作業所に通い始めるとき、主治医と支援員に伝えること — 通所を年金の不利ではなく材料にする

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この記事の結論

作業所(B型・A型・就労移行)に通い始めることは、年金の不利になりません。審査する人は「助けのある場所で活動できている」と読みます。国の手引きにも、A型・B型で働く人は「1級または2級の可能性を検討する」と書いてあります。

不利になるのは、通所そのものではなく、診断書に「作業所」が「一般就労」と書かれたり、通所日数と助けの中身が書かれなかったりしたときです。主治医は作業所の中を見ていないので、あなたが伝えた分しか載りません。

伝える相手は二人。主治医には、通い始める前に「どこに、週何日、なぜ」を。通い始めたら月1回、「通えた日と休んだ日」「受けた助け」「帰宅後の状態」を。支援員には、「年金の更新に通所の記録を使いたい」と一言。

年金が決まる前に通ってもかまいません。順番は体調で決めてください。

「作業所に通い始めると、年金に不利になりませんか?」

B型の見学を勧められた。就労移行の体験に行った。A型の面接が決まった。そのとき必ず出てくる不安です。Xには「年金が通ったからA型は辞める(更新で落ちるから)」という投稿が2万回以上表示されていて、その逆に「年金が通ってから作業所に行く」と順番を決めている人もいます。

この記事は、これから作業所に通い始める人に、主治医と支援員に何を伝えておけば、通所が「不利」ではなく「材料」になるのかを書きます。

先に結論を書きます。通所は不利になりません。不利になるのは、通所の中身が診断書に載らなかったときだけです。

審査する人は、通所をこう読む

国の手引き(精神の障害の等級判定ガイドライン)は、就労についてこう書いています。A型・B型・障害者雇用で働いている人は「1級または2級の可能性を検討する」。「助けや配慮がない場合に予想される状態を考慮する」。

つまり、審査する人は、作業所に通っているあなたを「働けている人」ではなく、「助けのある場所なら通える人」と読みます。社労士の人も「A型だからB型より不利、ということはほぼない」「障害者雇用も同じで、働いていても2級になる可能性は十分ある」と書いています。

実際の審査記録でも、家族の常時の助けと作業所での配慮が必要な状態として、1級とされた人がいます。作業所に通えていることが、「助けの中で通えている」と読まれた例です。

診断書には、作業所はこう書かれる

診断書の裏面の就労状況の欄では、勤務先を「一般企業」「就労支援施設」「その他」から選びます。作業所は「就労支援施設」です。そのうえで、雇用の形、週の日数、工賃、仕事の内容、そして「仕事場で受けている助けや配慮」が書かれます。

国の手引きは医師に、施設で働いている場合はその形を具体的に書くこと、そして仕事場の内外を問わず、受けている助けや配慮をできるだけ書くことを求めています。

ここで、問題が起きます。主治医は作業所の中を見ていません。あなたが伝えなければ、「就労支援施設・週4日」だけになります。Xで「作業所なのに一般就労と書かれていた」という声がありましたが、本人が通所を伝えていなかったか、医師が聞き取らなかったか、どちらかです。

診断書の「就労状況」欄に何が書かれるか

主治医に伝えること

通い始める前に

  • どこに通うか(就労移行/A型/B型/地域活動支援センター)
  • 週何日、1日何時間の予定か
  • なぜ通うことにしたか(体調を戻すため/生活のリズムのため/将来働くため/収入のため)
  • 不安があること(通えるか分からない、人が怖い、疲れが出る)

主治医は、作業所の利用に必要な意見書を書くこともあります。年金の主治医と作業所の主治医は同じ人なので、一度に話しておくと、あとで書くものが食い違いません。

通い始めたら、月1回

一枚に書いて、診察のときに見せます。

  1. 通えた日数と、休んだ日の数と理由
  2. 作業中に受けた助け(声かけ、見守り、休憩を増やしてもらった、作業を変えてもらった、送迎)
  3. 作業中や作業後に起きたこと(固まった、途中で帰った、翌日起きられなかった)
  4. 通所の外の生活(食事、お金の管理、通院の予約を、誰がしているか)

日数だけ伝えると、「週4日通えている」だけが残ります。助けの中身と、起きていることを一緒に伝えると、「助けを受けて、週4日通えている」になります。この差が、更新の診断書の差です。

診察の前に用意するメモの書き方

通所記録の書き方(そのまま使えます)

月1回、これを埋めるだけです。スマホのメモでも紙でもかまいません。

  • ◯月の通所記録
  • 予定: 週◯日 → 実際: 月◯日通った、◯日休んだ
  • 休んだ理由: 起きられなかった◯回/体調不良◯回/人が怖かった◯回
  • 作業中に受けた助け: 手順の確認/声かけ/休憩の追加/作業の変更/送迎/その他
  • 起きたこと: 途中で帰った◯回/休憩室で横になった◯回/翌日起きられなかった◯回
  • 通所の外で借りている手: 食事/お金の管理/通院の予約/掃除・洗濯/薬の管理
  • 今月いちばん困ったこと(1行)

3か月分たまったら、それが診断書の材料です。

支援員に伝えること

支援員は、あなたの通所の様子を毎日見ている人です。年金のためにも、伝えておくと役に立つことがあります。

「年金の更新に、通所の記録を使いたい」と一言。

支援員は個別支援計画とモニタリングで、通所日数、作業の様子、体調の波を記録しています。伝えておくと、更新の前に出席状況や支援の内容をまとめてもらえる事業所が多いです。主治医が診断書を書くときの、客観的な材料になります。

主治医への手紙を頼めるか、聞いてみる。

事業所によっては、支援員が主治医あてに通所状況の報告書を書いてくれます。Xでは「就労移行が申立書の作成、病院の同行、社労士とのやり取りを全部やってくれた」という声がありました。全部の事業所ができるわけではありませんが、聞く価値はあります。

頼むときの言い方は、これで通じます。

「障害年金の(申請/更新)を予定しています。主治医に通所の様子を伝えるために、出席状況と、作業中に受けている支援の内容を、簡単にまとめていただくことはできますか。個別支援計画のモニタリングの記録があれば、その写しでも助かります」

断られても、出席状況だけはほぼ出してもらえます。

社労士に頼めない人が、無料で頼れる人

種類ごとに、診断書ではこう扱われる

→ 横にスクロールできます

種類契約診断書での区分審査での見え方伝えるべき助け
就労移行支援利用契約(工賃なし)就労支援施設助けのある活動。2年の期限がある訓練訓練の内容、通所日数、支援員の関わり、休んだ日
A型雇用契約就労支援施設(障害者雇用に近い)働いていても2級の可能性を検討作業の配慮、時間の配慮、支援員の関わり、欠勤
B型利用契約(工賃あり)就労支援施設1級または2級の可能性を検討声かけ・見守り・環境の調整、通えた日数の実態
地域活動支援センター利用その他居場所としての活動通える頻度、そこでの様子
デイケア医療(就労ではない)医療の中の助け主治医が把握している

見学のときに、年金の視点で聞くこと

工賃や利用料は、お金の記事に書きました。ここでは、年金のために聞いておくことだけです。

  • 通所の記録(出席、作業の様子)は、どんな形で残していますか
  • 主治医に通所の様子を伝える報告書を、書いてもらえますか
  • 精神保健福祉士や社会福祉士の資格を持つ職員はいますか
  • 体調で休んだとき、どんな対応になりますか(連絡、日数の調整、在宅)
  • 送迎、休憩の追加、作業の変更など、どんな配慮ができますか

答えがすぐ返ってくる事業所は、年金のことも分かっている事業所です。

通い始めてから3か月の動き方

初日〜1週目

支援員に「年金の申請(更新)を考えているので、通所の記録を主治医に見せたい」と一言。その日から、通えた日と休んだ日をカレンダーにつける。

1か月目の終わり

月1回のメモを一枚書く。次の診察で主治医に見せて、「作業所に通い始めて1か月です」と伝える。カルテに残ります。

2〜3か月目

メモを続ける。休んだ日が多くても、そのまま書く。3か月分たまったら、それが診断書の材料です。申請中の人は、このタイミングで診断書を頼むと、通所の実態が載ります。

通えない日が続いたら

辞める前に、支援員に日数を減らす・在宅・休むの相談を。休んだ記録も材料です。

作業所に通えない・辞めたとき、年金はどうなるか

支援員が書いてくれる報告書に、入っていてほしいこと

事業所が主治医あてに報告書を書いてくれるとき、こんな内容が入っていると、診断書にそのまま使えます。

  • 利用開始日と、週の予定日数
  • この3か月の実際の通所日数と、休んだ日数
  • 作業の内容と、1日の作業時間
  • 受けている支援(手順の確認、声かけ、休憩の調整、作業の変更、送迎、面談)
  • 作業中に見られる様子(疲れやすさ、集中の持続、人との関わり、途中で帰った回数)
  • 支援員から見た、通所を続けるために必要な配慮

全部でなくてかまいません。「通所日数」と「受けている支援」の二つがあれば、診断書の就労状況の欄は具体的になります。

「年金が通ってから通う」か、「通いながら申請する」か

Xでは、両方の順番が語られています。「年金が通ってからA型かB型へ」と決めている人は、審査の途中で状況が変わるのを避けたいからです。一方、社労士の人は「年金の面談では必ず就労移行やB型の情報を伝える。通いながら年金を取って、そのあと障害者雇用に進めたら理想」と書いています。

制度の側から言えば、通所は「助けのある活動」と読まれるので、通いながら申請して不利になる仕組みはありません。むしろ、通所の記録は「一人では生活が回らず、助けの中で通えている」という状態の証拠になります。

どちらにするかは、体調で決めてください。通う体力がまだない人は、無理に通う必要はありません。通える人は、通いながら申請して、通所の記録を材料にしてください。

受給者証は、年金とは別の紙

作業所に通うには、市の障害福祉課で「障害福祉サービス受給者証」をもらいます。Xで「役所で受給者証をもらわないとB型に通えないと、初めて知った」という声がありました。

この受給者証と年金は、別の制度です。どちらが先でもかまいません。年金が決まっていなくても、受給者証があれば通えます。

通い始めてから、つまずきやすい三つ

通えない日が続く。

「辞めなければ」と思いがちですが、休んだ記録は「通えなかった事実」として状態の証拠になります。休んだ日と理由を記録して、支援員と主治医に伝えてください。

作業所に通えない・辞めたとき、年金はどうなるか

工賃と利用料の計算が合わない。

世帯の住民税がかかると、利用料が月上限9,300円かかり、工賃1〜2万円の人には半分です。見学で、自分の世帯だといくらか聞いてください。

B型の工賃と年金で月いくら

更新と通所が重なる。

通い始めて半年で更新が来ることがあります。3か月分の記録があれば材料になります。年金証書の「次回診断書提出年月」を確認して、通所を始めてからの記録を主治医に渡してください。

働き始めてから最初の更新で見られること

Xの声から — 通い始めた人がつまずくところ

「年金が通ったから、A型は辞めた」

更新で落ちるから、という理由で辞めた人がいます。でも、A型で働いていることは「助けのある場所で働いている」と読まれ、それだけで落ちる仕組みはありません。辞めるなら、更新ではなく体調を理由に決めてください。

「B型に通うには受給者証が要ると、役所で初めて知った」

作業所の利用は市の障害福祉課への申請から始まります。聞き取り(病歴、職歴、家族構成)があり、体験通所まで1か月かかることもあります。その間に年金の書類を進める、という使い方をした人もいます。

「A型でバリバリ動ける人ばかりで、レベルが違った」

B型に5年通ってA型に移った人の声です。A型は雇用契約なので、週の日数を守る必要があります。通えないと契約が続かないこともあります。移るときは、支援員と主治医に「日数を減らせる契約か」を確認してください。

「作業所より障害者雇用のほうが、更新に有利と聞いた」

形より中身です。作業所でも、支援員の関わりと通所日数の実態が書かれれば、同じです。逆に障害者雇用でも、配慮の中身が書かれなければ「働けている」だけが残ります。

「支援員が年金のことを何も知らなかった」

事業所によります。知らなくても、出席状況と支援の内容の記録は出してもらえます。年金の制度のことは、病院の相談室か年金事務所で聞いてください。

同じ状況の人が、どうなったか

公開されている審査の記録から。

2級の人が1級への引き上げを求めた例では、7項目がすべていちばん重い評価で、家族の常時の助けと作業所での配慮が必要な状態として1級とされ、もとの決定が取り消されました(r04_05-11_07)。作業所に通えていることが、「助けの中で通えている」と読まれました。

家族の助けがないと生活が回らず、就労支援の短時間作業も続かなかった人は、2級と認められました(h28_29-07_09)。通おうとして続かなかったことが、状態の証拠になりました。

ほかの実例も読む

よくある質問(FAQ)

Q. B型に通うと、更新で3級に下がりますか?

A. 通所そのものが等級を下げる仕組みはありません。国の手引きは、A型・B型で働く人は1級または2級の可能性を検討するとしています。下がるのは、助けの中身が診断書に書かれず「通えている」だけが残ったときです。

Q. 就労移行支援は「就労」ではないので、書かなくていいですか?

A. 書いてもらってください。「就労支援施設」として、通所日数と支援員の関わりが書かれます。訓練に通えていることは、助けのある環境で活動できていると読まれ、通所の記録は状態の証拠になります。

Q. 作業所の支援員は、年金のことを分かっていますか?

A. 事業所によります。精神保健福祉士や社会福祉士がいる事業所は詳しいことが多く、「PSWが年金まで網羅していた」という声もあります。まず「更新に通所の記録を使いたい」と伝えて、反応を見てください。

Q. 主治医が、作業所の意見書を書きたがりません。

A. 作業所の意見書と、年金の診断書は別です。意見書のことは市の障害福祉課で必要な書類を確認し、難しければ相談支援専門員に相談してください。年金の診断書については、国の手引きの就労状況の項目を印刷して見せると、書く内容が具体的になります。

Q. A型は雇用契約なので、一般就労と同じに見られますか?

A. 診断書では「就労支援施設」で、障害者雇用に近い扱いです。社労士の人も「A型は障害者雇用に近く、B型より不利ということはほぼない」と書いています。助けの中身を書いてもらうのは同じです。

Q. 通い始めたことを、年金事務所に届け出る必要はありますか?

A. ありません。通所していることは、更新の診断書を通して伝わります。20歳前傷病の人だけ所得の確認がありますが、B型の工賃は線からはるかに遠く、ふつう影響しません。

まとめ

  • 作業所への通所は、審査で「助けのある場所で活動できている」と読まれる。不利にならない。
  • 不利になるのは、診断書に通所日数と助けの中身が載らなかったとき。主治医は作業所の中を見ていない。
  • 主治医には、通う前に「どこに、週何日、なぜ」を、通い始めたら月1回「通えた日・休んだ日」「受けた助け」「帰宅後」を。
  • 支援員には「更新に通所の記録を使いたい」と一言。出席状況と支援の内容をもらう。
  • 年金が決まる前に通ってもいい。順番は体調で決める。
  • 受け取った診断書は開けて、区分と助けの欄を見る。

出典

  • 厚生労働省「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」(平成28年9月)・確認日 2026-09-12
  • 厚生労働省「障害年金の診断書(精神の障害用)記載要領」(就労状況欄、施設での就労の形態、援助や配慮の記入)・確認日 2026-09-13
  • 厚生労働省「障害福祉サービスの利用手続き」「障害者の利用者負担」・確認日 2026-09-13
  • 社会保険審査会 裁決(r04_05-11_07、h28_29-07_09)・厚生労働省公開資料で原文確認
  • Xの投稿(当事者・社労士・精神保健福祉士)は匿名の要旨として参照(2026-09-13 収集)

参考リンク

制度の正式な情報・最新の様式は、日本年金機構のホームページおよび 年金事務所でご確認ください。