障害年金の申立書は期間をどう区切る?通院・就労・症状変化の書き方

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この記事の結論

期間は年数で均等に割るのではなく、治療・症状・仕事・生活に大きな変化があった時点で区切ります。転院・休職・退職・悪化・通院の中断・同居の開始が区切り目です。

原則は3つ。①受診した医療機関ごとに区切る ②受診しなかった期間も飛ばさず1枠にする ③同じ病院が長ければ3〜5年ごとに区切る。枠が足りなければ続紙を使います。

未受診期間を空白にすると「良くなって通院をやめた」と読まれます。中断の理由・その間の生活・再受診のきっかけを書く独立の枠が要ります。障害認定日が未受診期間に重なる人は、裁決でも「当時の状態を認定できない」とされた例があるので、設計図の段階で気づいてください。

文章より先に「期間一覧の設計図」を作り、お薬手帳・年金記録・診断書と照合してから書き始めます。質問に答えて区切りを作れる道具を本文に置きました。

病歴・就労状況等申立書でいちばん最初につまずくのは、文章ではありません。「発病から現在までを、どこで区切ればいいのか」という設計の段階です。

申立書の書き方の記事では全体の流れと4つの要素を解説しましたが、「転院が7回ある」「10年通院していない時期がある」「同じ病院に20年通っている」「そもそも昔のことを覚えていない」——こうした人ほど、区切りの段階で手が止まります。この記事は、その「区切り」だけを深掘りする各論です。

なぜ区切りにこだわるのか。新しく決まる障害年金の70.3%は精神の障害で(令和6年度)、その審査は書類だけで行われます。専門家が依頼を受けたときも、申立書相当の資料を時間をかけて作り込みますが、その骨格が期間の区切りです。区切りを間違えると、どれだけ良い文章を書いても、審査側には伝わらない書類になります。

質問に答えて期間の区切りを作り、1つずつ書き進められる道具を用意しました。入力した内容はどこにも送られません。

申立書を、自分で書きたい

先に結論 — 「変化があった時点」で区切ります

いちばん大事なところを、先にお伝えします。

期間は、年数を機械的に均等分割するのではなく、治療、症状、仕事、生活状況に大きな変化があった時点を目安に区切ります。

「10年分だから2年ずつ5つに割る」という分け方ではありません。転院した、休職した、退職した、症状が悪化した、通院が途切れた——あなたの経過の中で「何かが変わった」時点が、そのまま区切り目になります。変化のない時期が長く続いているなら、その期間はまとめて構いません。

ただし、公式様式の記入欄の指示や、年金事務所から受けた案内が優先です。様式には記入の要領が示されており、窓口で個別に案内を受けることもあります。この記事の考え方は、その案内と矛盾しない範囲での目安として使ってください。

区切りの3原則 — まずはこれだけ

申立書の様式には、発病から現在までを期間ごとに分けて書くよう指示があります。原則は3つです。

原則1:受診した医療機関ごとに区切る

A病院→B病院と転院したら、そこで期間が変わります。医療機関が変わるたびに1枠です。

原則2:受診していなかった期間も、飛ばさずに1つの期間として書く

ここが最重要です。「通っていなかった時期は書くことがない」と考えて空白にすると、審査側には「その期間は問題なく生活していた」ように見えます。受診していない期間こそ、なぜ受診しなかったのか・その間の状態はどうだったのかを書く独立の枠が必要です。

原則3:同じ医療機関が長い場合は、おおむね3〜5年ごとに区切る

20年同じクリニックに通っている人が1枠にまとめると、20年分の変化(悪化・小康・再燃)が全部つぶれてしまいます。3〜5年ごと、あるいは「状態が大きく変わった出来事」(退職・入院・結婚・引っ越しなど)を境に区切ります。

なぜこの区切り方なのか — 審査側の読み方から逆算する

3原則は、審査側の作業から逆算すると腹落ちします。審査側は申立書を「物語」としてではなく、照合表として読みます。

  • 医療機関ごとの区切り → 受診状況等証明書・診断書・カルテと病院単位で突き合わせられる
  • 未受診期間の明記 → 通院の空白が「軽快」なのか「重すぎて通えなかった」のかを判別できる
  • 3〜5年の区切り → 障害認定日ごろ・現在など、審査上重要な時点の状態を特定できる

特に2つ目は、結果を分けるポイントです。うつ病で通院が途絶える理由は、良くなったからとは限りません。「外出できず、予約の電話もかけられず、行けなくなった」——よくある実態です。

ところが区切りを飛ばすと、この期間は審査上「特記なし」になり、「治療の必要がなかった=軽かった」と読まれかねません。同じ空白でも、書き方ひとつで真逆に伝わるのです。

「薬をもらっていない受診は、初診日にならない」は誤解です

区切り目になりやすい出来事(具体例)

「変化があった時点で区切る」と言われても、何を変化とみなせばよいか迷うと思います。区切り目の候補になりやすい出来事を並べます。当てはまるものに印をつけて、時系列に並べるだけで、区切りの下書きになります。

  • □ 初診を受け、治療を開始したとき
  • □ 病院を転院したとき
  • □ 入院したとき・退院したとき
  • □ 仕事を始めたとき
  • □ 勤務時間や仕事内容が変わったとき(時短勤務になった、部署が変わった、業務を軽くしてもらったなど)
  • □ 休職したとき
  • □ 退職したとき
  • □ 症状が悪化した、または改善したとき
  • □ 通院していない期間(未受診期間)があったとき
  • □ 生活環境が変わったとき(一人暮らしを始めた、実家に戻った、家族と同居を始めたなど)
  • □ 家族などから受ける援助が増えた、または減ったとき

すべてに印がつく必要はありません。印がついた出来事のうち、生活や治療への影響が大きかったものを区切り目にすると、経過の分かりやすい申立書になります。

なお、変化が多すぎて期間が増える場合でも問題ありません。枠が足りなければ続紙を使います(後述)。

一人暮らしを始めた・実家に戻ったといった住まいの変化は、日常生活の見られ方にも関わります。書き方の注意点は障害年金は一人暮らしだと不利?にまとめました。

具体例:時系列で区切りを作ってみる

架空の例で、実際の区切り方を見てみます。ハルさん(30代・うつ病)という設定です。

①2016年4月〜2018年5月(発病〜初診前・未受診)

就職して2年目ごろから不眠と食欲不振が続く。受診はしていない。

→ 区切った理由:まだ治療が始まっていない時期。次の期間との違いは「受診の有無」。

②2018年6月〜2020年9月(Aクリニック・就労継続)

初診。服薬を開始し、月1回の通院を続けながら、フルタイム勤務も継続。

→ 区切った理由:治療が始まった時点。ここから通院と就労が並行する期間に入る。

③2020年10月〜2021年3月(Aクリニック・休職)

出勤できない日が増え、休職。通院は継続。家事は家族が代わりに行うようになる。

→ 区切った理由:症状が悪化し、働き方が「勤務」から「休職」へ大きく変わった。

④2021年4月〜2021年8月(退職・通院継続)

復職の見通しが立たず退職。日中はほとんど横になって過ごす。

→ 区切った理由:退職という生活の大きな変化があった。

⑤2021年9月〜2023年2月(未受診)

外出が難しくなり、通院が途切れる。服薬も自己判断で中断。

→ 区切った理由:通院が途切れた期間は、飛ばさず独立した期間として書く。

⑥2023年3月〜2024年12月(Bクリニック・再受診)

家族に付き添われて別の病院を受診し、治療を再開。

→ 区切った理由:再受診であり、医療機関も変わった。

⑦2025年1月〜現在(Bクリニック・通院中)

実家で家族と同居。食事と金銭管理は家族の援助を受けている。

→ 区切った理由:同居という生活環境の変化があった。現在の状況は独立した期間として書く。

ポイントは、それぞれの期間に「何が変わったから区切ったのか」が説明できることです。逆に言えば、説明できない区切りは不要な区切りです。

この例は、あくまで区切り方を示すための架空のものです。実在の人物の経過ではありませんし、この形で書けば結果がどうなる、というものでもありません。ご自身の経過に合わせて組み立ててください。

つまずきパターン別・区切りの実践

パターン1:転院が多い(5回以上)

原則どおり病院ごとに区切ると枠が足りなくなりますが、それでいいのです(続紙は後述)。数週間だけ通った病院も省略しないでください。省略すると、初診日の認定や経過の整合性で疑義が生まれます。各期間が短くなるぶん、1期間あたりの記述は「転院の理由+その間の状態」を中心に簡潔で構いません。

パターン2:未受診期間が長い(数年〜10年以上)

未受診期間が5年を超えるようなら、その中もおおむね3〜5年で区切ります。「平成27年〜令和2年(未受診)」「令和2年〜令和5年(未受診)」のように分け、それぞれの時期の生活状態を書きます。長い空白を1枠で済ませると、記述が薄くなり空白の印象だけが残ります。

パターン3:同じ病院に長期通院

3〜5年ごとに加えて、診断書に書かれる時点(障害認定日ごろ・現在)が期間の切れ目付近に来るように調整すると、診断書との照合がしやすい書類になります。たとえば認定日が2019年なら、「2017〜2019年」「2019〜2022年」のように認定日を境目に置くイメージです。

パターン4:記憶が曖昧で、時期が思い出せない

「◯年ごろ」「高校を卒業した年の冬」で構いません。手がかりは、お薬手帳・診察券・領収書・母子手帳・スマホの写真・家族の記憶です。本人以外の第三者(家族)が相談や整理を手伝うことは制度上まったく問題ありません。記憶の穴は、1人で埋めようとしないでください。

パターン5:傷病がひとつでない(発達障害+うつ病など)

先天性・幼少期からの傷病(発達障害など)で請求する場合は、出生時から書き始めるのが原則です。二次障害としてのうつ病等を併せて記載する場合も、時系列はひとつの流れで書き、どの時期にどの症状・診断が加わったかが分かるようにします(発達障害の記事参照)。

続紙の使い方 — 枠が足りないのは普通のこと

申立書の様式の枠は5期間分しかありません。発病から10年、20年の経過を書く人は、ほぼ確実に足りなくなります。そこで使うのが続紙です。

  • 続紙は日本年金機構の様式としてダウンロードでき、A4での印刷・パソコン入力も可能です
  • 続紙を使うこと自体はまったく特別なことではありません。「枠に収めるために期間を統合する」より「正しく区切って続紙を使う」が正解です
  • 続紙にも氏名を記入し、本紙と通し番号(期間の番号)がつながるようにします

「枠が5つだから5期間にまとめなきゃ」という思い込みが、いちばん多い設計ミスです。枠の数に経過を合わせるのではなく、経過に枠の数を合わせてください。

完成形:アキさんの「期間一覧」設計図

文章を書き始める前に、まず区切りだけの一覧表を作ります。アキさん(32歳・うつ病、実家で母と2人暮らし。この記事のための架空の例です)の設計図です。発病は24歳、初診は25歳でした。

期間一覧(設計図)

①2018年4月〜2019年6月(発病〜初診前・未受診) 新卒2年目、残業続きで不眠・食欲不振が始まる。「疲れているだけ」と受診せず

②2019年7月〜2020年3月(Aクリニック) 初診。うつ状態の診断で服薬開始。通院月1回。仕事は続けるが欠勤が増える

③2020年4月〜2021年12月(未受診) コロナ禍の在宅勤務を機に「治った気がして」自己判断で通院中断。実際は昼夜逆転が進行

④2022年1月〜2023年8月(Bメンタルクリニック) 出勤できなくなり再受診。うつ病の診断。休職→復職失敗→2023年8月退職

⑤2023年9月〜現在(Bメンタルクリニック・通院継続) 退職後、実家に戻る。家事・金銭管理は母の援助。障害年金の申請準備を開始

この設計図の時点で、審査上の急所が見えてきます。

①は初診日(障害年金の初診日がわからないときの調べ方)の説明、③の未受診は「軽快ではなく悪化の中の中断」だと書く必要がある期間、④の中に障害認定日(初診から1年6か月=2021年1月ごろ→実際は未受診期間中!)がある——つまりアキさんが遡及請求を考えるなら、認定日ごろ未受診だったことがハードルになる、と設計図の段階で分かるわけです。

文章を書いてから気づくのと、設計図で気づくのとでは、手戻りがまったく違います。

「初診日は、病名がついた日」は誤解です

未受診期間(③)は、区切ったあとが本番

設計図で③のような空白を1枠として確保できたら、次は中身です。ここは書き方に迷う人がいちばん多いところで、押さえるべき骨格は4つあります。

  1. 中断の理由(自己判断でやめた/症状で通えなかった/経済的な事情、など。正直に書いて構いません)
  2. その間の生活の実態(7項目の視点で、頻度つきの具体例)
  3. 症状が続いていた・悪化していたことを示す事実
  4. 再受診のきっかけ(次の期間への橋渡しになります)

「サボっていたと思われそう」と隠すのが最悪手です。空白を語れるのは、世界であなたと家族だけ。何も書かなければ、審査側は「治療の必要がなかった=軽快していた」と読みます。

理由別のフル記入例、5年・10年の長い空白の分割、社会的治癒で初診日が動くリスク、証拠がないときの補強材料は、姉妹記事の「障害年金の申立書で未受診期間を書く方法」にまとめました。空白がある人は、区切りを設計したあとに必ず目を通してください。

同じ状況の人が、どうなったか

社会保険審査会の裁決から、期間の区切り(とくに未受診期間と認定日の位置)に関わる実例です。原文は厚生労働省の公開資料で確認しています。

うつ病・障害認定日請求(平成28〜29年、原文(厚労省PDF))障害認定日から5か月以上あとの診断書や知人の申述では、診療中断中だった認定日の状態を客観的に認定できないとして、原処分が維持されました。上のアキさんの設計図で「認定日が未受診期間中」と気づいたときに起きる問題そのものです。設計図の段階で分かれば、事後重症請求を軸に組み立て直せます。

自閉スペクトラム症・障害認定日請求(令和7年、原文(厚労省PDF))障害認定日から3か月を超えた現症日の診断書では認定できないとした処分について、新型コロナ感染への不安で通院できなかった事情などから、その診断書で判断できるとして原処分が取り消されました。未受診期間の「中断の理由」を書くことに、意味がある例です。

反復性うつ病性障害・新規裁定(令和2〜3年、原文(厚労省PDF))復職して就労した期間にも症状と治療が継続していたとして、社会的治癒(その後の再受診日を新たな初診日とする主張)は認められませんでした。「通院が途切れた=治った」でも「働いていた=治った」でもなく、その期間の症状の実態が見られています。

ほかの実例も読む

区切りと「整合性」— 書類同士の突き合わせに耐える設計

審査は、提出書類を隅々まで突き合わせる総合判断です(ガイドラインの記事で詳述)。期間の区切りは、この突き合わせの土台です。

  • 各期間の受診状況は、受診状況等証明書・診断書の通院歴と一致していますか
  • 就労欄の在籍期間は、年金記録(厚生年金の加入期間)と一致していますか。審査側は加入記録を持っています。「働けなかった」と書いた期間に厚生年金の加入記録があれば、その説明(休職中だった等)が必要です
  • 現在の期間の生活の記述は、診断書の7項目と同じ生活を描いていますか

嘘をつくつもりがなくても、記憶で書くとここがずれます。ずれた書類は、盛った書類と同じ目で読まれます。だからこそ、区切りの設計図を作り、手元の証拠(お薬手帳・在籍記録・診断書の控え)と照合しながら埋めていく手順が大切なのです。

よくある失敗から逆算する、区切りの落とし穴3つ

区切りの失敗が、そのまま審査結果に響くことがあります。代表的な3つを、対策とセットで。

落とし穴1:期間をまとめすぎて、障害認定日ごろの記述が消えた

「長いから」と10年をひとつの枠に押し込むと、審査上いちばん重要な時点(認定日ごろ・現在)の状態が、他の時期の記述に埋もれます。認定日ごろの状態が読み取れない申立書は、遡及請求ではほぼ致命傷です。→ 認定日と現在が、それぞれ独立した期間の中にはっきり書かれる区切りにする。

落とし穴2:就労欄と年金記録が食い違った

「この期間はほとんど働けませんでした」と書いた期間に、厚生年金の加入記録がしっかり残っていた——審査側は加入記録を見られるので、この食い違いは必ず気づかれます。実際には「在籍はしていたが休職中だった」「障害者雇用で配慮を受けていた」だけかもしれないのに、説明がなければ「虚偽?」という目で全体を読まれます。→ 在籍と就労実態を分けて書く。「在籍していたが、うち◯か月は休職」「出勤できたのは週2〜3日」のように。

落とし穴3:未受診期間を空白のまま出した

前述のとおり、空白は「軽快」と読まれ得ます。事後重症請求ならまだしも、認定日ごろが未受診期間に重なる人は、この空白の書き方が請求の成否そのものになります。→ 未受診期間も1枠として、理由と状態を書く。

3つに共通するのは、申立書は単独では読まれないという事実です。診断書・受診記録・年金記録との照合の中で読まれる。区切りの設計は、その照合に耐える骨格作りなのです。

完成形②:現在に近い期間(⑤)のフル記入例

未受診期間の例に続き、審査上もっとも重要な「現在の期間」のフル記入例です。診断書の7項目と同じ生活を、申立書の側から描くのがポイントです。

⑤2023年9月〜現在(Bメンタルクリニック・通院中)

退職後、一人暮らしを続けられず実家に戻り、母と2人で暮らしています。通院は月1回、母の付き添いがあれば行けますが、1人のときは2回に1回キャンセルしてしまいます。服薬は母が朝晩声をかけてくれることで続いており、声かけがない日は飲み忘れます。

食事は母が用意し、自分で作れたのは月に数回です。入浴は週1〜2回で、母に何度か促されてやっと入ります。金銭管理は、判断がつかないままネットで高額の買い物をしてしまったことがあり、以後は通帳とカードを母が管理しています。

友人からの連絡には半年以上返信できず、外出は通院と週1回の買い物の同行のみです。先月は鍋を火にかけたまま眠ってしまい、母が気づいて止めました。役所からの書類は開封できず、手続きはすべて母が行っています。就労はしていません。求職活動もできる状態にありません。

見比べてほしいのは、7項目の記事のアキさんの診察前メモとの関係です。同じ生活の事実が、診察前メモ→カルテ→診断書、そして申立書の現在の期間、という2つの経路で審査に届く。これが「書類同士が同じ生活を描いている」状態で、総合判断の時代にいちばん強い形です。日々のメモを元に両方を作れば、突き合わせ作業なしで自然にこうなります。この7項目が国の目安表でどのあたりに当たるかは、私は何級くらい?で確かめられます。

各期間の「就労状況欄」の書き方

申立書には、期間ごとの状況記述とは別に、就労状況を書く欄があります。区切りとの関係で押さえるべきことは2つです。

#### (1) 在籍・休職・退職の時期を、期間の区切りと整合させる

「④の期間の途中で休職→復職失敗→退職」のような出来事は、期間の本文にも就労欄にも同じ時系列で現れる必要があります。退職理由は「一身上の都合」ではなく、実態(「欠勤が月5日を超え、復職の目処が立たなかったため」)を書きます。

#### (2) 働いていた期間は、「どう働けていなかったか」まで書く

在籍の事実は年金記録で見えているので、隠しても意味がありません。書くべきは中身です——遅刻・欠勤の頻度、周囲の助け(上司の確認、業務の限定)、障害者雇用や配慮の有無、帰宅後の状態。

「働いていた=軽い」と読まれるか、「援助されながら辛うじて在籍していた」と読まれるかは、この記述次第です。

なぜ専門家は「ワープロで」作るのか — 区切り直しに強い書類作法

細かいようで効いてくるのが、作成手段の話です。専門家は申立書相当の資料をパソコン入力で作り込みます。手書きへの思い入れより実利を取っているわけで、理由は区切りの作業と直結しています。

  • 区切り直しが起きる前提だから。設計図を作っても、証拠と照合すると時期がずれたり、期間を分割したくなったりします。手書きだと区切り直し=全部書き直しですが、入力なら数分です。「書き損じで心が折れて、内容を妥協する」という本末転倒(A4印刷の記事で書いたとおり)を防げます
  • 診断書・メモからの転記が正確になるから。日付や医療機関名の転記ミスは、それだけで整合性の疑義になります。コピー&ペーストできる形式は、ミスの発生源を減らします
  • 控えと再利用のため。データで残した申立書は、更新や万一の審査請求・再請求のときに、そのまま比較・修正の土台になります。手書き1部だけ提出してコピーも取っていない、が最悪のパターンです

様式のPDF・Excelは日本年金機構からダウンロードでき、パソコン入力での提出は認められています。手書きが苦でない人を止めるものではありませんが、区切りの多い長い経過の人ほど、入力作成の恩恵は大きくなります。

提出後に「書き忘れ」を思い出したら

区切りを設計して丁寧に書いても、提出後に「あの期間、大事なことを書き忘れた」と思い出すことはあります。対応の目安です。

  • 審査中に気づいた:年金事務所に相談してください。審査側から照会(問い合わせ)が来た場合は、その回答で補足できることがあります。自主的な追加資料の提出も、内容によっては受け付けられます
  • 結果が出てから気づいた:認定されていれば、基本的にそのままで問題ありません(次回更新時の整合性のため、思い出した内容はメモに残しておきます)。不支給だった場合、書き漏れが結果に影響した可能性があるなら、審査請求(3か月以内)や再請求の際の重要な補強材料になります
  • そもそも思い出せる形にしておく:一番の対策は、提出前に家族に通読してもらうことと、日々のメモから書類を組み立てることです。記憶だけを頼りに書いた書類ほど、提出後の「あっ」が多くなります

「一気に書けない」を前提にした作業手順

申立書がしんどい最大の理由は、過去のつらい時期を一気に思い出す作業だからです。区切りを軸にした、負担の少ない手順をまとめます。

  1. 設計図だけ作る(30分):医療機関と時期を並べ、未受診期間を挟み、長い期間を3〜5年で割る。上のアキさんの一覧のレベルでOK
  2. 証拠と照合する(後日):お薬手帳・診察券・年金記録で時期のずれを直す
  3. 1期間ずつメモを溜める(数日〜数週間):書ける日に、書ける期間から。時系列順でなくていい
  4. 4要素の形に整える:頻度・続いた期間・援助の有無・具体例(書き方記事参照)
  5. 最後に現在の期間を診断書と突き合わせる

この「メモを溜めてから整える」工程を支えるために、日々の出来事や思い出したことを短くメモすると、申立書の下書きと診察で医師に渡す7項目資料に整理されるアプリを作りました。過去の期間の記憶も、ふと思い出したときにその場で放り込んでおけば消えません。ログイン不要・記録は端末内保存・基本機能は無料です。

よくある質問

Q. 期間はいくつまで増やしていいのですか?

A. 上限はありません。必要なだけ区切り、枠が足りなければ続紙を使います。「多すぎて不利」になることはありません。逆に、長い経過を無理に少ない枠へ押し込むほうが、経過の抜けや矛盾のもとになります。

Q. 2〜3回しか行かなかった病院も書かないとだめですか?

A. 書いてください。短期間の受診も医療機関ごとの区切りの原則どおり1期間です。省略すると、受診状況等証明書やカルテとの突き合わせで「申立書にない病院がある」ことになり、初診日の認定や経過の信頼性に疑義が生まれます。

Q. 未受診期間の状態を証明するものが何もありません。

A. 未受診期間は本人・家族の申立てが中心になるのが前提の書類なので、証明書がなくても書けます。当時の生活の事実(欠勤の頻度、家族の援助、部屋の状態)を具体的に書き、可能なら家族の記憶で補強してください。市販薬の購入記録、会社の欠勤記録、日記やSNSの記録が残っていれば手がかりになります。

Q. 同じ病院で主治医だけ変わった場合は区切りますか?

A. 様式上の原則は医療機関ごとなので、必ずしも区切る必要はありません。ただし主治医交代で治療方針や状態が大きく変わった場合は、そこを3〜5年ルールの区切り目にすると経過が伝わりやすくなります。

Q. 続紙は手書きでないとだめですか?

A. パソコン入力で問題ありません。様式は日本年金機構からダウンロードでき、A4で印刷して提出できます。詳しくはA4印刷の記事をご覧ください。手書きで消耗して内容が薄くなるより、入力で内容を充実させるほうが審査には有益です。

Q. 発病がいつか、自分でも分かりません。

A. 「発病」は医学的な厳密さより、「症状が出始めたと思われる時期」で構いません。「◯年ごろ、〜のような症状が始まった」という書き方が認められています。初診日と違って発病時期は証明を求められる性質のものではないので、思い出せる範囲で誠実に書けば大丈夫です。

まとめ

  • 期間は年数で機械的に均等分割せず、治療・症状・仕事・生活状況に大きな変化があった時点を目安に区切る
  • ただし、公式様式の記入欄の指示と、年金事務所からの案内が優先
  • 区切り目になりやすいのは、初診・転院・入退院・就職・勤務内容の変化・休職・退職・症状の変化・未受診期間・生活環境の変化・援助の増減
  • 区切りの3原則は「医療機関ごと/未受診期間も1枠/長い場合は3〜5年ごと」
  • 未受診期間は隠すところではなく、語るところ。中断の理由・その間の生活・再受診のきっかけを書く。認定日が未受診期間に重なる人は、裁決でも認められなかった例がある
  • 枠が足りなければ続紙。枠の数に経過を合わせない
  • 文章より先に「期間一覧の設計図」を作ると、認定日の位置や証拠の穴が先に見える
  • 各期間は受診記録・年金記録・診断書との突き合わせに耐える整合性で
  • 一気に書かない。設計図→照合→期間ごとのメモ→整形の順で

出典

※本記事は一般的な情報提供であり、受給の可否や等級を保証するものではありません。様式と記載要領は日本年金機構のホームページで確認できます。個別の判断は年金事務所や社会保険労務士にご相談ください。

参考リンク

制度の正式な情報・最新の様式は、日本年金機構のホームページおよび 年金事務所でご確認ください。

このテーマの全体像は「障害年金の申請」にまとめています。