リード(直答)
事故や脳卒中のあと、見た目は回復したのに、記憶が続かない、段取りが組めない、怒りっぽくなった。これが高次脳機能障害で、障害年金の対象です。「症状性を含む器質性精神障害」として扱われます。
この障害の申請でいちばん難しいのは、「見えないこと」です。歩けるし、話せる。だから周囲にも、ときには医師にも、困難が伝わらない。伝え方が結果を分けます。
見られているのは、この3つ
1. 精神と身体を分けない全体像 — 精神の症状と神経の症状を区分せず、諸症状を総合して判断されます。麻痺と記憶障害を、分けずにまとめて伝えて構いません。 2. 失語がある場合の二面評価 — 言葉が出にくい・理解しにくい失語症は、音声言語機能の障害としても、高次脳機能障害の症状としても評価されえます。肢体の麻痺と合わせて、複数の診断書で請求することがあります。 3. 日常生活能力の7項目 — 記憶、注意、感情のコントロールが、7つの場面のどこに影響しているか。「約束を忘れる」は通院・服薬に、「怒りっぽくなった」は対人関係に対応します。
結論を分けた実例
併合して1級(容認) — 器質性解離障害・高次脳機能障害・外傷性脳脊髄液漏出治療後の方の額改定請求です。精神障害とその他の疾患による障害をそれぞれ評価すると併合判定参考表の4号にあたり、併合認定すると1級に該当するとして、2級とした処分が取り消されました。 脳腫瘍との因果関係は認めず、初診日を別に認定(容認) — 高次脳機能障害とうつ病の初診日が争われた事例です。脳腫瘍治療と高次脳機能障害の相当因果関係は認められませんでしたが、抑うつ気分で受診した日を初診日と認定して、処分が取り消されました。
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同じ道を歩いた人が、つまずいたところ
「できた日」だけが診察で報告される。 良くなった話は本人も家族も報告しやすい。でも診断書に必要なのは、できなかった日の頻度です。両方を書いてください。 家族が「言うと本人が傷つく」と黙る。 気持ちは分かりますが、診断書に載らなければ制度上は存在しないのと同じです。本人のいる前で言いにくければ、紙で渡す方法があります。 複数の診断書が必要なことを知らない。 麻痺と失語と高次脳機能障害があるなら、様式が分かれることがあります。年金事務所で「どの様式が必要か」を先に確認してください。
よくある質問
Q. 事故の相手から損害賠償を受けています。** 労災の給付とは調整がありますが、第三者行為による賠償との関係は個別性が高いため、年金事務所で確認してください。
Q. 障害者手帳(精神)は取れますか。** 高次脳機能障害は精神障害者保健福祉手帳の対象になりえます。年金が先に決まれば、年金証書で診断書なしに申請できます。
次の一歩
「事故(発症)の前にできて、いまできないこと」を10個、書き出してください。家族と本人で別々に書くと、差が見えます。 → 自分で・アプリで・専門家に頼む、の比べ方
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出典
- 厚生労働省「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」第8節 精神(器質性精神障害・依存症) ・ 確認日 2026-08-31