よくある誤解

「障害基礎年金か障害厚生年金か、どちらか一方しかもらえない」

障害基礎年金か障害厚生年金かどちらか一方しかもらえない? — 2級以上なら二階建てで両方受け取れます

・ 確認日

結論

どちらか一方ではありません。2級以上なら、障害基礎年金と障害厚生年金の二階建てで、両方を受け取れます。

初診日に厚生年金に加入していれば、1階の障害基礎年金に、2階の報酬比例部分が上乗せされる仕組みです。「厚生を選ぶと基礎がもらえない」と誤解して、金額を低く見積もる人がいます。

3級だけは障害厚生年金のみの等級で、1階部分がありません。3級から2級に上がると、基礎年金も併せて受けられるようになります。

なぜ「どちらか一方」と思われているのか

「国民年金か厚生年金か」という加入制度の二択が、「基礎年金か厚生年金か」という給付の二択に見えるからです。加入は二択ですが、給付は重なります。厚生年金の加入者は、同時に国民年金の第2号被保険者でもあるので、両方の給付の対象です。

もう1つは、「選択」という言葉です。65歳以降に老齢年金との選択が入ることが、障害基礎年金と障害厚生年金の間の選択と混ざって伝わっています。

制度ではこうなっている

二階建ての仕組み

日本の公的年金は、1階が国民年金(基礎年金)、2階が厚生年金です。厚生年金の加入者は、国民年金にも加入している扱いなので、障害の給付も1階と2階の両方から出ます。

初診日に厚生年金に加入していて、1級または2級に該当すれば、障害基礎年金(1階)と障害厚生年金(2階)の両方を受け取ります。初診日に国民年金だけに加入していれば、障害基礎年金(1階)だけです。

3級は2階だけ

障害基礎年金には1級と2級しかありません。3級は障害厚生年金だけの等級です。だから3級の人は、2階の報酬比例部分だけを受け取り、1階の基礎年金はありません。その代わり、3級には最低保障額(年635,500円、令和8年度)があります。

額の組み立て

障害基礎年金は定額で、2級が年847,300円、1級が1,059,125円(令和8年度)。障害厚生年金は、平均標準報酬額と加入月数から計算する報酬比例部分で、1級はその1.25倍。加入が300月未満なら300月とみなして計算します。

2級の人が、障害厚生年金の対象なら、847,300円に報酬比例部分が足されます。平均標準報酬額30万円・300月みなしなら、報酬比例は年約49.3万円で、合計は年約134万円になります。

初診日で決まる

どちらの制度かは、本人が選ぶのではなく、初診日にどの制度に加入していたかで決まります。会社員の時期に初診日があれば厚生年金、退職後や学生・主婦の時期なら国民年金。初診日が1日違うだけで、生涯の額が数百万円変わることがあります。

数字で見ると

令和6年度に決まった等級は、1級10.9%・2級53.9%・3級22.1%です。3級は障害厚生年金だけの等級なので、この22.1%は全員が厚生年金の対象者です。

2級で障害厚生年金の対象なら、基礎年金847,300円に報酬比例が乗ります。同じ2級でも、初診日が国民年金の期間なら847,300円だけです。この差は、加入制度の違いであって、本人の選択ではありません。

同じ状況の人が、どうなったか

社会保険審査会の裁決から、この誤解に関わる実例です。原文は厚生労働省の公開資料で確認しています。

双極性気分障害・厚生年金と国民年金の初診日(平成28〜29年、原文(厚労省PDF)) — 厚生年金の加入中の初診日は認められませんでしたが、国民年金の期間の初診日が認定され、裁定請求日の状態が2級に該当するとして、障害基礎年金の却下部分だけが取り消されました。どちらの年金になるかは、初診日がどの制度の期間にあるかで決まる、という例です。

うつ病・厚生年金期間中の初診日を主張(令和7年、原文(厚労省PDF)) — 複数の初診日の主張が検討されましたが、厚生年金の被保険者期間中の初診日は認められず、不支給が維持されました。厚生年金の対象になるかどうかは、主張ではなく、資料で裏づけられる初診日で決まります。

→ ほかの実例も読む

自分の場合を確かめる

  • 初診日に厚生年金に加入していれば、2級以上で障害基礎年金と障害厚生年金の両方が出ます。
  • 3級は障害厚生年金だけの等級です。基礎年金はつきませんが、最低保障は年635,500円です(令和8年度)。
  • 年金事務所では、加入記録から報酬比例部分の見込み額を出してもらえます。予約のときに伝えてください。

窓口で聞く一言

年金事務所に「障害厚生年金の見込み額を、加入記録から出してもらえますか」と予約時に伝えてください。

よくある質問

Q. 年金請求書は、基礎と厚生で2枚出すのですか。

A. 1枚です。初診日が厚生年金の期間なら「国民年金・厚生年金保険 障害給付」の様式(第104号)で、両方をまとめて請求します。初診日が国民年金の期間なら「国民年金 障害基礎年金」の様式(第107号)です。

Q. いま3級です。2級になったら基礎年金も出ますか。

A. 出ます。額改定請求や更新で2級になれば、障害基礎年金2級が加わり、報酬比例部分も2級として計算されます。3級と2級の差は、報酬比例だけでなく1階部分の有無です。

Q. 退職して国民年金に切り替えました。厚生年金の分は消えますか。

A. 消えません。障害年金は初診日の加入制度で決まります。初診日が厚生年金の期間なら、その後に退職して国民年金に変わっても、障害厚生年金の対象です。

次に読む

障害基礎年金と障害厚生年金の違い障害年金はいくら受け取れるかいくらもらえる?

出典

  • 国民年金法第30条・厚生年金保険法第47条(障害給付の要件と等級)、厚生年金保険法第50条(報酬比例の計算、300月みなし)・確認日 2026-09-03
  • 日本年金機構「障害基礎年金・障害厚生年金の年金額」令和8年度・確認日 2026-08-31
  • 厚生労働省「令和6年度の障害年金の認定状況についての調査」(等級分布)・確認日 2026-09-02
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