障害年金の審査は誰がどう行う? — 認定医が見ているポイントと、厳しくなった審査の実際
この記事の結論
障害年金の審査は、会ったことのない認定医が書類だけで行います。面談も訪問もありません。年金事務所の窓口で話したことは審査に届きません。伝えたいことは、診断書と申立書に載せてください。
令和6年度の新規裁定146,225件のうち非該当は13.0%(精神の障害は12.1%)。精神で不支給になった人の75.3%は、目安表では等級に届いていたのに総合評価で落ちた事案でした。目安表は入口で、総合評価(就労・援助・治療の実態)で上にも下にも動きます。
認定医が見るのは、診断書裏面の7項目と程度、単身想定で書かれているか、就労の中身、診断書と申立書の一貫性、具体性、治療の実態、初診日の7点。「大変だった」は情報量ゼロで、「場面と頻度」が効きます。
提出後に補足はできません。提出前に、認定医の目で8項目を読み直し、全書類をコピーしてください。不支給のあと同じ資料で出し直しても結果は変わりません。
「去年の後半あたりから、明らかに空気が変わった」——障害年金の申請に長く関わってきた人たちが、そろって同じことを言うようになりました。数字を見ると、その実感は気のせいではありませんでした。
厚生労働省の報告では、令和6年度に新しく請求された障害年金146,225件のうち、支給に該当しなかった割合は13.0%。前年度の8.4%から一気に跳ね上がっています。精神障害にかぎると、非該当は前年度の6.4%から12.1%へと、ほぼ倍増しました。同じ書類、同じ症状の重さでも、出す年によって結果が変わりうる——それが現実として起きていた、ということです。
この記事は、その「変わった審査」を誰がどう行っているのかを、当事者の立場から書きます。制度の建前ではなく、いま実際に何が見られているのか。ここを知ってから準備を始めるのと、知らずに始めるのとでは、力の入れどころがまるで変わります。
まず知ってほしい事実 — 窓口で話したことは、審査に届かない
「年金事務所の窓口で、涙が出るくらい必死に説明してきました」。準備中の人から本当によく聞く言葉です。そして、あまり知られていない事実をお伝えします。窓口で話した内容は、審査には一切届きません。
窓口の職員は「受け付ける人」です。書類がそろっているかを見て、足りないものを教えてくれる、大切な存在です。でも、その人が結果を決めるわけではありません。職員が深くうなずいてくれても、審査室に運ばれるのは紙だけです。
あなたの書類は、こんな道のりをたどります。
- 年金事務所(窓口): 書類の形式的な確認と受理。内容の良し悪しはここでは判断されません
- 日本年金機構の事務処理: 保険料の納付記録の確認、初診日に関する書類の整理
- 障害年金センター(審査部門): 認定医による診断書・申立書の診査。医学的な判断はここ
- 決定・通知: 支給決定なら年金証書、不支給なら不支給決定通知書が自宅に届く
障害基礎年金の審査は、かつて都道府県ごとに行われていました。「県によって通りやすさが違う」というばらつきが問題になり、いまは東京の障害年金センターに集約されています。集約は公平のための仕組みですが、同時に「あなたの土地の事情を知らない人が読む」という意味でもあります。
数字で見る「厳しくなった」の中身
感覚だけの話にしないために、公表されている数字を並べておきます。
新規裁定の非該当割合: 8.4% → 13.0%(令和6年度)。精神障害は 6.4% → 12.1%。過去に最も高かった令和元年度(12.4%)とほぼ同水準まで戻りました。決まった等級の内訳は、1級10.9%、2級53.9%、3級22.1%。新しく決まる障害年金の70.3%は精神の障害です。
不支給になった事案の 75.3% が「目安より下位の等級と判断されて不支給」。ここがいちばん重要な数字です。精神の障害には「等級判定ガイドライン」という全国共通の目安表がありますが、目安表に当てはまっていても落ちているということです。
調査報告書を受けて、日本年金機構は令和6年度以降の不支給事案の再点検を行いました。令和8年3月31日時点で点検済み14,841件のうち、444件(約3.0%)が「不支給→支給」に変わっています。一方、支給はされたが等級が低かった事案の点検(令和8年8月31日時点で12,918件)では、上位等級への変更は0件でした。
報告書は、令和4年4月から導入された「事前確認票」に職員が等級案を記載していたこと、職員が担当する認定医が1名から3名程度に固定されていたことを挙げ、対応策として職員による等級案の記載の廃止、担当認定医の無作為での決定、複数の認定医による審査の拡大、理由付記の改善などを示しました。つまり国自身が「これまでの審査には見直すべき点があった」と認めた形です。
数字を並べると冷たく見えますが、当事者にとっての意味ははっきりしています。「制度が変わったわけではないのに、通り方が変わった」時期がある。あなたが落ちたとしても、それは症状が軽いからとは限らない、ということです。
この数字が、あなたの準備に意味すること
ここから導ける実践的な結論は3つです。
1. 目安表は「入口」でしかない
診断書裏面の「日常生活能力の程度」(5段階)と「日常生活能力の判定」7項目の平均から等級の目安が出ますが、そこはスタートラインです。
その後の総合評価——症状の経過、療養の状況、就労の状況、受けている援助、社会生活の様子——で、上にも下にも動きます。そして最近は、下に動くケースが増えている。目安表の詳細は精神の等級判定ガイドラインと目安表で解説しています。自分の診断書の7項目と程度で、目安表のどこに当たるかは私は何級くらい?で確かめられます。
→ 「2級と認定された=自分は2級の人間だと決められた」は誤解です2. 「書けば伝わる」ではなく「書いていなければ無いのと同じ」
総合評価で見られる要素は、書類に書かれていなければ評価のしようがありません。援助を受けていること、配慮のもとで働いていること、家族が肩代わりしていること——それらが書面に載っていなければ、認定医の手元には「できている人」の書類しか届きません。
3. 予測しても、実態は変わらない
目安表から自分の等級を計算したくなりますが、予測は結果を動かしません。動かせるのは、これから作られる診断書と申立書に、実態が正確に載るかどうかだけです。
認定医とは誰か
医学的な判断を担うのが「認定医」です。医療関係団体の推薦などで選ばれた、その分野に経験のある現役の医師が務めています。「精神の障害」「肢体の障害」「内部の障害」などに分かれていて、精神疾患・発達障害の診断書は、精神分野の認定医が診査します。
ここで押さえてほしい事実が3つあります。
1. 認定医はあなたに会いません
面談も、電話も、自宅訪問も、追加の聞き取りもありません。審査はすべて書面です。「一度会って話せば分かってもらえるのに」という思いは、多くの人が抱きます。でも、その機会は制度上、最初から存在しません。
2. 見るのは、主に診断書と申立書の2つ
主治医が書いた診断書と、あなたが書いた病歴・就労状況等申立書。この2つが突き合わせて読まれます。片方だけを完璧にしても意味がない、ということです。
3. 認定医は、大量の書類を審査しています
1件に無限の時間はかけられません。だから「長く書く」ことより、具体的で、矛盾がなく、一読で状況が浮かぶことが効きます。あなたの書類は、物理的に「読まれる紙」なのです。
認定医が実際に見ているポイント — 厳格化以降の7つ
書類だけで判断する立場を想像すると、どこが読まれるかが見えてきます。近年の傾向を踏まえて、7つに整理します。
① 診断書裏面の「判定」と「程度」——ここが出発点
7項目(適切な食事、身辺の清潔保持、金銭管理と買い物、通院と服薬、他人との意思伝達および対人関係、身辺の安全保持および危機対応、社会性)の4段階評価と、「程度」の5段階。ここが目安表に直結します。
診断書を受け取ったら、まず裏面を見てください。表面より先に、です。詳しくは「日常生活能力の判定」7項目の記事へ。
② 「単身で生活するとしたら」で書かれているか
精神の診断書は、実際は家族と暮らしていても「ひとりで生活するとしたら可能か」という前提で評価する決まりです。
ここで頻発するすれ違いが、家族の支えで生活が回っているために、本人も主治医も「できている」と思ってしまうこと。食事が取れているのは家族が作って声をかけてくれるから。通院できているのは送迎があるから。
その「〜だから」まで書類に載って、はじめて実態になります。一人暮らしだと不利?も参考にしてください。
③ 就労の中身——ここが最も厳しくなった
以前は、障害者雇用で働いていれば障害厚生年金3級におさまる、という感覚が現場にありました。
いまはそうではありません。障害者雇用というだけで自動的に等級がつくことはなく、提出書類の全体に加えて、厚生年金の加入記録から過去の就労歴まで確認されます。「働けている=生活能力がある」という方向に読まれやすくなっている、ということです。
だからこそ、就労している人は働けている事実ではなく、働けている条件を書く必要があります。勤務時間、休みの取り方、業務内容の限定、指示の出し方の配慮、休憩の頻度、通勤の付き添い、欠勤や遅刻の実数、体調を崩して休んだ期間。この情報が無ければ、「就労中」という一行だけが残ります。詳しくは働きながら障害年金はもらえる?へ。
④ 診断書と申立書の一貫性
診断書に「通院は家族の付き添いが必要」とあり、申立書に「ひとりで通院していた」とあれば、読み手はどちらが実態か判断できません。悪意のない書き間違いでも、紙の上では同じ「食い違い」です。時期、症状、生活の記述がずれていないかは、提出前に必ず確認したいところです。
⑤ 具体性——「大変だった」は情報量がほぼゼロ
「精神的にとてもつらかった」から読み取れることは、ほとんどありません。
「朝起き上がれず、週の半分は食事が1日1回だった」「郵便物を開封できず、督促状が来てから滞納に気づいた」「風呂に入れない日が続き、家族に促されて週1回」。場面と頻度があるだけで、同じ一行でも伝わる量が桁違いになります。大げさに書くのではなく、事実を場面のまま書く、という意味です。
→ 「症状を重く見せないと、通らない」は誤解です⑥ 治療の実態——通院間隔、服薬、入院歴
通院が途切れている期間があると、「その間は落ち着いていた」と読まれることがあります。実際には動けなくて通えなかったのなら、その事情を申立書に書いてください。未受診期間の書き方は受診していない期間の書き方にまとめています。
⑦ 初診日——ここも厳しくなっている
等級以前に、「そもそもどの年金の対象か」「いつの状態で判断するか」を決める土台です。当サイトが確認した裁決91件のうち、初診日が争点になったものは35件で、障害の程度(57件)に次いで多い争点です。カルテの保存期間は法律上5年。廃院・転院があるなら、確認だけは早く動く価値があります(初診日がわからないときの調べ方)。
診断書で大勢が決まる — 仕組みから
ここまで見てきた仕組みからすると、精神の障害年金は診断書で大勢が決まります。目安表の入口は診断書裏面、総合評価の材料の多くも診断書、そして申立書は「診断書を補い、突き合わせられる」立場だからです。
ここに、当事者にとっての最大の落とし穴があります。主治医が知っているのは、診察室のあなただけだということです。
診察は5分から15分。そこで「どうですか」と聞かれて、「まあ、なんとかやれています」と答えてしまう。これは嘘ではなく、多くの人がやってしまうことです。医者の前では気が張るし、心配をかけたくないし、うまく言葉が出てこない。その結果、診断書には「なんとかやれている人」が書かれます。
対策は、口ではなく紙です。日常の様子をまとめたA4で1〜2枚のメモを、診断書を依頼する前に主治医へ渡す。添削してもらうのではなく、こちらから材料を出す。「家では、こうなんです」を文字にして置いてくる。
口頭でうまく話せなくても、紙は残ります。書き方は主治医に渡す「生活状況メモ」の書き方と診断書の頼み方にまとめました。
そしてもうひとつ。受け取った診断書は、必ず開いて確認してください。封をされたまま提出する必要はありません。実態と違う記載があれば、提出前に相談する余地があります。提出してしまえば、その紙がすべてになります(診断書を受け取ったら確認すべき7つのポイント)。
同じ状況の人が、どうなったか
社会保険審査会の裁決から、審査で「何が見られたか」が分かる実例です。原文は厚生労働省の公開資料で確認しています。
全身型重症筋無力症・更新(令和7年、原文(厚労省PDF)) — 3級を受けている人の支給停止処分について、全身の筋力低下だけで判断せず、疲労に応じて休息が必要な状況などを総合評価して3級に該当すると認め、原処分が取り消されました。「総合評価」が、検査値だけでなく生活の実態を見る、という例です。
副腎白質ジストロフィー・更新(令和6年、原文(厚労省PDF)) — 進行性の病気なのに、前回の診断書から全項目が「改善」となっている矛盾を審査会が指摘し、診断書は正確性に欠けるとして減額処分が取り消されました。書類同士の整合が、そのまま結論を分けた例です。
網膜剥離・緑内障・新規裁定(令和4〜5年、原文(厚労省PDF)) — 視力・視野の検査結果と病態が整合しないとして、診断書の数値をそのまま障害の状態とすることはできないと判断され、原処分が維持されました。「診断書に書いてあれば通る」のではなく、中身の整合まで見られる、という例です。
よくある誤解5つ
誤解1「窓口の対応が良かったから大丈夫そう」
窓口は審査をしません。受付での手応えと結果に関係はありません。逆に、窓口で厳しいことを言われても、それで結果が決まったわけでもありません。
誤解2「審査では面談や調査があるはず」
ありません。自宅訪問も、電話での聞き取りもありません。書類がすべてです。
誤解3「診断名で等級が決まる」
決まりません。同じ診断名でも結果は人によって違います。見られているのは診断名より、日常生活がどれだけ制限されているかの記載です。
なお、統合失調症・双極性障害・うつ病・発達障害などは対象ですが、神経症圏(適応障害、パニック障害など)は原則として対象外とされ、精神病の病態を示している場合などに限って扱われます(対象となる傷病)。
誤解4「働いていたら、内容を見ずに落とされる」
建て付けとしては、就労の事実だけで機械的に判断はしません。ただし前述のとおり、就労の見られ方は厳しくなっています。配慮の中身が書かれていなければ考慮のしようがない、というのが実際のところです。
誤解5「一度提出したら、あとから口頭で補足できる」
できません。提出した瞬間から、審査の材料はその書類一式だけです。だから提出前の数日が、いちばん価値のある時間になります。
落ちたときに何が起きるか — 先に知っておくと、動ける
これは希望を削ぐ話ではなく、備えの話です。
不支給決定通知書には、理由がほとんど書かれていません。「障害の状態が障害等級に該当しないため」といった一文だけ、ということも珍しくありません。
なぜ落ちたのかを知りたい場合、日本年金機構への個人情報開示請求で、審査の記録を取り寄せる方法があります。あわせて、医療機関へのカルテ開示請求も選択肢になります。
2回目の請求は、1回目より難しくなります。同じ資料で出し直しても結果は変わりません。「今回は書き方を変えました」だけでは動きません。症状の変化、環境の変化、通院や治療の変化——前回と何が違うのかが書面から読めることが必要になります。
不服申立てには期限があります。審査請求は、決定通知を受け取った日の翌日から3か月以内です。一方、期限を過ぎていても、状態が悪化しているなら新しく請求し直す道があります。詳しくは障害年金が不支給になったらへ。
そして、いちばん現実的な備えがこれです。提出前に、全書類のコピーを取っておくこと。提出後、手元には何も残りません。コピーは、不服申立てのときにも、数年後の更新のときにも、「前回どう書かれていたか」を確認できる唯一の手がかりになります。
審査中は、何も起きない時間が続く
提出が終わると、静かな数か月が始まります。書類の確認に時間がかかると延びることもあります。その間、審査状況の連絡は基本的にありません。結果はある日、封筒で届きます。
この「音沙汰のない期間」がいちばんきつかった、という振り返りは本当に多いです。毎日SNSを見てしまう、他の人の結果報告を読み続けてしまう、封筒の厚さから結果を推測する書き込みを何時間も眺めてしまう。そうなるのが自然なくらいの長さです。
例外的に、機構から照会(記載内容の確認や追加書類の依頼)が届くことがあります。これは「怪しまれた」という意味ではなく、書面だけで判断する仕組みゆえの確認手続きです。届いたら期限内に落ち着いて対応してください。過ごし方は審査期間と結果待ちの過ごし方へ。
提出前の最終チェック — 認定医の目で読み直す8項目
- 診断書の裏面(判定7項目・程度)を、受け取った時点で確認したか
- 裏面の内容が、あなたの実際の生活と合っているか
- 診断書と申立書で、通院の時期・転院の経緯が一致しているか
- 診断書と申立書で、症状や生活の記述が食い違っていないか
- 申立書に「大変だった」だけの行がないか(場面と頻度に書き直せないか)
- 家族・職場から受けている援助や配慮が、中身ごと書かれているか
- 初診日の記載が、すべての書類で同じ日付になっているか
- 全書類のコピーを取ったか
ひとつでも引っかかったら、提出を数日延ばして直す価値があります。申請そのものに締切はありません。提出後にできることが無くなる仕組みだからこそ、提出前の数日がいちばん効きます。
例: タカシさんの場合 — 仕組みを知って、準備が変わった
うつ病で休職中のタカシさん(この記事のための架空の例です)は、「窓口でしっかり説明すれば分かってもらえる」と考えて、相談日に大量の話を用意していきました。職員は丁寧に聞いてくれました。でも帰り道でふと気づきます。「今日話したことは、どこに残ったんだろう」。
審査が書類だけで行われると知ってから、彼の準備はこう変わりました。
- 窓口で使っていた気力を、日々のメモに回した。その日できなかったこと、家族に助けてもらったことを、寝る前にひとこと
- 診察で「変わりないです」と言うのをやめ、メモから作ったA4の紙を主治医に渡した。「家では、こうなんです」が初めて伝わった
- 障害者雇用で復職していたので、勤務時間・配慮の内容・欠勤日数を一覧にして添えた
- 申立書は、診断書のコピーを手元に置いて、時期と内容がずれないように書いた
- 提出前に全書類をコピーし、封筒に日付を書いて保管した
結果がどうだったかより、本人の言葉が本質だと思います。「窓口で頑張るのをやめて、書類に残す準備に切り替えた。あれが転換点だった」。
審査の仕組みも、厳しくなった空気も、こちらでは変えられません。でも、仕組みに合った準備は今日から選べます。
申請準備を、アプリでひとつずつ
障害年金サポートのアプリは、毎日のひとことメモから、診察で主治医に渡せる「診察メモ」と、申立書の下書きを作れるように設計しています。診断書との食い違いのチェックにも対応しています。
審査が書類だけで行われるからこそ、書類のもとになる日常の記録から、一緒に準備していきます。申請の流れが分からなくても、8つの段階に分けたガイドが「いまやること」だけを表示します。
よくある質問(FAQ)
Q. 最近、審査は本当に厳しくなったのですか?
A. 数字の上では厳しくなっています。令和6年度の新規裁定で支給に該当しなかった割合は13.0%(前年度8.4%)、精神障害では12.1%(同6.4%)でした。国は不支給事案の再点検を進めており、これまでに14,841件を点検して444件が不支給から支給に変更されています。
Q. ガイドラインの目安表に当てはまっていれば通りますか?
A. 通るとは限りません。不支給になった事案の75.3%が「目安より下位の等級と判断された」ものでした。目安表は出発点で、最終的には総合評価で判断されます。
Q. 認定医に直接会って症状を説明することはできますか?
A. できません。障害年金の審査に面談はなく、すべて書類のみで行われます。状態を伝える手段は提出書類だけです。
Q. 年金事務所の窓口で相談した内容は、審査に反映されますか?
A. 反映されません。窓口は受付と書類確認の場です。伝えたいことは必ず書類に載せてください。
Q. 審査で一番見られる書類は何ですか?
A. 診断書です。精神の障害では、裏面の「日常生活能力の判定」7項目と「日常生活能力の程度」が判定の中心的な材料になります。
Q. 障害者雇用で働いています。それだけで3級になりますか?
A. なりません。以前より就労の見られ方は厳しくなっており、雇用の枠だけで等級が決まることはありません。勤務時間、業務内容の限定、受けている配慮、欠勤の実数などが書類に書かれていることが重要です。
Q. 主治医に、どこまで自分から伝えていいのですか?
A. 伝えて構いません。むしろ必要です。主治医が知っているのは診察室のあなただけなので、家での様子をまとめた紙を渡すのは、実務でも使われている一般的な方法です。
Q. 診断書は開けて中を見てもいいのですか?
A. 確認して差し支えありません。実態と違う記載があれば、提出前に主治医へ相談する余地があります。提出後の補足はできません。
Q. 通院が数年途切れている期間があります。不利ですか?
A. その期間が「落ち着いていた」と読まれる可能性はあります。動けずに通えなかったなど事情があるなら、申立書にその状況を具体的に書いてください。
Q. 照会(追加書類の依頼)が来ました。悪い兆候ですか?
A. いいえ。書面だけで判断する仕組み上の確認手続きです。期限内に落ち着いて対応してください。
Q. 不支給の理由が通知書に書かれていません。理由を知る方法はありますか?
A. 日本年金機構へ個人情報の開示請求を行い、審査の記録を取り寄せる方法があります。カルテ開示とあわせて、次の請求の材料になります。
Q. 一度不支給になりました。もう一度出せますか?
A. 出せます。ただし同じ資料で出し直しても結果は変わりません。前回と何が違うのか(症状・環境・治療の変化)が書面から読めることが必要です。決定から3か月以内なら審査請求という手続きもあります。
Q. 家族と同居しています。審査で不利になりますか?
A. 同居自体で不利になるのではなく、診断書は「単身で生活するとしたら可能か」という前提で評価されます。家族の援助で生活が成り立っている場合、その援助の中身が書かれていることが重要です。
Q. 審査に地域差はありますか?
A. かつては都道府県ごとの審査でばらつきが指摘され、現在、障害基礎年金の審査は東京の障害年金センターに集約されています。精神の障害には全国共通の等級判定ガイドラインが使われています。
まとめ
- 審査は、会ったことのない認定医が、書類だけで行う。面談はない
- 令和6年度の非該当割合は13.0%(精神は12.1%)。近年、審査は実際に厳しくなった
- 不支給事案の75.3%は「目安より下位等級」。ガイドラインの目安表は出発点にすぎない
- 就労は「している/していない」ではなく、どんな配慮の中で働けているかが見られる
- 診断書で大勢が決まる。主治医には、家での様子を紙で渡す
- 提出後に補足はできない。提出前の確認と、全書類のコピーを
- 書類に実態が正確に載れば、それは確実に審査に届く。裁決でも、書類の整合と総合評価が結論を分けている
出典
- 日本年金機構「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」・厚生労働省「令和6年度の障害年金の認定状況についての調査」(新規裁定146,225件・非該当13.0%・精神12.1%・等級別割合・精神の不支給者の目安表分布)・確認日 2026-09-02
- 厚生労働省「令和6年度の障害年金の認定状況についての調査報告書」(令和7年6月11日。非該当割合の推移、精神の不支給85件の内訳、事前確認票・等級案・担当認定医、今後の対応策)・確認日 2026-09-03
- 日本年金機構「障害年金の認定状況について」(再点検: 不支給事案14,841件中444件を支給に変更、支給事案12,918件で上位等級への変更0件)・確認日 2026-09-03
- 厚生労働省「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」(目安表、総合評価)・確認日 2026-09-03
- 当サイト 裁決事例集(91件、争点別: 程度57・初診日35・診断書15・納付10)・確認日 2026-09-02
参考リンク
制度の正式な情報・最新の様式は、日本年金機構のホームページおよび 年金事務所でご確認ください。
このテーマの全体像は「障害年金の申請」にまとめています。