B型の工賃と障害年金で、月いくらで暮らせるか — 平均24,141円+70,608円から引かれるもの・足されるもの
この記事の結論
B型作業所の工賃は、全国平均で月24,141円(令和6年度)。障害基礎年金2級は月70,608円(令和8年度)。足すと、月およそ95,000円。これが「作業所と年金で暮らす」の、平均の姿です。A型なら平均賃金91,451円で、年金と合わせて月およそ162,000円。
ここから、利用料(世帯の住民税が課税なら月上限9,300円)、通所の交通費、グループホームなら家賃と食費が引かれます。足されるのは、年金生活者支援給付金(2級で月5,620円)、グループホームの家賃補助(月1万円)、自治体の手当。
平均の数字だけでは、一人暮らしは成り立ちにくいのが正直なところです。Xでいちばん多かったのは「合わせて月8〜13万」「実家かグループホームだから何とかなっている」という声でした。足りないときの生活保護との併用も、正当な選択肢として書きます。
あなたの作業所の工賃は、平均と違います。見学で「平均工賃の月額」を聞いてください。事業所には公表する義務があるので、答えられます。
「作業所の工賃と年金で、月いくらで暮らすことになるんですか」
作業所に通い始める前、あるいは通いながら年金を申請している人が、いちばん知りたい数字です。ところが、作業所のサイトは年金のことを書かず、年金のサイトは工賃のことを書きません。この記事は、その二つを同じ表に置きます。
Xでいちばん表示されていた当事者の投稿は、「B型で毎日6時間チラシを折って、時給200円、月約24,000円」でした(73万回表示)。平均工賃と、ほぼ同じ額です。この現実から始めます。
まず、数字を並べる
| 何の額 | 月額 |
|---|---|
| B型の平均工賃(令和6年度・全国) | 24,141円 |
| A型の平均賃金(令和6年度・全国) | 91,451円 |
| 障害基礎年金2級(令和8年度) | 70,608円 |
| 障害基礎年金1級(令和8年度) | 88,260円 |
| 障害厚生年金3級の最低保障(令和8年度) | 52,958円 |
足し算すると、こうなります。
| 組み合わせ | 月の目安 |
|---|---|
| B型 + 基礎年金2級 | 約95,000円 |
| B型 + 基礎年金1級 | 約112,000円 |
| A型 + 基礎年金2級 | 約162,000円 |
| A型 + 厚生年金3級(最低保障) | 約144,000円 |
| B型だけ(年金なし) | 約24,000円 |
Xの声は、この表と合っています。「B型の工賃と年金で月13万、早くA型に行きたい」「合わせて月8万でしのいでいる人が多数派」「工賃15,000円+2級70,000円」。上下の幅は、工賃の差(月8万円出すB型もあれば、在宅で月7千円という人もいる)と、年金の等級で決まります。
→ 工賃と年金の合算を、自分の数字で計算する引かれるもの
平均の足し算から、次のものが引かれます。
利用料
B型もA型も、障害福祉サービスなので利用料があります。上限は、世帯の所得で決まります。
- 生活保護の世帯、住民税がかからない世帯: 0円
- 住民税がかかる世帯(所得割16万円未満): 月上限9,300円
- それ以上: 月上限37,200円
18歳以上は「本人と配偶者」の所得で見ます。親と同居していても、親の所得は関係ありません。本人が年金だけ(非課税)で配偶者がいなければ、0円です。
ただし、配偶者に課税所得があると9,300円の枠に入ります。Xに「主人がいるので月9,300円かかると言われて、辞めた」という声がありました。工賃が月1〜2万円の人にとって、9,300円は半分です。見学のときに、自分の世帯だといくらになるか、必ず聞いてください。
通所の交通費
自治体によって助成がありますが、ない地域も多いです。往復の交通費が工賃を食うことがあり、「通所だと利用料と交通費で月1万円前後しか残らない」という声があります。在宅型のB型はこの分が浮きます。
グループホームの家賃と食費
家賃(地域と物件で3〜6万円ほど)と食費・光熱費が引かれます。家賃には国の補助(月上限1万円)があり、自治体が上乗せしているところもあります。「B型の工賃と基礎年金でグループホームの人が多い」というのは、この補助込みで成り立っているからです。
国民年金の保険料
1級・2級の人は自動免除(法定免除)で0円にできます。3級の人と年金がない人は、所得による免除の申請が必要です。申請しないと、月17,920円(令和8年度)の請求が来ます。「B型の工賃1〜2万5千円では、保険料1万7千円は払えない」という声がありましたが、免除の届け出をしていない人が意外にいます。
足されるもの
年金生活者支援給付金
障害基礎年金1級・2級の人で、前の年の所得が一定以下なら、月5,620円(2級)・7,025円(1級)が年金に上乗せされます(令和8年度)。年金と一緒に振り込まれます。申請が要りますが、年金が決まったときに案内が来ます。
手当
重い障害で常に介護が要る人には特別障害者手当(月約3万円。令和8年度 30,450円)があります。自治体独自の手当や、医療費の助成(マル障など)は、地域で大きく違います。市の障害福祉課で「私が使える手当を、全部教えてください」と聞くのが早いです。
生活保護との併用
工賃と年金を足しても最低生活費に届かないときは、生活保護を受けられます。年金と工賃は収入として数えられ、足りない分が保護費として出ます。障害年金1級・2級の人には障害者加算(地域により月約2.3〜2.7万円)がつきます。工賃には控除があり、全額が引かれるわけではありません。
Xには「生活保護+年金+工賃が全部もらえると思っていた」という誤解と、「生活保護を抜けて、年金+工賃で何とかなった」という声の両方がありました。仕組みは、「最低生活費 − (年金+工賃の認定額) = 保護費」です。一人暮らしで工賃と年金だけでは足りない人にとって、併用は正当な選択肢です。
→ 生活保護と障害年金暮らし方別に、残る額を計算する
平均の数字で、三つの暮らし方を計算します。自分の数字に置き換えて使ってください。
実家暮らし・B型・基礎年金2級
工賃22,000円+年金70,608円+給付金5,620円=約98,000円。利用料0円(本人が非課税なら)。交通費3,000円。家に月3万円入れると、残り約65,000円。Xの「実家だから何とかなる」は、この形です。
グループホーム・B型・基礎年金2級
同じ収入約98,000円。家賃4万円−補助1万円=3万円、食費と光熱費3万円、利用料0円。残り約38,000円。「映画を観に行くお金もない」という声は、この残額の話です。
一人暮らし・A型・厚生年金3級
賃金91,000円+年金53,000円=約144,000円。家賃5万円、利用料0円、国民年金は免除を申請。残り約9万円で生活。A型が閉鎖すると賃金がまるごと消えるので、雇用保険をもらえることを先に確認しておく形です。
どの暮らし方でも、家計を決めているのは「年金の等級」と「工賃の額」の二つです。年金の等級は診断書で、工賃は事業所選びで変わります。
振込日で組む、月のやりくり
年金は、偶数月の15日に、前2か月分がまとめて振り込まれます(2月・4月・6月・8月・10月・12月)。工賃は、事業所によって月末か翌月に支払われます。
つまり、年金が入らない奇数月は、工賃だけの月です。「奇数月に、お金がない」という声がXにたくさんあります。組み方は二つ。年金が入った偶数月に、翌月の家賃と固定費を先に払っておく。または、年金の振込を2か月分として、月ごとに半分に分けて別の口座に移す。
給付金は年金と一緒に振り込まれます。手当は自治体によって支給月が違うので、決定通知で確認してください。
工賃の高いB型の見分け方
事業所ごとの平均工賃は、都道府県のサイトで公表されています。「(都道府県名) 工賃 実績 一覧」で検索すると、事業所名と月額の一覧が出ます。見学の前に、候補の事業所の数字を見ておくと、話が早いです。
工賃が高い事業所には、傾向があります。
- 企業からの受注作業(部品の組み立て、データ入力、清掃の請負)があり、内職的な作業だけではない
- 自主製品(パン、菓子、農産物、雑貨)を、事業所の外で売っている
- 在宅作業や、短時間の枠がある
- 平均工賃を聞いたときに、すぐ答えられる
逆に、工賃が月1万円を切る事業所は、作業より居場所としての役割が中心のことが多いです。それが悪いわけではなく、いま必要なのが「お金」なのか「通える場所」なのかで、選ぶ事業所が変わります。
見学のときに聞く、お金の8つ
遠慮せずに聞いていい項目です。事業所には工賃の実績を公表する義務があります。
- 平均工賃の月額(去年の実績)と、時給にするといくらか
- 工賃の決め方(時給か、出来高か、作業で違うか)
- 作業日数と時間の選び方(週1日から通えるか)
- 在宅で作業できるか。その場合の工賃
- 利用料が、自分の世帯だといくらか
- 交通費の助成や送迎があるか
- 昼食の費用
- 工賃の支払日と方法(手渡しか、振込か)
聞き方は「年金と工賃で生活を組みたいので、お金のことを先に確認させてください」で十分です。
A型とB型を、お金の面だけで比べる
→ 横にスクロールできます
| B型(雇用契約なし) | A型(雇用契約あり) | |
|---|---|---|
| 月の収入 | 平均工賃 24,141円 | 平均賃金 91,451円(最低賃金が適用) |
| 雇用保険 | なし | あり(辞めたら失業給付。障害者は日数が長い) |
| 健康保険・厚生年金 | なし(国保・国民年金) | 条件を満たせば加入 |
| 利用料 | 世帯により0円〜 | 同じ |
| 年金の審査での見え方 | 助けのある場所での活動 | 障害者雇用に近い。配慮を書いてもらう |
| 続けやすさ | 日数を減らしやすい | 週の日数を守る必要がある。通えないと契約が続かないことも |
| 閉鎖のリスク | 低め | 閉鎖が増えている。閉鎖しても年金は止まらない |
お金だけならA型が上です。でもXには「週5で通えずA型を追い出された」「B型からA型に行ったら、レベルが全然違った」という声もあります。体調が先、お金は次です。A型に入ってから通えなくなると、収入はゼロになり、更新の材料も減ります。
→ A型事業所が閉鎖したときXの声から — お金でつまずくところ
「利用料が月9,300円かかると言われて、辞めた」
配偶者に課税所得があると、この枠に入ります。工賃が1〜2万円の人には半分です。ただし、世帯の所得は毎年見直されるので、配偶者の収入が下がった年は0円になることがあります。市の障害福祉課で「負担上限月額」を確認してください。
「奇数月にお金がない」
年金は偶数月にまとめて入ります。偶数月に翌月の家賃と固定費を先に払う、または半分を別の口座に移す。この二つで、奇数月の不安はかなり減ります。
「保険料の請求が来て、払えない」
1級・2級なら法定免除の届け出で0円です。届け出ていない人が意外にいます。3級と年金なしの人は、所得による免除を申請してください。放っておくと未納になります。
「生活保護と年金と工賃、全部もらえると思っていた」
仕組みは「最低生活費 − 収入 = 保護費」です。年金と工賃が増えれば保護費は減りますが、工賃には控除があり、働いた分の一部は手元に残ります。働くと損、ではありません。
「工賃が上がらない。年金も上がらない」
工賃は事業所選びで変わります。年金の額は物価で毎年少しずつ改定されます。今より上げたいなら、工賃の高い事業所を探すか、A型や障害者雇用に進む道を、体調と相談しながら考えてください。
工賃を上げるか、年金を守るか
家計を上げる道は二つです。
工賃の高い事業所を選ぶ。
事業所ごとの平均工賃は公表されていて、月1万円台から8万円台まで幅があります。見学で「平均工賃」「作業日数」「在宅の可否」を聞いてください。
年金の等級を落とさない。
作業所に通えていることは、審査で「助けのある場所で活動できている」と読まれます。更新の診断書に、通所日数と、作業中の声かけ・見守り・休憩の配慮を書いてもらってください。
→ 作業所に通い始めるとき、主治医と支援員に伝えること→ B型・A型作業所と障害年金同じ状況の人が、どうなったか
公開されている審査の記録から。
2級の人が1級への引き上げを求めた例では、7項目がすべていちばん重い評価で、家族の常時の助けと作業所での配慮が必要な状態として、1級とされました(r04_05-11_07)。作業所に通えていることが、「助けの中で通えている」と読まれた例です。
家族の助けがないと生活が回らず、就労支援の短時間作業も続かなかった人は、2級と認められました(h28_29-07_09)。
→ ほかの実例も読むよくある質問(FAQ)
Q. B型の工賃で、年金が減ることはありますか?
A. ありません。収入で年金が減るのは20歳前傷病の障害基礎年金だけで、その線は前年所得3,761,000円超です。B型の平均工賃は年約29万円なので、線からはるかに遠いところにあります。
Q. 工賃と年金を合わせると、扶養から外れますか?
A. 健康保険の扶養は、障害年金をもらっている人は年収180万円未満が線で、年金も含めて数えます。年金2級(年847,300円)+工賃年29万円=約114万円なので、平均的なB型なら扶養のままです。A型は超えることがあります。
Q. 生活保護を受けながら、B型に通えますか?
A. 通えます。工賃は収入として数えられますが控除があり、通所は自立への取り組みとして扱われます。利用料は0円です。
Q. 工賃に、確定申告は要りますか?
A. B型の工賃は雑所得ですが、工賃だけなら基礎控除の範囲に収まるので所得税はかかりません。住民税の申告は自治体によって求められることがあります。A型の賃金は給与なので、事業所で年末調整されます。
Q. 年金がまだ決まっていません。先に作業所に通っても大丈夫ですか?
A. 大丈夫です。作業所の利用は「受給者証」で、年金とは別の制度です。通いながら年金を申請している人はたくさんいますし、社労士の人も「就労移行やB型を使いながら年金を取る」流れを勧めています。
Q. 自分の作業所の工賃が、平均より低いです。移るべきですか?
A. 工賃だけで決めないほうがいいです。通えている事実と、その事業所での助けの内容が、年金の更新の材料になります。移るなら、体調と通所の継続を優先して、見学で工賃と作業内容を確かめてからにしてください。
まとめ
- B型工賃 月24,141円、A型賃金 月91,451円(令和6年度・全国平均)。年金2級は月70,608円(令和8年度)。B型+2級で約95,000円、A型+2級で約162,000円。
- 引かれるのは利用料(課税世帯で上限9,300円)、交通費、グループホームの家賃と食費。足されるのは給付金(2級 月5,620円)、家賃補助(月1万円)、手当。
- 1級・2級は国民年金の自動免除を届け出る。3級と年金なしは、免除を申請する。
- 足りなければ、生活保護との併用は正当な選択肢。「最低生活費 − 収入 = 保護費」。
- 家計を上げるには、工賃の高い事業所を選ぶことと、年金の等級を守ること(通所日数と配慮を診断書に)。
出典
- 厚生労働省「令和6年度 工賃(賃金)の実績について」(B型 平均工賃 月額24,141円、A型 平均賃金 月額91,451円)・確認日 2026-09-13
- 日本年金機構「障害基礎年金の年金額」「障害厚生年金の年金額」(令和8年度)・確認日 2026-09-13
- 厚生労働省「障害者の利用者負担」(生活保護・低所得 0円、一般1 9,300円、一般2 37,200円)・確認日 2026-09-13
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」(令和8年度 2級 月5,620円・1級 月7,025円)・確認日 2026-09-13
- 厚生労働省「特定障害者特別給付費(グループホームの家賃助成、月上限1万円)」・確認日 2026-09-13
- 日本年金機構「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等」・確認日 2026-09-13
- 全国健康保険協会「被扶養者とは」(障害者は年収180万円未満)・確認日 2026-09-13
- 社会保険審査会 裁決(r04_05-11_07、h28_29-07_09)・厚生労働省公開資料で原文確認
- Xの投稿(当事者)は匿名の要旨として参照(2026-09-13 収集)
参考リンク
制度の正式な情報・最新の様式は、日本年金機構のホームページおよび 年金事務所でご確認ください。
このテーマの全体像は「障害年金の申請」にまとめています。