じ状況の人が、どうなったか
社会保険審査会の裁決から、この誤解に関わる実例です。原文は厚生労働省の公開資料で確認しています。
うつ病・事後重症請求(平成30〜令和元年、原文(厚労省PDF)) — 小学生のときの元担任らによる、具体的で互いに整合する第三者証明から、20歳前の入院を初診と認定し、裁定請求日の状態も2級に該当するとして原処分が取り消されました。当時の先生の証明が、記録のない初診日を支えた例です。
うつ病・障害認定日請求(平成28〜29年、原文(厚労省PDF)) — 障害認定日から5か月以上あとの診断書や知人の申述では、診療が中断していた認定日当時の状態を客観的に認定できないとして、原処分が維持されました。第三者の申述は初診日の材料にはなっても、認定日の障害の状態を証明するものとしては限界がある、という例です。
自分の場合を確かめる
- 三親等内の親族(親・子・きょうだい・祖父母・おじおば・配偶者など)には頼めません。
- 当時のあなたを知る友人・同級生・先生・職場の同僚・隣人・民生委員を、名前で書き出してください。原則2人分です。
- 証明には「いつ・どこで・どんな様子を見聞きしたか」を、その人自身の言葉で書いてもらいます。あなたが下書きするのは避けてください。
窓口で聞く一言
年金事務所で「第三者証明の様式と、どんな人に頼めるかの一覧をください」と伝えてください。
よくある質問
Q. 頼める人が1人しか思いつきません。
A. 1人でも出してください。他の参考資料(診察券、お薬手帳、健康保険の給付記録、学校の記録など)と合わせて判断されます。当時の担任、部活の顧問、アルバイト先の店長、通っていた塾や教会の人など、範囲を広げて思い出してみてください。
Q. 証明してくれる人が高齢で、字が書けません。
A. 本人の意思で内容を話してもらい、代筆した人の名前を添える方法があります。年金事務所で扱いを確認してください。
Q. 証明する人に、私の病名を伝えないといけませんか。
A. 証明に必要なのは「当時どんな様子だったか」「病院に通っていたか」で、病名を伝える義務はありません。ただ、様式には傷病名の欄があるので、どこまで伝えるかは、あなたが決めてください。
次に読む
第三者証明初診日が証明できない・カルテがないとき初診日の日付が思い出せないから申請できない?出典
- 日本年金機構「初診日に関する第三者からの申立書(第三者証明)」・確認日 2026-09-03
- 厚生労働省年金局「障害年金の初診日を明らかにすることができる書類が添付できない場合の取扱いについて」(平成27年9月28日)・確認日 2026-09-03
- 医師法第24条(診療録の保存5年)・確認日 2026-09-03
- 当サイト 裁決事例集(91件、初診日が争点35件)・確認日 2026-09-02