社労士に頼めない人が、無料で頼れる人 — 精神保健福祉士・相談支援専門員・年金事務所・支援員の地図
この記事の結論
社労士に数十万円払えなくても、申請を一緒に進めてくれる人は、無料でいます。病院の相談室にいる精神保健福祉士(PSW)、相談支援専門員、市の障害福祉課、年金事務所、通っている作業所の支援員です。
できることは人によって違います。年金事務所は「制度と書類の確認」。PSWと相談支援専門員は「申立書の相談、主治医への橋渡し、同行」。支援員は「通所の記録と同行」。誰も「代わりに申請する」ことはできませんが、一人で書類と向き合わなくて済みます。
頼み方は一言です。「障害年金を申請したいのですが、書類のことを相談できますか」。それだけで通じます。
社労士が要る場面もあります。遡って請求できるとき、初診日の証明が難しいとき、一度落ちて審査請求するとき、本人も家族も動けないとき。この四つに当たらない人は、無料の道で十分に進めます。
「社労士に頼むお金がありません。一人でやるしかないですか?」
Xで、精神科医の人がこう書いていました。「年金は社労士に頼まないと通らない、という話がよく出るけれど、大事なところが抜けている。申請できるくらいつらい状況で、患者さんだけで申請するのが難しい、ということではないか」。
診察で先生と話すのもしんどい。状況をうまく説明できない。書類を前にすると固まる。それが本当の壁です。
社労士は、その壁を越える一つの道です。でも、成功報酬で年金の2か月分から数十万円かかります。この記事は、もう一つの道の話です。無料で、一緒に進めてくれる人が、実はあなたのすぐ近くにいます。
誰が、どこにいて、何をしてくれるか
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| 誰 | どこにいる | 頼めること | できないこと |
|---|---|---|---|
| 精神保健福祉士(PSW) | 病院・クリニックの相談室、地域連携室 | 制度の説明、申立書の相談、主治医への橋渡し、書類の整理、他の窓口の紹介 | 代わりに申請する、診断書の中身を決める |
| 相談支援専門員 | 相談支援事業所 | 生活の困りごとの整理、年金事務所や病院への同行、申立書の相談、家族との調整 | 代わりに申請する |
| 基幹相談支援センター | 市区町村に1か所以上 | 「どこに行けばいいか分からない」の相談。必要な窓口につなぐ | 代わりに申請する |
| 市の障害福祉課 | 市役所・区役所 | 受給者証、手帳、手当の案内 | 診断書や申立書の相談 |
| 年金事務所 | 各地(予約制) | 初診日と納付要件の確認、必要書類の一覧、記入漏れのチェック、受付 | 申立書の中身を一緒に考える、診断書への助言 |
| 作業所・就労移行の支援員 | 通っている事業所 | 通所の記録を出す、主治医への報告書、同行(事業所による) | 代わりに申請する |
病院の相談室にいる、精神保健福祉士
精神保健福祉士は、精神の障害のある人の生活と制度を支える国家資格です。多くの精神科病院と、一部のクリニックに、「相談室」「地域連携室」という名前でいます。
頼めるのは、こんなことです。
- 自分が年金の対象になりそうか、の説明
- 必要な書類と、集める順番
- 病歴・就労状況等申立書に何を書けばいいか、どこまで書くか
- 主治医に診断書を頼むときの橋渡し(「相談室からも先生に伝えておきますね」)
- 年金事務所、相談支援事業所、社労士の紹介
Xに、こんな声がありました。「医療保護入院の担当PSWが、年金まで詳しかった。更新は障害者雇用と作業所どちらがいいか聞いたら、配慮を受けて働いていると診断書に書けるから障害者雇用がいい、と答えてくれた」。実務まで踏み込んだ助言が、無料で受けられた例です。
頼み方は、受付か主治医に「相談室の方と、年金のことで話したいです」と言うだけです。クリニックに相談室がなければ、主治医に「地域の相談支援事業所を紹介してもらえますか」と聞いてください。
相談支援専門員 — 生活全体を見ている人
作業所、訪問看護、ヘルパーなどの障害福祉サービスを使うとき、「サービス等利用計画」を作る人が相談支援専門員です。市の障害福祉課で、事業所の一覧をもらえます。
この人は、あなたの生活全体を見る立場なので、年金でもこんなことを頼めます。
- 食事、お金の管理、通院、人付き合いで、何に困っているかの整理
- 年金事務所や病院への同行
- 申立書に書くことの相談
- 家族との調整
一人暮らしで、助けが見えにくい人にとっては特に大事です。「訪問看護とヘルパーを使っている」「週1回、家事の支援を受けている」という事実を、相談支援専門員が計画の中に記録している。それが年金の側でも、状態の証拠になります。
まだ障害福祉サービスを使っていない人は、市の障害福祉課で「相談支援を受けたい」と言ってください。受給者証の申請と一緒に、相談支援専門員がつきます。
どこに行けばいいか分からないとき — 基幹相談支援センター
市区町村には、障害のある人の総合相談の窓口として「基幹相談支援センター」があります。「どこに相談すればいいか分からない」という状態そのものを相談できる場所です。年金、手帳、作業所、住まい、家族のこと、全部まとめて話して、必要な窓口につないでもらえます。
「(市の名前) 基幹相談支援センター」で検索するか、障害福祉課で聞いてください。
年金事務所 — 制度と書類の確認は、ここ
年金事務所は、社労士がいなくても、申請に必要な確認を無料でしてくれます。予約が要ります。電話(0570-05-4890)で取れます。
頼めるのは、こんなことです。
- 初診日をどの日にするかの相談
- 保険料の納付要件を満たしているかの確認(記録を見ながら)
- 自分の状況に合わせた、必要書類の一覧
- 診断書と受診状況等証明書の用紙
- 書いた申立書の記入漏れのチェック
- 受付
頼めないのは、申立書の中身を一緒に考えることと、診断書への助言です。年金事務所は審査する側の組織なので、そこは踏み込みません。
行く前に、PSWか相談支援専門員と話して、初診日の候補と生活の困りごとのメモを持って行くと、一度の相談で進みます。
→ 年金事務所での相談の受け方と持ち物作業所・就労移行の支援員
通っている事業所の支援員は、あなたの日々を見ている、数少ない人です。
Xにはこんな声がありました。「就労移行で、申立書の作成、病院の同行、社労士とのやり取りを全部任せている」「就労移行の支援員に、年金を申請してそのままフリーランスで働けと言われたおかげで今がある」。社労士の側からも「年金の面談では必ず就労移行やB型の情報を伝えている」という発信があります。
事業所によって違いますが、少なくとも次の二つは多くの事業所でできます。
- 通所の記録(出席状況、作業の様子、体調の波)を、主治医に見せる資料としてまとめてもらう
- 年金事務所や病院への同行
「年金の申請を考えていて、通所の記録を主治医に見せたい」と、支援員に伝えてください。
→ 作業所に通い始めるとき、主治医と支援員に伝えることいまの状態別に、最初に行く場所
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| いまの状態 | 最初に行く場所 | その次 |
|---|---|---|
| 通院中で、年金を初めて考えた | 病院の相談室(PSW)。いなければ主治医に相談支援の紹介を頼む | 年金事務所で初診日と納付要件の確認 |
| 作業所や訪問看護を使っている | 担当の相談支援専門員 | 年金事務所、病院の相談室 |
| 入院中 | 病棟の担当PSW | 退院前に相談支援専門員につないでもらう |
| どこにも通っていない、誰ともつながっていない | 市の障害福祉課か基幹相談支援センター | 相談支援専門員がつく。受給者証と手帳の案内も |
| 初診日が分からない、カルテがない | 年金事務所(初診日の相談) | 難しければ社労士を検討 |
| 一度落ちて、審査請求を考えている | 年金事務所で不支給の理由を確認 | 社労士を検討 |
| 家族が本人の代わりに動いている | 基幹相談支援センターか保健所(家族相談) | 相談支援専門員、年金事務所(委任状) |
持っていくもの
たくさん準備しなくていいです。この四つがあれば、一度目の相談で話が進みます。
- 初診日の候補(◯年◯月ごろ、どこの病院か)。分からなければ「分からない」でいい
- 通っている病院と、主治医の名前
- 生活で困っていることのメモ(食事・お金・通院・人付き合い・外出で、誰の手を借りているか)
- 年金手帳か、基礎年金番号が分かるもの(年金事務所に行くとき)
書けなければ、口で伝えれば、相談する側がメモにしてくれます。それが相談室や相談支援の仕事です。
最初の一言(そのまま使えます)
相談室・相談支援専門員・支援員に: 「障害年金を申請したいと思っています。書類のことで相談できますか。特に、病歴・就労状況等申立書に何を書けばいいか分からなくて」
年金事務所の予約電話で: 「障害年金の請求について相談したいです。初診日は◯年◯月ごろで、精神の障害です。必要書類を確認したいです」
主治医に: 「相談室の方と年金のことを相談したいので、つないでいただけますか」
「年金のことを聞いていいのか」と迷う人が多いです。でも、この人たちにとって年金の相談は、仕事の真ん中にある業務のひとつです。
初めて相談に行くと、何が起きるか
病院の相談室や相談支援事業所での初回は、だいたい30〜60分です。相手が聞くのは、こんなことです。いつから、どこに通っているか。いま、生活のどこで困っているか。働いているか、いたか。家族はいるか、手伝ってもらっているか。お金はどうしているか。
答えられないことは「分からない」でいいです。相手はそれを前提に話を聞く人たちです。
初回で決まるのは、「年金の申請に進むか」ではなく、「次に何をするか」です。たとえば、年金事務所の予約を取る、初診日の病院に電話する、主治医に相談室から話を通す、といった一つか二つの動きです。一度で全部進める必要はありません。
断られたとき、次にどうするか
「相談室はありません」と言われたら: 主治医に「地域の相談支援事業所を紹介してもらえますか」。それも難しければ、市の障害福祉課か基幹相談支援センターへ。
「年金のことは分かりません」と言われたら: 「年金事務所に行く前に、生活で困っていることを整理したいので、それだけ手伝ってもらえますか」。年金の制度を知らなくても、生活の整理は相談支援の本業です。
「本人が来ないと相談できません」と言われたら: 基幹相談支援センターか保健所の家族相談へ。家族だけで相談できる窓口です。
「うちでは対応していません」と言われたら: 「では、どこに行けばいいか教えてもらえますか」。断る側も、次の場所は知っています。
自分の地域の窓口を探す
- 相談支援事業所: 「(市の名前) 相談支援事業所 一覧」で検索。市のサイトに一覧があります。障害福祉課の窓口でも紙でもらえます
- 基幹相談支援センター: 「(市の名前) 基幹相談支援センター」で検索
- 年金事務所: 「年金事務所 (市の名前)」で検索。予約は0570-05-4890
- 病院の相談室: 通っている病院のサイトで「相談室」「地域連携室」「医療相談」を探す。なければ受付で「相談員の方はいますか」と聞く
Xの声から — 相談でつまずくところ
「精神科医でも、年金と手帳の等級を同じだと思っていた」
カウンセラーや窓口の人が「基礎年金で3級が取れる」と言った、という声がありました。医療の人が年金の制度を全部知っているわけではありません。制度のことは年金事務所で、生活のことは相談室や相談支援で、と分けて聞くと、間違いが減ります。
「窓口で、一人暮らしできている時点で難しいと言われた」
そう言われたのに、申請して2級が通った人がいます。窓口の一言は審査ではありません。訪問看護やヘルパー、家族の手伝いがあれば、それを書類に載せて出してください。
「入院中のPSWが、年金まで詳しかった」
入院は、PSWと一番話せる時期です。退院前に「年金のことと、退院後の相談支援のことを教えてほしい」と頼んでください。退院すると、会える機会が減ります。
「就労移行が申立書と病院の同行を全部やってくれた」
事業所によって、ここまでしてくれるところがあります。通っている事業所に、遠慮せずに聞いてください。断られても、出席状況の記録は出してもらえます。
「社労士に頼まないと通らないと聞いた」
社労士に頼まずに通った人は、Xにたくさんいます。「自分で申請した」と書いている人の多くが、相談室か支援員か家族の助けを借りています。一人で全部やる必要はなく、無料の人と一緒にやれば、社労士なしでも進みます。
無料の人に、頼めないこと
はっきり書いておきます。無料で頼れる人は、誰も「代わりに申請する」ことはできません。書類を代わりに作って出す仕事は、社労士だけができます。家族が本人の代わりに申立書を書くのは、「本人の申立書を家族が書く」という扱いで認められていますが、それは代理ではありません。
それから、診断書の中身を決めるのは主治医だけです。PSWも支援員も、主治医に状況を伝えることはできますが、書き方を指示することはできません。
その代わり、無料の人たちには、社労士にできないことができます。日々のあなたを見ている、ということです。通所の記録、生活の助けの事実、体調の波。社労士が聞き取りで集める情報を、最初から持っている人たちです。
それでも社労士が要る、四つの場面
無料の道を勧めながら、社労士が要る場面も書いておきます。
- 遡って請求できるとき。認定日から5年分がまとまって入る可能性があるので、報酬を払っても差し引きで得になることが多い
- 初診日の証明が難しいとき。カルテがない、病院がなくなった、20年前。証拠の集め方の経験が効く
- 一度落ちて、審査請求をするとき。不支給の理由を読み解いて反論を組む作業は、経験の差が出る
- 本人も家族も、どうしても動けないとき。電話も外出もできない状態なら、代理で動ける人が要る
この四つに当たらない人は、無料の道で十分に進めます。
→ 社労士に頼んでも変わらないこと、頼むと変わることよくある質問(FAQ)
Q. 精神保健福祉士は、どのクリニックにもいますか?
A. いません。病院には多くいますが、小さなクリニックにはいないことがあります。いなければ、主治医に相談支援事業所を紹介してもらうか、市の障害福祉課か基幹相談支援センターに行ってください。
Q. 本当に無料ですか?
A. 病院の相談室、相談支援事業所、基幹相談支援センター、障害福祉課、年金事務所の相談は無料です。相談支援専門員の計画相談も、利用者の負担はありません。
Q. 家族が代わりに相談してもいいですか?
A. かまいません。本人が動けないときは、家族が相談室や年金事務所に行けます。年金事務所で本人の記録を見るには、委任状か本人の同席が要るので、予約のときに確認してください。
Q. 申立書を家族が書いても大丈夫ですか?
A. 大丈夫です。病歴・就労状況等申立書は、本人または家族などが書く書類です。気持ちではなく事実を書くこと、診断書と食い違わないことが大事です。
Q. 無料の人に相談したうえで、社労士にも頼めますか?
A. 頼めます。むしろ、PSWや相談支援専門員が整理した生活の状況を持って社労士に行くと、話が早いです。遡及請求や審査請求など、社労士が要る場面では組み合わせてください。
Q. 年金事務所で「あなたは難しい」と言われました。
A. 窓口の一言で決まるわけではありません。年金事務所は審査する場所ではなく、受け付ける場所です。Xには、窓口で「一人暮らしできている時点で難しい」と言われたのに、申請して2級が通った人がいます。PSWか相談支援専門員に相談して、書類を整えてから出してください。
まとめ
- 無料で申請を手伝ってくれるのは、病院の相談室のPSW、相談支援専門員、基幹相談支援センター、障害福祉課、年金事務所、作業所の支援員。
- 年金事務所は制度と書類の確認。PSWと相談支援専門員は申立書の相談と主治医への橋渡しと同行。支援員は通所の記録と同行。
- 誰も代わりに申請はできない。診断書を決めるのは主治医だけ。でも、一人で書類と向き合わなくて済む。
- 社労士が要るのは、遡及請求・初診日の証明が難しい・審査請求・本人も家族も動けない、の四つ。
- 最初の一言は「障害年金を申請したいのですが、書類のことを相談できますか」。
出典
- 厚生労働省「精神保健福祉士について」「相談支援」「基幹相談支援センター」・確認日 2026-09-13
- 日本年金機構「年金相談のご予約」「障害年金を請求する方の手続き」・確認日 2026-09-13
- 全国社会保険労務士会連合会「社会保険労務士の業務」(申請書類の作成・提出代行は社労士の業務)・確認日 2026-09-13
- 日本年金機構「病歴・就労状況等申立書」(本人または家族等が記入)・確認日 2026-09-13
- Xの投稿(当事者・精神科医・社労士)は匿名の要旨として参照(2026-09-13 収集)
参考リンク
制度の正式な情報・最新の様式は、日本年金機構のホームページおよび 年金事務所でご確認ください。
このテーマの全体像は「障害年金の申請」にまとめています。