よくある誤解

「転院したばかりだから、診断書を書いてもらえない」

転院したばかりだと診断書を書いてもらえない? — 診断書は「現在の状態」を書くもので、長い付き合いは条件ではありません

・ 確認日

結論

転院したばかりでも、診断書は書いてもらえます。現在の障害状態の診断書は、いま診てもらっている医師が、診療にもとづいて書ける範囲で作成します。長い付き合いは条件ではありません。

前の病院の紹介状、お薬手帳、あなた自身がまとめた経過を渡すと、医師は書きやすくなります。

ただし、障害認定日(初診日から1年6か月後)の時点の診断書が必要な場合は、当時通っていた病院に頼みます。いまの主治医ではありません。

なぜ「書いてもらえない」と思われているのか

医師の側が「まだ経過を見ていないので書けない」と言うことがあるからです。それは「書けない」ではなく「まだ十分な診療の材料がない」という意味で、数回の診察を経れば書けるようになります。

もう1つは、「診断書は長く診た医師が書くもの」という思い込みです。診断書が書くのは「現在の状態」で、医師が診察で確認できたことが根拠になります。付き合いの長さは、根拠の量には影響しますが、条件ではありません。

制度ではこうなっている

診断書は「現症」を書く

障害年金の診断書は、現症日(診察した日)の状態を書く書類です。医師が診察で確認した症状、検査結果、日常生活能力の評価が中心です。過去の経過は「経過」の欄に書きますが、その欄は前の病院の情報や本人の申告も使えます。

認定日請求と事後重症請求で、頼む相手が違う

いまの状態で請求する事後重症請求なら、診断書はいまの主治医が書きます。転院して日が浅くても、この診断書は書けます。

障害認定日にさかのぼる認定日請求なら、認定日から3か月以内の現症日の診断書が必要で、これは当時通っていた病院に頼みます。転院前の病院にカルテが残っていれば、書いてもらえます。

医師でない人が書いた診断書は認められない

診断書は、実際に診察した医師が、診療の記録にもとづいて書く必要があります。本人や家族の話だけをもとに、診察していない時期の状態を書いた診断書は、認められないことがあります。転院直後に「前の病院での状態」を新しい医師に書いてもらおうとすると、この問題が起きます。

数字で見ると

当サイトが整理した裁決事例91件のうち、争点が「診断書の信頼性」だったものは15件です。診断書が「誰が、何をもとに書いたか」は、審査で実際に問われる場所です。転院直後の診断書は、いまの状態については問題なく、過去の状態については根拠が問われます。

同じ状況の人が、どうなったか

社会保険審査会の裁決から、この誤解に関わる実例です。原文は厚生労働省の公開資料で確認しています。

下垂体機能低下症・精神科を標榜しない医師の診断書(令和6年、原文(厚労省PDF)) — 障害認定日の精神障害を示す診断書がないことも根拠に不支給とされた処分について、精神科を標榜しない医師でも当時診察していたなら診断書の適格性を当然には否定できず、提出の機会を与えなかった手続は不適正として、処分が取り消されました。「誰が書いたか」より「当時診察していたか」が問われています。

うつ病・診療中断中の認定日(平成28〜29年、原文(厚労省PDF)) — 障害認定日から5か月以上後の診断書や知人の申述では、診療を中断していた認定日の状態を客観的・公平に認定できないとして、不支給が維持されました。診察していない時期のことは、あとから書いても根拠になりにくい、という限界です。

→ ほかの実例も読む

新しい主治医に、何を渡すか

1つ目、前の病院の紹介状。転院時にもらっているはずです。診断名、治療経過、処方が書かれています。

2つ目、お薬手帳。処方の変遷が、症状の重さと経過を示します。

3つ目、あなた自身がまとめた経過を1枚に。発症の時期、受診した病院と期間、症状がどう変わったか、いまの生活でできていないこと。時系列で、事実だけを。読み上げなくてよく、渡すだけで足ります。

4つ目、前の診断書の控えがあれば、それも。障害年金の診断書を以前に書いてもらっていれば、記載の連続性が保てます。

自分の場合を確かめる

  • 前の病院の紹介状・お薬手帳・診断書の控えを、新しい主治医に渡してください。経過が伝わると書きやすくなります。
  • 転院前の経過を、あなた自身が1枚にまとめて渡してください。発症から現在までを時系列で書けば十分です。
  • 障害認定日時点の診断書が必要な場合は、当時通っていた病院に頼みます。いまの主治医ではありません。

窓口で聞く一言

新しい主治医に「転院して日が浅いのですが、障害年金の診断書は書いていただけますか」と、初回か2回目の診察で聞いてください。

よくある質問

Q. 新しい医師に「もう少し診てから」と言われました。

A. それは断りではなく、診療の材料を集めている段階です。数回の診察を経て、生活の実態を伝え続けてください。事後重症請求なら、請求が遅れた分だけ受け取り開始が遅れるので、「いつ頃書けそうか」を聞いておくとよいです。

Q. 前の病院が遠くて、認定日の診断書を頼みに行けません。

A. 郵送で依頼できる病院が多いです。電話で「障害年金の診断書を、当時の診療録にもとづいて書いてほしい」と伝え、様式を送ります。文書料と日数を先に確認してください。

Q. 前の病院と診断名が違います。

A. 診断名が変わること自体は珍しくありません。診断書には、いまの主治医がいまの診断名を書きます。前の診断名は経過の欄に入ります。初診日は、最初の受診日のままです。

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診断書で困ったとき診断書を頼むタイミング診断書を書いてくれないとき

出典

  • 日本年金機構「診断書(精神の障害用)」様式と記入上の注意(現症日、経過欄)・確認日 2026-09-03
  • 日本年金機構「障害年金の請求(認定日請求・事後重症請求)」(診断書の現症日の要件)・確認日 2026-09-03
  • 当サイト 裁決事例集(91件、争点の内訳)・確認日 2026-09-02
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